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シラ・ハクソス市は日も沈み 夜になりました。
石工のセロリ・ヌンティウスは 一日の仕事を終え
夕食を食べようとしていました。
<< ドン ! ドン ! ドン ! >>
家の扉を せわしなく叩く者がありました。
「 今頃 誰だろう ? 」
セロリ・ヌンティウスは
食事を中断して 扉を開けました。
「 セロリ・ヌンティウスは いるか ? 」
「 はい、私ですが 」
「 王様のご命令で 連行する 」
「 ちょっとお待ちください、お役人様
私が 何かしたのでしょうか ? 」
「 いや お前が 何かしたのではない 」
「 ならば なぜでしょう ? 」
「 お前の 知人が 城に不法侵入したのだ 」
セロリ・ヌンティウスは城連行さられました。
「 そちが セロリ・ヌンティウスか ? 」
「 はい デコ・デカスギ王様 」
「 そちには ダ・メロスという友人がおるか ? 」
「 ダ・メロスは 故郷の幼なじみです 」
「 奴は そちを親友と 申しておったぞ 」
「 今は 付き合いはありません 」
「 奴は 確かに親友と言っておったがのう 」
「 親友と言うほど 親しいわけではありません、
それで 私に どんなご用件が ? 」
「 奴は 城内に 不法侵入しておった 」
「 はい お役人様から聞いております 」
「 そして警護の者が 奴を捕まえた 」
「 はぁ 当然のことでございます 」
「 懐からは 短刀が出た 」
「 ぇええぇぇ ! 」
「 警護の者は わしを殺害しに来たのではないかと
嫌疑をかけ わしの前に連れてきたのだ 」
「 、、、、、、、 」
「 わしは チンケな こそ泥だと考えたが
警護の者と話を合わせ 磔にすると脅した 」
「 そっ それで ダ・メロスは ? 」
「 顔面蒼白で ビビっておった 」
「 昔からビビリで 手癖が悪いやつでした 」
「 大胆不敵ではあるが だらしのない奴だったわ、
そして奴は 床に頭をこすりつけ
一つ 願い事を言ったのだ 」
「 その願い事とは ? 」
「 このシラ・ハクソス市に住む
セロリ・ヌンティウスという石工を
自分の代わりに 人質にしてくれとな 」
「 なぜ 私が
人質にならなければならないのですか ? 」
「 奴は 身内が婚礼を挙げると言っておった、
どうしても見届けなくてはならない、
そのために 一旦 自宅に帰りたいと、
そこで わしは 三日の猶予を与えた 」
「 ダ・メロスは三日以内に帰って来るのでしょうか ? 」
「 それは知らぬ 帰ってこなければ
親友のセロリ・ヌンティウスを
磔にしてよいと言っておったわ 」
「 あの野郎 かってに なんと言う事を ! 」
「 わしは 面白い余興と考えて
ダ・メロスを解き放した 」
「 そんな 、、、 」
「 三日以内に 奴が帰らなければ
お前は 磔だ 」
「 御冗談ですよね 、、、 」
「 この顔が冗談を言っているように見えるか ? 」
「 ぁわわっ 、、、、 ん ? そうだ !
一つ お聞きしてよろしいですか ? 」
「 何じゃ ? 」
「 ダ・メロスの 身内の婚礼とは
いったい 誰の 婚礼でございますか ? 」
「 奴の言うには 今は父母もなく
ただ一人の かわいい妹と 言っておったわ 」
「 おっ 王様 ! 」
「 何じゃ ? 」
「 だっ ダ・メロスには 妹は おりません !
あいつは 天涯孤独の
一人ものでございますぅ 、、、 」
おちまい