「 うねぬ ! 何をしている ~!
命令が聞けんのか ~!
わしを愚弄する下賎の者を
皆殺しにするのだ ~! 」
今や 裸の王と化した 孤立したディオニス王が、
磔台の上で 声を枯らして叫び続けています。
「 王様 ~ うるさいよ ~
殴られた腹に響くよ ~ 」
メロスは だらしなくへたり込んだままです。
興奮して わめき散らしている王は
怒れる民衆 被害者の会の者たちに詰め寄られ
「 おぉぉお ! 何をするのだ !
下賤の者達のくせに ! 」
抗議の叫びも虚しく 王は
処刑用の十字架に はりつけられました。
「 次は救世主様を 十字架にかけるんだ ! 』
「 救世主メロスを! 捕まえろ ! 」
「 な ん で ~? 」
「 メロスに俺達の原罪を背負わせるんだ 」
「 それはナイス・アイディア 」
「 かかれ~! 」
「 えっ !なんですとぅ、
げんざい? ぜんざい? おばんざい? 」
とメロス。
誰かの手が メロスの肩を掴みました。
「 ひゃぁぁああ~! 」
メロスは体をよじり 手を振りほどきました。
「 逃がすな ~! 」
「 きゃぁぁぁああ ~ ! 」
メロスは 駆け出しました、
ラグビー選手のように
捕まえに来る群衆を避けて 走りました、
疾風のごとく、いや 脱兎のように、
いやいや 汚いドブネズミのように
広い刑場を駆け回りました、
おデブで 短足なので ちょこまかと。
「 そっちに逃げた~!」
「 絶対 逃がすな ~! 」
「 てめぇ このヤロ~! 」
救世主さまと持ち上げられたメロスでしたが、
今や逃亡犯扱いです。
どうなるメロス ?
続 く