歩けメロス 12 ディオニュオス王の変心 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい




 「 お前らの望みは 叶ったぞ !

   お前らは、わしの心に勝ったのだ。

   信実とは、決して空虚な妄想ではなかったのだ。

   どうか、わしも仲間に入れてほしいのだ、

   お前らの仲間の一人にしてほしいのだ ! 」


   大群衆が その言葉を聞きました 。


 「 バンザイ !  王様  バンザイ ! 」


   と 歓声が上がりました 、、、、、。
















        で も 
 

       そ れ は  














   刑吏や 護衛の近衛兵だけでした。

 
   ころっと心変わりした王を

   無条件に称える事が出来るほど、 

   今まで狂気の王の圧政に虐げられていた民衆は

   そんな甘っちょろくはありません、

   どっと大群衆の間に 怒りの声が起りました。


 「 なんだ それ ~! 」


 「 救世主様を 磔の刑にしないのかよ ! 」


 「 救世主様に 民衆の原罪を背負わせるんだろうが ! 」


 「 期待を裏切るなよ ! 」


 「 朝から並んで 場所取りしたんだぞ ~!

   せっかく楽しみにしていたのにぃ ~ 」


 「 救世主様の 悲劇の処刑を見て

   涙流せる カタルシスを期待してたのに ~ 」


   熱狂していた大群衆の頭の中は 

   残虐に惨殺されるメロスの処刑も 織り込み済みでした。


 「 王様 都合良すぎるだろう ~! 」


 「 それで 今までの悪行が

   許されるとでも思ってんのかよ ~! 」


 「 敵対する権威者が 簡単に仲間になって

   どう オチをつけるんだよ ~ ! 」


 「 子供だましかよ ~! 世の中舐めてんのか ~!

   いい大人はダマされないぞ ~! ざけんなよ ~! 」


 「 こんなんで 幕引きにするつもりかぁ ~? 」


 「 陳腐すぎる ~! 」


 「 ご都合主義だ ~! 」


 「 わざわざ集まった観客を納得させろ ~! 」


 「 自作自演乙 ~! 」


 「 もともとは 残虐な王様のせいだろ~が ! 」


 「 王様も はりつけろ ~!。」


 「 そうだ 王を高く吊るせ ~! 」


 「 王に むくいを ~! 」


 「 思い知らせてやれ ~! 」


 「 増税 反対 ~! 」


 「 共謀罪 反対 ~! 」


 「 王様 辞めろ ~! 」


   群衆の 不満の声が上がりました

  
 「 何を言うのだ ~! 

   下賎の者たちめ ~! こういう者たちに 

   負けるわけにはいかなぁぁあああ~い ! 」


   民衆の怒号を聞き 王は指差し怒鳴ります。

   時の権力者が 極東の島国の アキバという所で

   野次られて 怒ったような反応をしました。


 「 その下賎の者から 徴税して、 

   食っているのは どこのどいつだ ~! 」

   群衆の不満の声は やみません。


 「 下賎の者にも 感情があるんだ ~! 」


 「 下賎の 我々の 怒りを知れ ~! 」


 「 そうだ ~! そうだ ~! 」


 「 そうでゲス 」


   エッチな大人の お店を経営して 

   男の財布を軽くして なおかつ

   女性を食い物にする ゲスの極みの

 『 女衒 ( ぜげん ) 』 の者も同調します。


 「 う~む いかん いかん 。

   危うく 簡単に心変わりしそうになったのだ !

   あぁぁ わしともあろう者が、 

   まんまと 群集心理に巻き込まれたわい、

   いかん ! いかん !

   王としての権威が 損なわれるところだった。

   わしが 愚かであったわ ! 」


   ディオニス王は、また 心変わりしました。


 「 でっ でっ オイラ どうなるのかなぁぁぁ ? 」

   セリヌンティウスの打ったボディブローが効いて 

   足腰がヨレヨレになり

   その場から動けないメロスの不安は

   今だ ぜんぜん ちっとも 解消されません。

   セリヌンティウスは とっとと磔台から逃げてしまいました。


 「 王は 卑劣漢の 変節漢の、トンチンカンだ ~! 」

   王様を罵倒する声が飛びます。


 「 うむむ ! 許せん !

   やはり お前たちは信用できないのだ ~! 」

   王は 叫びます。


 「 ぶ ~! ぶ ~! ぶ ~! 

   ますます、怒号は大きくなるばかりです。


 「 この 愚民どもめ ~! 

   大人しく、お約束の 収まりのいい

   感動的な幕切れにしておけば 今回、大団円で 

 『 ちゃん ちゃん ♪ 』 と 終わったものを。

   ダラダラ長い く~だらない お話だって

   書くのは す~んごく時間が かかるんだぞ !

   そこんとこの苦労を わかってんのか ~!

   まだ、長引かせるつもりなのかぁぁあ ~! 」


 「 うるせいやい ! 」


 「 今までの悪行 悪政の始末を どう責任取るんだ ~! 」


 「 自分が 磔刑になればいいんだぁぁああ ~! 」



  
 「 お の れ ぇ ぇ え え ~ !

   お前たちは 卑しく愚かしい 下民のくせに、 

   話の流れの根本的な 論理矛盾に気づきおったな !

   最高権力者を非難し あまつさえ牙を向くとは

   この バカものどもめがぁぁあああ ~~~~! 」


   王は 真っ赤な顔をして 癇癪を起こします。


 「 国民を バカ扱いするな ~! 」


 「 王様なんて威張っても しょせん世襲じゃないか ! 」


 「 極東の島国の 三代目のエライさんなんか 

   文字も ろくに読めない おバカだぞ ~! 」


 「 民主的な選挙を させろ ~! 」


 「 ぶぅぅぅうううう ~~~~ いんぐぅうう ~~!! 」


   群衆の怒号は 地面を揺るがすほどになりました。


 「 うぬぬ、こうなったら ここに居る者全て

   ぶちぶちぶちと ぶち殺してやるのだ ~!

   兵士たちよ 刑吏たちよ かまわぬ 皆殺しにせよ ~! 」

   王は 殺戮の命令を下しました。


   近衛兵と刑吏は 槍や 剣を振りかざし、

   群衆に向かいました。

   刑場は、パニックに襲われました。

   皆、殺されてはたまりません、群衆は逃げ惑います。

   兵士、刑吏たちが動くと、 

   人の群れは 真っ二つに分かれて行きます。


 「 おぉぉお ~!

   十戒で モーゼが 群衆を引き連れて海を渡る時の

   海が割れるシーン みたいなのだ、

   愉快 愉快 うはははは ♪ 」


   逃げ遅れ 転倒した幼子を抱きしめた母親を、 

   兵士が槍で串刺しにしようと 狙いを付けました。


 「 きゃぁぁぁああ ~! やめてぇぇぇえ ~! 」


 「 王様の 御命令なんで 逆らえないんだ 」


 「 せめて 子供の命だけは 助けてぇぇぇえええ ~! 」


 「 うわぁぁぁぁああ ~ん ! 」

   幼子も 泣き叫びます。


 「 皆殺しの御命令だ 

   職務怠慢で懲罰を受けたら困るんだ、

   俺にも生活がある 宮仕えも辛いのよ、

   たとえ悪いこととわかっていても

   権力者には おもねらないといけないんだ、

   国民にバカにされても 出世できるんだよ、

   極東の島国の役人も 国会で てきと~な発言を繰り返し

   権力者を守って でんでんと 出世したそうじゃないか、

   悪りぃね 悪りぃね ワリ~ネ・デ~トリッヒ 」


 「 いやぁぁああ ~!

   誰かぁぁ ~ たぁすけてぇぇぇええ ~! 」


 「 母子一緒に ぶすりと串刺しにして

   一発で仕留めて楽にしてやるから 暴れるなよ ! 」


 「 き ゃ ぁ ぁ ぁ あ あ ~ ! 」



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