歩けメロス 24  | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

 
  牧人であるメロスは

  日頃、野山で羊を追っているので

  意外と脚腰は強いのです。

  群衆の隙間を狙い ドブネズミを思わせる

  ちょこまかとした走りで 逃げ回ります.


「 ひぃぃぃい~! 捕まったら殺される~! 

  走るんだ、走り続けるんだ、

  走れオイラ、 走れメロ~ス ! 」

  メロスは汗だくになり、刑場を逃げ回ります。

「 そっちに逃げたぞ!」

「 捕まえろ ! 」

「 縄とかないか? 」

「 あるけど、どうするんだ ? 」

「 投げ縄にするんだ、

  あいつは まるで イノシシみたいだからな 」

「 わぁ~!わぁ! 」

  まるで、野生動物の捕獲の様相です。

「 わぁ そっちに逃げたぞ、ドッ捕まえろ ! 」

  刑場を およそ4~5周もしたでしょうか、

  疲れて乳酸の溜まったメロスの足は もつれ 

  地面に 顔面から つんのめりました。

「 逃すな ! 」

「 捕まえろ ! 」

  群衆に 飛びかかられ カエルのように

  押しつぶされました。

<<  ムギュ ! >> 

  「 しぬぅ ~ 鼻血ブ~! 」

「 潰すな、殺すな ! 

  あくまでも、行きたまま はり付けにするんだ、

  神への 貢物だ、いけにえだ 」
 
  
  縄で縛られ捉えられた メロスは鼻血を垂らしながら

  王様の隣の 十字架に はりつけられました。


「 じぇじぇじぇ !?

  何すんのぉ ~ オイラも下賤の仲間だよ ~ 」


  しかし そんな言葉も王様のわめき声にかき消され

  誰の耳にも届きませんでした。

  十字架に 磔られたメロスの姿を見て

  嬌声を上げ 大群衆は熱狂します。





 「 お お お ぅ ~ ! 」


 「 奇跡の救世主さまが 

   この世の罪を全て その身で あがなうために

   天に召される時が 来たのだ ~! 」


 「 メロス様 バンザ~イ ~~~! 」



 「 ちょっとまってよ ~!

   この状況なら オイラまで はりつけなくても、

   王様ひとりを はりつけたら

   それだけで いいんじゃないの ~?

   悪いのは 王様でしょう ? 

   ち が う の ~!? 」

   メロスは 叫びます。


      続 く