人魚姫 ブルー・マーメイド3 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

、    
「 これから私は 愛に生きて 陸上で幸せに暮らします

  十五歳まで 育ててくださってありがとうございました

  私を 探さないでください 」


  人魚姫は お城に置き手紙を残して手術に臨みました


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


 人工多能性幹細胞組織培養

 硬膜外マトリックス溶液に満たされた

 大型カプセルの中に 人魚姫は入りました


「 目が覚めた時には 私は人間に生まれ変わるのね 」


「 そうよ 楽しみにしていなさい うふふ 」


  麻酔で 人魚姫の意識は薄れました
 
  人魚姫は 蒼い溶液の中 泡に包まれました 


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

 
 何日も何日も 人魚姫は 夢も見ず眠り続けました

 科学者は ずっと慎重に観察していました


 人間の王子の遺伝子が 人魚姫の遺伝子と融合され

 細胞レベルで人魚姫の肉体は 

 人間の身体へと 再構築されていきました


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


  どのくらい時間が 経過したでしょう

  深い深い海底から 浮き上がるように

  人魚姫は 意識を取り戻しました


「 手術は成功しましたよ 」


<< あっ ありがとうございます >>


 人魚姫は 人間の可聴領域を超えた声でしゃべりました


「 人間とは話せませんが

  文字を使って筆談をするといいわ 」


<< わかりました >>


「 それと人間の世界には 人間の衣装を着ていきなさい 

  人間の世界で 裸では危険です 

  人間の世界のオスには 

  あんな事や こんな事をする いやらしい変質者とか 

  ど変態とか お下劣な者が たくさんいるのですよ

  シャチや サメのように 

  本能のまま 女性に食いつくのです

  姫の身に 何か事があってはいけません 」


  ” 。。。。。。。。。。 ”


  人間の服のコレクションを持っていた科学者は

  色々と 見繕いました


「 これは エロいし ケバいし

  これは ガキっぽいし えぇっとぉ 」


  派手でなく落ち着いた 

  動きやすい 品の良い服を着せました

  海難事故などで 流されてきた物でした

  
「 白いソックスを 履かせぇてと

  靴は 大人しめの ローファーにして

  髪には フリルのリボンを付けましょうか

  うん 素晴らしい !

何処に出しても 恥ずかしくないわ 」
   
  
<< お世話になりました >>


「 しっかり やっておいで 元気でね 」


  遺伝子工学の科学者に 見送られ

  人間の女性の姿になった人魚姫は 
  
  喜んで地上に上がりました

 
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 海から地上に上がり 二足歩行をすると

 海の中とは違い 大変な重力を感じました

 慣れない足は 体重を支えなければいけなく

 強い痛みで気絶してしまうかと思うほどでした

 しかし王子様に会いたいという一念が 

 まだ順応していない足を 前に前にと進ませ

 人間の世界の 愛しい王子の お城にたどり着きました

 お城は海辺からも見える 小高い丘にそびえていました


” けれど どうすれば王子様に逢うことができるかしら ? ”


 人魚姫は そこまでは考えてはいませんでした

 門前払いをされてしまうかもしれません

 急に 心細くなり 悲しくなりました


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 先の嵐の海で 何名もの侍従の者が負傷して療養中のため

 王子は お城で働く新しい人材を求めていました



「 お~い そこの お嬢さん 

  新規採用の受付は こっちですよ 」


  お城の門番は 偶然にもメイド服姿だった人魚姫を

  てっきり 侍従の応募者と思いました

  採用係に王子の面接に連れて行かせました


「 はい 次の方 どうぞ 」


  人魚姫は 王子との面接に のぞみました


「 あぁ、なんと美しい娘だ 深い海のような瞳 

  なぜか 何処かで見た覚えがあるような気がする 」
 

  王子は人魚姫を 一目見て親しみを覚え 気に入りました 
 

「 お前は 誰なのだい ?

 なんだか 他人のようには思えない 」


  でも 人魚姫は声を失っていたために 

  しゃべることが出来ませんでした
 
  王子に逢えた嬉しさに はにかみ静かに微笑むだけでした


「 話すことが出来ないのだね,

 聞くことはできるのかい ? 」

  人魚姫は うなずきました


「 ならば この僕の そばで働いておくれ 」

  王子は人魚姫を 侍従の一人に加えました


「 お前の 名前は なんというのだい ? 」

  王子は 人魚姫の名前を 尋ねました 
 
  人魚族の名前の発音は 人間には難しく

  同じ意味の 人間の言葉を 紙に書きました


「 ” サファイア ” か なるほど 

  お前の 蒼く 輝く 瞳の色 そのままだね 」


  王子は 人魚姫を妹のように かわいがりました。

  王子の遺伝子を加えられて

 改造手術をされた人魚姫は

  ある意味 王子と兄妹のようでもあり

  双子の ようでもありました

  二人は 強くシンクロしたのです


  しかし王子は 人魚姫が自分を 海難事故の時

  助けてくれたことには 気が付きませんでした


  人魚姫は王子の身の回りの世話をすることになりました

  彼女は 王子のそばで暮らせることを大変喜びました

  いつまでも いつまでも

 この幸せが続くように願いました


       続  く



  改造手術は健康のために 御注意ください。

  悪の秘密結社に 怪人に改造される恐れがあります。



    ( サファイア )宝石ブルー

  サファイア  Sapphire、蒼玉 ( 青玉 ) は、
  コランダム Al2O3、酸化アルミニウム の変種で、
  宝石の一種。
  語源は 「 青色 」 を意味する
ラテン語の 「 sapphirus 」、
 ギリシャ語の 「 sappheiros 」 に由来する。