狼のブルース 15 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい


             いらすとや


  あるところに、

  お母さんヤギと、

  七匹の子ヤギたちが 住んでいました。

  ある日の事、お母さんヤギが言いました。


「 お前たち。

  お母さんは 用事で外出しますから、

  みんなで お留守番をしているのですよ。

  それから 豚さんに撃退された

  お腹を空かせた 悪いオオカミが出るというから、

  用心するのですよ 分りましたか ? 」


「 オオカミって 何 ? 」

「 食べられるの ? 」

「 いいえ 食べ物じゃないわ 」

「 じゃあ 何 ? 」

「 危ない 動物よ 」

「 オオカミって、怖いの ? 」

「 そうですよ。

  何しろオオカミは、私達 ヤギを 

  食べてしまうのだからねぇ 」

「 えぇ ? 」

「 ぼくたちを たべるの ? 」

「 怖いよ ~ ! 」

「 え ~ ん ! 」

「 大丈夫 家の中にいれば 安全ですよ。

  ただ オオカミは ズル賢いから、

  お母さんのふりをして 

  家に入ろうとするかもしれないわ。

  オオカミは ガラガラ声で 黒い足をしているから、

  そいつが お母さんのふりをしてやって来ても、

  決して家の中に 入れてはいけませんよ 」

「 は~い、わかったよ 」

「 絶対 家に入れたりしないよ 

「 そうだ そうだ 」

「 そこまで ぼくたちは おろかじゃないよ 」

「 そうね、ちゃんと お留守番するんですよ 」

「 は ~ い 」

「 わかった ~! 」

「 じゃあ、いってらっしゃい 」

「 いってきますよ いい子にしていなさいよ 」

  子ヤギたちは お母さんヤギを見送ると、

  玄関のドアに カギをかけました。


<  ガ チ ャ リ ! >


  しばらくすると

  今まで 姑息に 隠れて

  様子を伺っていた狼が

  姿を 現しました

「 しめしめ 母親は出かけたな。

  やっと レンガの家から 命からがら

  苦労してトンネルを掘って大脱走してきたんだ。

  飲まず食わずで 腹へって 腹へって たまらない、

  体力落ちてるから 子ヤギを食べて

  元気にならなくっちゃ。

  あぁ さぞ 子ヤギは柔かくて

  美味しいんだろうなぁ うひひひ ♪ 」

  狼は 玄関の戸を叩き 

  よだれをダラダラ垂らしながら 言いました。

「 坊やだち”~、開げておく”でぇ~、

  お母~ざんだぁ”よ ~ 」

  すると、子ヤギたちが言いました。

「 う そ !

  お母さんは、そんなガラガラ声じゃないよ 」

「 そうだ、そうだ 」

「 だまされるものか ! 」

「 お前は オオカミだろう ! 」

( ち っ ! 

  声でばれたか まんざらバカじゃなさそうだ )

「 とっとと かえれ ! 」

「 バ~カ 」

「 バ~カ 」

「 マヌケ 」

「 お前の母ちゃんデベソ 」

「 なんだと ちきしょう 

  母ちゃんまでバカにしゃがって!

  覚えてやがれ ~ ! 」

  狼は 少し考えて 薬屋に行きました。

「 おいら 声がハスキーなんだなぁ ~

  のどに良いものは あるかなぁ ? 」

「 いらっしゃい そうですね、

  のど飴などは いかがでしょう 」

「 じゃぁ それ おくれ 」

「 お代を お願いします 」

「 オオカミに 貨幣の支払いを求めるのは

  間違っていると思うぜ

  俺は貨幣社会には 組み込まれないのさ

  なにせ ロンリー・ウルフだかんね 」

「 なにぃ ふざけんな ! これでもくらえ ! 」

  薬屋は たまたま手にしていた 

  黒板用のチョークを 投げつけました。

「 あ う っ ! 」


  驚いた狼の口に チョークが入り、 

<  がりがり ごっくん ! >

  オオカミは反射的に 噛み飲み込んでしまいました。  

「 うえっ ぺっぺっ ! 何を喰わせるんだ ! 」

  狼は 逃げ出しましたが

  なぜか のどが すべすべしました。

「 あ ~ あ ~ ♪  あ れ ぇ ? 」


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。



「 坊やたち~、開けておくれ~、お母さんだよ~♪ 」

「 あっ、お母さんの声だ ! 」

「 おかえりなさい 」

「 おかえりなさい 」

  子ヤギたちは玄関に かけよりましたが、

  ドアの すき間から見えている足が まっ黒です。

「 なんだよ その足は ! 」

「 お母さんは、そんな黒い足じゃないよ ! 」

「 オオカミか ! 」

「 そうだ、そうだ ! 」

「 お前は さっきのオオカミだろう ! 」

「 ざけんなよ ば~か ! 」

「 ぎゃははっ ば~か ! 」

「 だまされるもんか ば~か ! 」

「 くされ オオカミ おとといおいで ! 」

( ちっ、足の色で ばれたか 

  観察力も あるじゃぁないか

  ガキ共め ホントに めんどくさい連中だなぁ 

  あぁ もう 腹が立つし 腹も減るし ! )

  そこで オオカミはパン屋に行きました。

「 ごめんよ 誰かいるかい ? 」

「 いらっしゃい ! 」

「 小麦粉が欲しいんだが 」

「 パンなら 売るほどありますよ 」

「 おいらが 今ここで パン食べてどうする、

  パンを食べて満足したら

  これから 話が進まないだろう、

  パンごときの 炭水化物で満腹するのは 

  オオカミのプライドが 許さないのだ。

  おいら 小麦粉が 欲しいんだよ ! 」

「 さいですか じゃぁ業務用ですが これを 」

「 ありがとよ 金は無いんだ つけといて 」

「 お客さん そういうわけにはいきませんぜ 」

「 なんだと ! オオカミを怒らせるなよ !

  がぶりと お前を食っちまうぞ !

  ガルゥルルル ~! 」

  狼は おもいっきり でかい口を開け威嚇しました。

「 ひぇぇえええ ~! それはご勘弁を 」

「 じゃぁ オレの足に 粉を付けるんだ ! 」

「 はぁ はい 、、、 」

  空腹で イラついた狼は

  店の主人を 脅して、

  小麦粉で 足を白くさせました。

「 フライにでも するんですか ? 」

「 そうそう 

  ケンタxキー・フライド・チキン・ハート・ウルフ

  って 、、、 おい ! 

  おいらが 自分の足を フライにしてどうする、

  お前を フライにして食ってやろうか ? 」

「 ご勘弁を お代はけっこうです、

  小麦粉は お持ちください ~ 」

「 そうかい そうかい 小麦粉だけに

『 あげ( 揚げ )ます  』 ってか

  うひょひょひょ ♪ 」


    続 く