恋人たちの別離 8 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい



  50ミリ機関砲の集中攻撃が続いた

  敵機動歩兵機の 動きが止まった

「 打ち方やめ ! 」

  部隊長の命令がくだった

  しかし外部装甲は 打ち破れない

  これで大丈夫なのだろうか? 

  反撃されないだろうか?


「 あのぅ 部隊長 ? 」

  誰かが 質問しようとしている

  同期の新兵だった

「 トドメを刺さなくてよいのでしょうか? 」

「 ああ もう良い 」

  理由がよくわからない

「 機動歩兵機から引きずり出したほうが良いでしょうか

  捕虜として 、、 」


「 ふっ おそらく 引きずりは 出せない 」

「 何故でしょう? 」

「 パイロットは 良くてバラ肉

  酷ければ ミンチ肉になっているだろう 」

「 どういうことでしょうか? 」

「 新兵の君は 知らないだろうが

  強固な装甲の中のパイロットには

  高熱と衝撃波が襲う

  集中砲火を受ければ 機体損傷がなくても

  中の人間は 耐えられない

  掃除が大変だ

  我々は そこまで行わない

  私はベジタリアンだ 見たくもない  

  機材は大事にするが パイロットは使い捨てだ

  他の機動歩兵機は どうした ? 」


「 どうやら砂塵の中で敵機体の乱反射した影を 

  複数と見間違えたようです 」

「 孤立した残留兵だったのか

  はぐれ 残され 機動歩兵機用マシンガンも失い

  一か八か 通りかかった我々の補給トラックを襲い 

  武器調達を狙ったのだろう 」



  何ということだ 装甲は 機体を守っても

  人体は守れないということなのか

  実戦とは こういうものなのか

  敵兵の無惨な姿を想像して 吐き気をもようした

  しかし それは 僕の身にも起こりうることだった