彼が 惑星間戦争に 出兵する前に
私は 自分の卵子を 冷凍保存していた
戦地で 彼が何年過ごすか わからなかったからだ
彼を失った嵐のような悲しみが
心に吹き荒れ 打ちのめされた
嘆き 泣き暮らす日々が続いた
ある日 彼が夢に現れた
庭に立ち 振り向き 笑顔を見せる
私も笑顔を彼にかえす
温かな気持ちに 心満たされた
目覚めた時
彼は私の心の中にいることに気づいた
悲しみを打ち破るために
一つの 決断をした
一つの 光明が見えた気がした
彼の命を継ぐ存在を この世に生み出すと
彼の冷凍保存された 『 DNA 』 と
私の保存していた 『 卵子 』 を
一つの命として 誕生させる
受精 着床は成功した
つわりや 体調不良はあったが
彼と私の子は 順調に発育した
やがて誕生の日を迎えた
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庭の芝生で遊ぶ その姿は
アルバムで見た 彼の幼い日の姿と
生き写しだった
振り向いて 手を振り 笑顔を見せる
それは 彼そのものだった
私は 幸せだった日々を 取り戻した