「 ほ~んとに 豚って バカばかりじゃん
美味しく太って 喰われるだけ
おいらのために ご苦労様ってか ♪ 」
重く丈夫なドアを開けて
狼は レンガの家に入りました。
「 おやぁ どなたか いませんか ?
声がしたのに 変だなぁ ?
なんだか 外観に比べて 異様に狭い家だぞ 」
狼は 周りを見回しました。
「 ふ~ん 壁が 無駄に厚く作られているんだなぁ、
がはは 馬鹿め !
俺様が入っちまったら 丈夫な壁もドアも
何の役にも立たないじゃないか、
豚の考えることは なんて トンマなんだ
うわっはははははははははははは ♪ 」
<<< バ タ ~ ン ! >>>
ドアが 閉じました。
「 なんだ ? どうしたことだ 」
狼は ドアを開けようとしました。
「 おゃあ ? ドアが開かないぞ !
部屋の奥には 小さな窓があるが
鉄格子が つけられている、
これじゃぁ 出られないじゃぁないか !
お~い ! 誰かぁぁあ ~!
開けろぉぉぉおお ~ ! 」
狼は ドアの鉄格子越しに 大声で叫びました。
その時、ドアの外から 声が聞こえました。
「 あははは 残念だったねぇ オオカミさん ♪ 」
と ビッグ。
「 何 ? 残念だとぉお ? 」
「 うふふふ その鉄格子が お似合いだねぇ ♪ 」
と ミッド。
「 てめえら 何を言ってやがる ! 」
「 えへへへ 鉄格子の窓の外から あんたを呼んで
部屋の中に おびき寄せたんだよ ~♪ 」
と ビット。
「 なんだとぉぉぉおおお ~! 」
「 最初の藁の家で こんがり丸焼きに
するつもりだったんだけどなぁ
さすがに 札付きのオオカミだね
逃げられちゃったよ 」
と ビッグ。
「 この野郎 !
ワザと火事を 仕掛けやがったのか ~! 」
「 ピンポ~ン ♪
そうだよ おびき寄せて 迷路に入り込んだ時
火をつけて 僕は藁の隙間から
さっさと 外に出たのさ、
でも 逃げられちゃったねぇ あはは ♪ 」
と ビッグ。
「 じゃぁ 木造の家も そうなのか ~!? 」
「 そうだよ あんたも気付いただろう ?
屋根が異常に重く いびつに作ってあったんだよ~。
柱も細く そこに切れ込みも 入れておいたのさ、
隠し扉から外に出て
ロープで引っ張って、家を崩して、
あんたを ぺっちゃんこにして
オオカミ梅ジャムせんべいにする予定だったのに、
あんたが 一瞬先に 柱を蹴り倒したから
計画通りには 上手く 潰れなかったみたい、
さすがに あんた 悪運が強いねぇ 」
と ミッド。
「 するってぇと この家もか ! 」
「 そうで~す オオカミ専用の 牢獄だよ~、♪
あんたの これまでの罪状で 有罪 !
仮釈放のありえない 終身刑です ~♪ 」
と ビット。
「 他の オオカミたちの 見せしめにもなるしね 」
と ミッド。
「 まぁ ゆっくりしていってね
先は 長いよ。
あはははははははは ♪ 」
と ビッグ。
「 騙された ~!
おいら まだ 一匹も 豚を食べてないのにぃ ~ !
ギャオ~ン ~! 」
狼の悲しい叫びは 遠い山まで響きました。
他の狼達は その叫び声に 震え上がりました。
どうやら その村には 狼も敵わない
恐ろしい生物がいるらしいと。
「 馬鹿だね ~ このオオカミ
ふつう 2度目で 分かりそうなものだけどなぁ 」
と ビット。
「 自分の おバカさに 気づいていないんだね 」
と ミッド。
「 他者を 侮ってはいけないという
良い教訓には なったろう
今更 手遅れだけどね。
水なし 食事なしで いつまでもつかなぁ。
しばらくしたら 見に来ようか
ミイラになった オオカミをね 」
と ビッグ。
「 それは 楽しみだねぇ 」
と ミッド。
「 剥製に しようかな 」
と ビット。
「 あはっはあははははははっ ♪ 」
「 うしゃしゃしゃしゃしゃしゃ ♪ 」
「 ぎゃっはっははははっははは ♪ 」
三匹は 顔を見合わせ 満足そうに
大笑いしました。
「『 自分こそ正しい 』 という考えが、
あらゆる進歩の過程で 最も頑強な障害となる、
これほど馬鹿げていて 根拠のない考えはない
( J.G.ホーランド ) ということだね 」
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「 ばぁろぉぉおお ~! 出せ ~ !
く そ ~!
こんなに頑丈な壁 作りやがって ~!
あぁぁ ~ 腹へったぁぁああ ! 」
狼は 空腹で 床に崩れました。
悔し紛れに 床を 力なく叩きました。
「 おゃあ ~?
床は 土の ままじゃん 、、、、、 」
続 く