偽作 白雪姫 4 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

                                                   tzunghaor


  7人の 小さな人たちは 鉱山技師をしています

  彼らは 国家の管理下でない鉱山で

  密かに 金 銀 銅 などを採掘しています

  それらを 国を通す事なく 非課税で

  非合法に 隣国に横流ししていたのです

  白雪姫が 家事をしてくれると

  彼らは より効率的に働くことが出来ました


「 さて 今日の 食事は なんだろう ? 」

「 最初は ひどかったが 今は素晴らしい味だねぇ 」

「 うん 毎日 楽しみだねぇ 」

「 ほんと ほんと 」


  宮廷料理を食べて 舌の肥えていた白雪姫は 

  見事な味付けの料理を 作るようになりました


「 あぁ なんて 美味しいんだ 」

「 おかわり 」

「 俺も 」

「 おいらも 」
  
「 ボクも 」

「 以下同文 」

「 うふふっ 作りがいがあるわ 

  みなさん いっぱい食べてね 」


  七人は 標準サイズのベッドと 椅子を作りました 

  白雪姫は手足を伸ばし ぐっすりと寝ることが出来ました

  平穏な日々が 過ぎていき

  白雪姫の 逃避行の疲れもすっかり取れました

  ある日 白雪姫は 彼らに質問しました

「 あなた方は どうして こんな辺鄙な所で働いているの ? 」

「 うぅん 話せば長くなるけどね 」

「 実は 俺達は もともと

  職業レスラーとして働いていたんだな 」

「 四角いリングで 熱い戦いを繰り広げていたのさ 」





「 そうそう ミゼットレスラーとして 

  そこそこ人気があったんだよ 」

「 でも 一部の良識派といわれる連中が 

  フリークスのショーは 

  いかがなものか などと言い出して 」

「 新しい王妃様が 

  そんな ごく少数の意見を支持したんだ 」

「 新王妃は 差別主義者という話もあるよ 」

「 おいらたちの 容姿が お嫌いらしい 」

「 高身長で細マッチョのハンサムが お好きのようだ 」

「 それで フリークスのショーは ご法度だとさ 」

「 自分は ギンギラギンに着飾って 仮装行列みたいなくせに 」

「 おいらたち 長年ショービジネスで 食べてきたのにぃ 」

「 言い出した良識派の連中も 歪んだ正義感を振り回し

  何かに いちゃもんを付けたいだけなんだ 」

「 そいつらも 新王妃様も 無責任だよ

  僕たちの 再就職の 世話をするでもなく 」

「 仕事を取り上げられて 

  おいら達 どうすればいいのさ

  何ら 生活の保証もないのに 」

「 結果 ぼくらは 失業さ 」

「 この時代 失業保険もないのにぃ 」

「 ただでさえ 俺たち差別されるのに 

  不況で 他の仕事にも ありつけず 」

「 一時は 盗賊にでもなろうかと思ったけど 」

「 でも俺達 身体は小さくてもプライドは高いのさ 」

「 人さまに 迷惑かけたりはしたくないよ 」

「 食うや喰わずの 泥水を啜るような生活をして

  流れ 流れて こんな辺鄙な地に

  たどり着いたのさ 」

「 畑でも作ろうかと あちこち開墾していたら 」

「 なんと ラッキーにも 鉱山を見つけて 」

「 力自慢のおいらたちには うってつけだったわけ 」

「 そんなこんなで やっと暮らしも落ち着いて 」

「 なんとか食えるようになってきたところなんだよ 」

「 でも設備投資に お金がかかって 自転車操業 」

「 贅沢は できないけどね 」

「 大金を貯めて いつか この国の体制に

  一矢 報いてやろうと思っているんだな 」

「 王様は 新しい王妃の いいなりで 

  この国の 行く末が心配だよ どうなることやら 」


  その言葉を聞くと 白雪姫の顔は 見る見ると曇り

  その目が 潤んだとかと思うと  

  ポロポロと 大粒の涙が こぼれました


「 どうしたの ? 」

「 泣かないで 」

「 僕らが 付いているから 大丈夫 」

「 さぁ 元気をだして 」

「 ほれほれ ぼくらの ピクピク躍動する

  筋肉を見て 機嫌を直して 」


  白雪姫を 勇気ずけようと

  小さい体でも 鍛え抜かれた肉体で 

  彼らは それぞれに ポージングをして見せました


「 アッポ~ 」

「 シャア ~ 」

「 ファイヤ ~! 」

「 おれは かませ犬じゃねぇ ~ 」

「 ぷろれす らぶ ~ 」

「 元気ですか ~? 」

「 元気があれば 何でもできる ~! 」


       続 く