「 くらえ ! 」
近衛隊長が 正拳突きをしました。
ケントリュウスは 拳に拳を合わせました。
<< がつ~ん ! >>
「 ぐわぁぁ ~ こぶしがぁぁ ~! >>
近衛隊長は 拳を押さえて 悲鳴を上げました。
「 ふふふ どうせ日頃
やわなサンドバッグでも叩いていたのだろう、
俺の拳は 立木や岩を叩き 鍛えているのだ 」
「 ちっくしょぉぉおお ~! かくなる上は 」
近衛隊長はブーツのかかとを
地面に強く打ち据えました。
「 ア チ ョ ~ ! 」
近衛隊長が 怪鳥音を発し
前蹴りを繰り出しました。
ケントリュウスは両手を交差させ
蹴りを受け止めました。
<< グサッ ! >>
ケントリュウスの腕から 鮮血が流れました。
「 むむ、靴の先に刃物を仕込んでいるのか ! 」
「 そうだ、飛び出すナイフを仕込んだ
優美で上等で 危険なブーツだ、
特注品で 高かったんだぞ 」
近衛兵長は 次々と蹴りを繰り出します、
その足さばきは まるでコサックダンスのようでした。
ケントリュウスは 右に左にと体をかわします。
「 ぜい、ぜい、ぜい 」
蹴りをかわされ続け
近衛兵長の息が上がってきました。
一瞬の隙きをつき ケントリュウスが
身を屈めてから 飛び上がり、近衛兵長の顔面に
打点の高いドロップキックを叩き込みました。
<< ビ シ ッ ! バキッ ! >>
「 うぎゃぁぁあ ~! 鼻がぁぁあああ ~! 」
近衛隊長の鼻は 横を向いてしまいました。
「 流石に顔面は 脂肪の鎧とはいかなかったな 」
近衛隊長は 鼻血を吹き出し、
もんどり打って倒れ 後頭部を打ちました。
すかさずケントリュウスは
近衛隊長の 凶器ブーツを脱がしました。
「 どうだ、まだやるか ? 」
「 ば~ろぉお !
お前とは もうやってられんわ !
昔のよしみで今日はこれで勘弁して見逃してやる。
楽しいパーティは お開きだ !
いいか 追いかけて来るなよ !
絶対に 追いかけてくるなよ !
大事なことだから 二度言ったぞ !
覚えておれ ~! ほな さいなら ~ 」
そう言うと近衛隊長はスタコラ逃げ出しました。
「 あっ 逃げ出した ~! 」
「 とっ捕まえろ ~! 」
今まで固唾を飲んで見ていた群衆が声を上げました。
「 ばっきゃろぉ ~!
てめえらになんぞ 捕まってなるものか ! 」
「 逃がすな ~! 」
「 どけ ! ブサイク女 ! 」
<< ど ん ! >>
近衛隊長は 目の前の女性を突き飛ばしました。
「 なんですって ~!
お兄ちゃんは ブサイクだけど、
あたしは違うわよ ~! 」
メロスの妹でした。
彼女は 突き飛ばされながらも、
柔道のカニバサミの技のように、
自分の足を 近衛長の足に絡めました。
<< ぐ わ し ! >>
「 うぎゃぁ ! 」
<< ば た ん ! >>
近衛隊長は もんどりうって 倒れました。
「 嫁入りしたばかりの
こんなにも 麗しくも 可憐な
新婦の あたしになんて失礼なぁああ ~! 」
怒りに任せ メロスの妹は 逆エビ固めで
近衛隊長を押さえ込みました。
「 でかした、さすが わが妻 ! 」
義弟が 倒れた近衛隊長の頭を
躊躇なく 蹴り飛ばしました。
「 いよいよ 座も盛り上がってまいりました ~♪
景気を つけましょう ~♪ 」
宴会の太鼓叩きが バチを使い32ビートで
近衛隊長の頭を殴りつけます。
<< ドカドカドカドカドカドカドカ 、、 >>
「 ひぃぃい いたい いたい いたい 」
「 痛いんですかぁ ?
では癒しの妙なる調べを聞かせてあげましょう~♪ 」
宴会笛吹きが 耳元で笛を吹きます。
< ♪ ぴ~ぃぃひゃら ♪ ぴぃぃ~ひゃらら~ ♪ >
「 うわ~ぁ!
お前、音感てぇものがあるのか ~! 」
相対音感の持ち主の近衛兵長は
音程の微妙に狂った音に 激しく悶絶しました。
「 耳が腐る ~! 脳みそにウジがわく ~!
ひどすぎる ~! 」
「 お出かけできなくて残念でしたね
れれれのれ ~♪ 」
近衛隊長は群衆に捕らえられ なぶられるように、
ボッコ ボコ フルボッコの袋叩きになりました。
「 うぎゃぁ~ いたぁ~い ! ごめんなさ~い ~!
もう殴らないで ~! 許してちょんまげ ~!
すっぱり 寝返りますからぁああ ~! 」
続 く