偽作 白雪姫 2 | 藤花のブログ 詩と

藤花のブログ 詩と

この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

「 どうも すんませんねぇ

  白雪姫さまを 始末するように 

  命じられているんでさあ

  ヤバい筋の博打で 首が回らないんでさぁ 

  あっしにも生活が ありやして 

  前金も もらってますんで

  勘弁しておくんなまし お覚悟を 」

  狩人は 言いました


「 そうですか ひとつ 教えてください 」

  白雪姫は たずねました


「 ええでがす なんでしょう ? 」

「 誰に 命じられたのですか ? 」

「 なんだか 鏡の裏に 

  こそこそ隠れている人だったねぇ 」

「 お城の 人ですか ? 」

「 まぁ そういうこったねぇ

  エライさんの従者みたいだねぇ 」

「 その人も誰かに 命じられているのですね ? 」

「 それは 言ってはいけないんだけっどもよぉ 

  どうも 王室関係者らしいやねぇ 」

「 それは 新しい王妃ですか ? 」

「 なんとも言えねぇんだが どうもそうらしいなぁ

  他には 白雪姫さまを狙う人などいないと思いますよ

  今度の王妃さまは なんだか 陰険で 剣呑で

  悪い魔女か 悪魔のようで こわいですなぁ 」

「 あなたは お金に困っているのですね ? 」

「 そうでがす 」

「 ならば 私が その問題を解決してあげましょう 」

「 えっ ? それは ほんとうでげすか ? 」

「 私が身に付けている これらの宝石は 

  お父様から頂いた たいそう高価な品です

  私を逃してくれたら これを 差し上げます 

  これから貴方は 一生 遊んで暮らせるでしょう 」

  白雪姫は 暗殺命令を請けた狩人を

  身に付けていた  指輪 ネックレス 

  イヤリング等の宝石類で 買収しました


「 うほほほ~い ! ラッキ~♪ 生活が楽になるなぁ

  ヤバい筋の 博打の借金も全部返せるし

  狩りをしなくても シチューに 

  お肉たっぷり入れられるなぁ

  ハンバーグもいいなぁ スイーツも食べられる

  豊かな食生活 うほほっ ♪

  あぁ~! でも それはダメですだ 」

「 なぜでしょうか ? 」

「 あっしは 暗殺の証拠に 白雪姫さまの心臓を 

  持ち帰るように 命令されてるんでさぁ 」

「 ならば 豚の心臓を 持ち帰ると良いでしょう

  豚と 人の心臓は 類似しています 」

「 ほう なるほど さすが白雪姫さまは 賢いですなぁ 

  あぁ それと 申し訳ないけっどもよぉ 」

「 まだ 何か ? 」

「 白雪姫さまの乗ってきた馬は 連れてかえりますだ

  あっしが しかられっちまうだ

  かんべんしてくんろ 」

「 しかたありません 

  では この宝石を お持ちなさい 」

「 ありがとうごぜぇますだ

  白雪姫さま どうかお元気で 」

「 はい あなたも気をつけておかえりなさい 」


  狩人は 白雪姫を始末してから 

  宝石を奪うという事までは 頭が回りませんでした

  彼は 白雪姫の心臓と偽るために 

  ツケ払いで豚を調達しました

  心臓以外は 自分が食べようと考えました
 

  そして 宝石類を懐に 意気揚々と帰ったのでした

  やがて自分に訪れる運命を知らずに


  白雪姫は 新王妃が輿入れしてから

  何とも言えぬ 城内の不穏な空気を感じていました

  少しずつ城内が 黒い霧に覆われていくような

  息苦しささえ感じるようになってきていたのでした
  
  継母の王妃に 狩りに出かけるよう勧められたときに 

  少し嫌な予感がしていました 


  しかし 新しい継母のいる王宮の 

  息の詰まるような生活よりはまし

  気晴らしのためと考え

  うかつにも 狩りに出てしまったのです

  
  ちなみに 宝石類はイミテーションでした

  白雪姫は身だしなみとして それらを付けていました

  本物は お部屋の金庫の中
  
  社交界のパーティや 舞踏会などでしか使用しません

  ましてや 狩りに行く時などは

  当然イミテーションでした

  狩人はガラス玉と宝石の違いが分からなかったのです
  
  
「 狩人が持ち帰る 豚の心臓で騙されるほど 

  王妃と その取り巻きは間抜けではないはず

  追手が送られるのは 確実だわ 」

  白雪姫は 冷静に状況を判断しました 


「 しかし 次も 間抜けとは限らないわ

  できるだけ遠くへ逃げなければ 危険ね 」


  王妃の暗殺計画から 辛くも逃れた白雪姫は 

  飲まず食わずで 先を急ぎました

  若い白雪姫は 街道を避けて

  徒歩で獣道を歩き

  7つの山を超え 森をさまよいました


  体力のある限り 可能な限り歩きました

  しかし 足には靴ずれができ 血もにじみました

「 足が痛い もう 歩けそうもないわ 、、、 」


  疲れはてて もう 行き倒れてしまうと思ったとき 

  とある小屋を見つけました





「 あっ こんなところに小屋があるわ 

  だれか いるかしら ? 」


  そっとドアを開けて中に入ると そこは
  
  テーブル一つと 金魚鉢が一つ 

  小さな椅子 小さなベッドが 7つずつある

  縮尺が違っているような 不思議な空間でした
 

「 こんばんは どなたか いますか ? 」


       続 く