不定期百物語『 凍りつく 4 』 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

 気絶するほど殴られた あくる日

 彼は いつものように謝り

 何か プレゼントをすると言った


 二人が出逢って もうすぐ一年になる


 私は 近所のリサイクルショップで見た

 横置きの 大型フリーザーを望んだ

 まるで 中くらいのバスタブほどの 

 大きな 上蓋に鍵付きの冷凍庫

 どこかで 業務用として 

 使われていたのだろうか

 彼は いぶかしんだが同意した

 二人の暮らしには 

 分不相応な 大きさだが 

 食材を 買い置きでき

 食費の節約になると 納得させた









 後日 手付金を払い

 一年目の記念日に 配送を頼んだ

 キッチンに入った フリーザーは 

 店で見るより 大きく感じられた


 記念日の 料理を作った 

 彼の 好物を並べる

 ウイスキーも買って 

 彼と 祝杯を上げた

 彼は 料理を平らげ 

 遠慮がちに 四杯目の 

 グラスを 空けた










 睡眠導入剤 入りの 

 ウイスキーの 水割りを 、、、









 私達は これからも 一緒だ 

 ずっと 離れない
















  彼は 静かに 眠っている 

  穏やかに 

  微笑んでいるように

  冷たい フリーザーの中で





  あの 冬の日を想う

  凍えるような日だった と

  あの日の 彼の笑顔を 

  思い 出す
 

  優しく 暖かな 笑顔を


  わ す れ な い 、 、 、



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         了