歩けメロス 11 メロス磔台に | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

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                     peasap




 「 刑吏よ ~ ! メロス様が 来られた ~! 

   センヌティウス様は人質だ ~! 

   開放しろ ~! 」
   
   弟子のフィロストラトスは

   これ以上ない満面の笑みで  
   
   磔台の周りを 飛び跳ねながら言いました。
 

 「 ここにいるメロス様が 磔の刑にされるのだ ~!

   殺されるのは メロス様だ ~~!

   早く縄を打って磔にして処刑するのだ ~! 」

   フィロストラトスは 声高々に勝ち誇るように

   メロスを指さしながら 絶叫しました。


 「 えぇぇ まってくれよぅ、もっと穏便にぃ 、、 」

   メロスは言いました。


 「 おぉぉ ! メロス様 メロス様 ~! 」


 「 ありがたや ありがたや 救世主さま ~! 」


 「 救世主さまを 高く天に 掲げるのだ ~! 」


   メロスは 群衆に モミクチャにされて、

   高い磔台に 無理やり押上げられました。


   メロスは 不安のあまり 

   すでに 柱に はりつけられていた

   セリヌンティウスの両足に すがりつきました。

   その姿を見て群衆は感激し どよめきました。


 「 うぉぉぉおお ~! 

   今 メロス様が 磔台に登られた ~! 」

   涙を流している者も たくさんいます。


 「 ご友人の 生命を救うために

   自らが 処刑の場に 来られたのだ 」


 「 なんと 崇高な 魂なのだ ! 」


 「 神々しい お姿だ ~! 」


 「 でも、ボロボロの服を 着ているぞ 」


 「 いいや あのボロ雑巾のような お衣装は 

   自ら世俗の汚れを拭かれてきたからに違いない ~! 」


 「 そう言われると そんなような気もするなぁ 」


 「 あっぱれ ! 見事だ ! 」


 「 男の中の 男だ ~! 」


 「 それはジェンダーフリーの精神に反するから

 『 人間の中の人間 』 と言わなくっちゃ 」


 「 この世の全ての汚れを 浄化するために

   神が 我々に 遣わされた御方だ ~~! 」


 「 あぁあ ! 尊い御方 救世主さまが 

   我々の罪を 贖罪するために 

   今 ここで 昇天なさるのだ ~! 」


   拍手が打ち鳴らされ 地面が踏み鳴らされます。

   皆が 口々に狂気に取り憑かれたように叫びます、

   笛、太鼓、鳴り物が 響き渡ります、

   あちこちで狂喜乱舞の踊りが繰り広げられます、

   ダンスをしたり、熱い抱擁をするカップルもいます。。


 「 セリヌンティウス ~ おしえて、

   昇天て 何 ~? 」

   メロスは眼に 涙を浮べて言いました。


 「 メロス 戻ってきたのか ~? 

   幼い頃から嘘つきで オオカミ少年と言われ 

   村人に ボコられて 頭のネジが飛んで、

   デッサンが狂った メチャクチャな顔になり、

   約束を守れず 裏切りばかりの

   お前が よく来たなぁ。

   とても信じられないぞ 

   夢じゃぁないよな ? 」

   メロスはセリヌンティウスの頬を強くつねりました。


 「 いてぇじゃねぇか !

   誰が俺を つねろと言った !

   自分をつねってろよ このボケが !

   さあ ぼやぼやしないで さっさと代われよ !

   この ダメロス うすのろメロス ! 」


   メロスは 口汚く罵られて 激昂し 

   腕に、うなりをつけて

   セリヌンティウスの 頬を殴りました。


 <<  バチコ~ン ! >>


 「 痛ってぇな ~! もうぉぉおお !

   いったい俺が 何をしたんだよ !

   もともと お前のせいだろ、ふざけんなぁぁああ !

   この 貧乏神の 疫病神め !

   とっとと俺と変わって処刑されろよな ! 」

 
   刑吏に縛られていた縄を解かれたセリヌンティウスは

   メロスのボディにキツ~いパンチを叩き込みました。


 <<  ズドン ! >>


 「 ぐっ えぇぇぇ ~ ! 」


   メロスは思わず身体を折り曲げ 

   セリヌンティウスに倒れかかります、

   傍目には 二人が かたく

   抱擁しているかのように見えました。


 「 おぉぉ なんと 麗しい友情なのだろう ! 」


 「 さすがメロス様と そのご友人だ 」


 「 後世に 語り継がれることだろう 」


   暴君ディオニス王は、群衆の背後から二人を、

   まじまじと 見つめていましたが、

   やがて静かに 二人に近づき

   顔を赤らめて、こう言いました。


 「 お前らの望みは 叶ったぞ !

   お前らは、わしの心に勝ったのだ。

   誠意とは 友情とは 信実とは、

   決して空虚な 妄想ではなかったのだ。

   わしも もう一度 人を信用したくなったのだ、

   人として 何が正しい道なのか考えなおす 

   良い機会になったのだ。

   どうか、わしも仲間に入れてほしいのだ、

   どうか、わしの願いを聞き入れて、

   お前らの 仲間の一人にしてほしいのだ ~! 」



   何という事でしょう、

 『 人を信じることが出来ぬ 』

   そう言っていた王が、

   帰るはずがないと思っていたメロスが

   友人の元に戻ってきたことに 

   頑なだった心を 動かされたのです。



   大群衆が その言葉を聞きました。


 「 バンザ~イ ! 王様 バンザ~イ ! 」


   と 歓声が上がりました 、、、、、。



       続 く