不定期百物語『 盆踊り 』 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい


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  暑い暑い夏の午後 昼寝をした、 

  日暮れ時に まどろみから目覚めると

  父と母が 私を盆踊りに誘った。


  幼い私は 二人に手を引かれ公園に向かう。

  公園には やぐらが組まれ、

  提灯が たくさん吊り下げられていた。

 
  皆が 楽しそうに踊っている、

  父と母と私も 踊りの輪に加わる。


  気がつくと 楽しそうに踊る友人の姿があった。

  何故か 違和感を覚えた、














  そうだ 友人は 去年 亡くなったはず、


「  ど う し て ?  」


  私は 両親にその事を話す。


「 盂蘭盆には 亡くなった人達の

  精霊が 帰ってくるんだよ 」


「 そうよ 懐かしい人達が帰ってくるのよ 」


  その言葉を聞き 私は気づいた

  もう 父も母もいない。 

  父は癌で 母は事故で 早くに この世を去った、

  私は 幼子ではなく 今は大人になっている。



  私は それ以上 話しかけなかった、

  父と母が この場から

  消えてしまうかも知れなかったから。


  もうしばらく このまま踊っていよう、

  もうすぐ お盆は終わってしまうのだから。


  夜空には 満月が輝いていた。



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  盆踊りとは元々 仏教行事です。

  平安時代、空也上人によって始められた 

  念仏踊りが 盂蘭盆の行事と結びつき、

  精霊を迎え 死者を供養するための
 
  行事という意識になっていったようです。
 
  昔は 旧暦の7月15日に行われていて、

  故に盆踊りは いつも満月でした。