大飯食いのガリバ~のために
元々は豊かだったこの国も 厳しい食糧難になり
王室は その対策に会議を重ねました
やがて、1つの結論が出ました。
それは、
他国への 侵略です。
食糧確保のため、
敵国を支配下に置こうと考えたのです。
王室からの使者が来ました。
「 王様からの 御命令が下った、
正式にガリバ~を国軍の名誉三等兵に任命する、
敵連合国を 侵略して、食料を確保せよ ! 」
「 えええぇぇぇぇ ~?
オイラ抑止力として、本土防衛はしてもいいけど、
侵略は嫌だなぁ ~
今度は 人が死んじゃうかもしんないじゃん 」
「 我が国の存亡の危機なのだ、
国民が飢え死にしてしまう 」
「 ど~して ?
もともと この国は食料が豊富で
豊かな国じゃないのぉ ? 」
「 お前の食事のため、食料が不足している、
急激な人口爆発と同じ状況になってしまい、
お城の周囲でさえ開墾をしている、
近海の魚は取り尽くして
戦艦は遠洋漁業に出かけて まだまだ帰ってこない、
現在は 王室でさえも満足な食事を摂れないのだ
王様も やせ細っておられる 」
「 あぁぁ なんて不条理 !
なんて 矛盾した存在になっているんだ
オイラ ~! 」
「 まぁ 背に腹は変えられない
頼む このとおり 」
使者は 頭を下げました。
「 オイラ 船乗りだから
悪政で庶民が飢えている国が多い事も知っている
この国は 元々は豊かで
それは善政が 為されていたからなのだろうな
オイラが来たから国民が飢えてしまっているのかぁ 」
「 残念ながら そういうわけなのだ 」
「 しょうがないかなぁ ~
ところで どうやって敵国に行くの ?
泳ぐの ? 」
「 心配はない、流れ着いた巨大なボートがある、
それで攻め行って欲しい 」
「 それ きっと
オイラが乗ってきた救命ボートだな 」
「 敵国に、降伏を促す勧告書を突きつけるのだ、
そして 食糧援助させるのだ、
従わなければ 手当たりしだい ぶっ壊して、
食い物も 現地調達して 食べてかまわない 」
「 えぇ ~? 」
「 侵略したら、食い放題だぞ 」
「 でも もし けが人や 死人が出たら
オイラ やりきれない気持ちになるなぁ 」
「 このままでは 我が国に
大量の餓死者がでることになる 」
「 ううぅぅ 困ったなぁ 」
<<< ぐ ぅ ぅ う う う う~ ! >>>
ガリバ~の腹が鳴りました 。
「 う~ん オイラも ひもじいし、
この国の人達に あんまりにも迷惑になっている
しょ~がない 行くとするかぁ 、、、 」
「 そうか 行ってくれるか 恩に着る 」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「 がんばれ ~! 」
「 御武運を 祈ります 」
「 やっちまえ ~! 」
声援に送られ ガリバ~は
えっちらおっちらと、ボートを漕ぎ出しました。
「 腹 減ったなぁあ ~ 」
ぼやきながら ガリバ~はボートのオールを操ります。
「 しかし敵国に行っても
おいらの食料を確保できるのかなぁ ?
もしかして飢餓の輸出になるんじゃないのかなぁ ? 」
ガリバ~は 思案しました。
「 人は 互いに争うことなく 助けあって
人殺しの武器ではなく 人を生かすための
道具を作らなくてはいけないだろうな
殺し 搾取し 奪うより
力を合わせ 共存の道を 探さなければいけない
一発の弾丸より 一粒の種のほうが
より良い未来を 切り開けることだろう
人は いつになったら 本当の知恵を
獲得することができるのだろう ? 」
自分の事はさておき そんな事を考えました。
「 おやぁ ? 」
にわかに、天候が荒れてきました、
強風が吹き、大波が立ちました、
身に覚えのある、明らかに やばい展開です。
「 まさか ? もしかして ? また ? 」
予想通り 時空を捻じ曲げるような大嵐が吹き荒れ
大波に転覆したボートから 放り出され、
ガリバ~は逆巻く波に もみもみと揉まれました。
「 うわぁぁあ 溺れるぅぅぅ
あっぷ あっぷ うげげげ
ぶくぶく 。。。 」
さて、どれくらいたったのでしょう。
海に投げ出されたガリバ~が ふと気がつくと、
地面に寝かさせていました。
「 なんだぁ コイツ 」
「 これでも 人間か ? 」
「 えらく 小さいぞ 」
「 人形じゃね ? 」
「 おやぁ 動いたぞ 」
「 これが 小人と言うものか ? 」
「 いゃ~ん ♪ 変な顔 」
「 パグとか フレンチ・ブルドッグみたいな感じね 」
「 うふっ ブサかわいい 手乗りにできそう ♪ 」
「 おいおい 手荒にあつかうと潰れちゃうぜ
プチっとな 、
そうしたら これは 生ごみで出せるのか ~? 」
「 ぎゃぁぁ~~!
オイラを つまみ上げないで ~~!
ひゃぁぁぁ ~~~!
高いよ ~! 怖いよ ~!
ちびっちゃうよ ~~! 」
「 あら ポケットにも 入りそうねぇ
ペットに しようかしら うふふふ ♪ 」
あたりには、数え切れないほどの巨人たちがいました、
そして、つまみ上げられたガリバ~を
皆が 不思議そうに見つめているのでした。
「 うそぉぉぉ ~! 誰かぁぁぁあ ~!
今度こそ これは夢だと言ってくれ ~ ! 」
ガリバ~に心安らぐ日は訪れるのでしょうか?
それは また いつかの日に 別のお話で。
おしまい