、
<< ど す ~ ん ! >>
一瞬の静寂の後 口々に声が聞こえます。
「 ダメじゃないか みんな受け止めずに逃げちゃ 」
「 お前もな 」 「 お前こそ 」
「 死んじまったら 保証はどうすんだ 」
「 知るかよ ! 」
「 雇用保険とか 生命保険とか どうなってんだ 」
「 非正規だから 入ってないんじゃないのか ? 」
「 じゃぁ しょうがないか
弱者は 報われないんだなぁ 」
「 おっ ! 脈があるぞ 」
「 かろうじて生きてるようだ 」
「 おい ! ちゃんと呼吸が 出来るか ? 」
「 大丈夫か ? 」
「 気付けに アップル・ブランデーだ ! 」
「 どうだった ? 」
「 ビル ! 何があった ? 」
「 話してみろ ! 」
「 ぁぁあ、何だか わかんないんだけどぉ、
なんか巨大な足が 急に迫ってきて、
それで おいら、ふっ飛ばされちゃってぇ ! 」
「 う ぬ ぬ !
今や この家は未知の巨大不明生物に占領された 」
白ウサギが 言いました。
「 被害者が多数出る前に何とか対処しないとなぁ 」
「 家ほどもある 巨大モンスターに
われわれは どう立ち向かえばいいのだ ? 」
「 あぁ 巨大生物退治の 赤銀色の巨大ヒーロや
カラフルな合体巨大ロボットが来てくんないかなぁ ~ 」
「 あれは極東の島国に住んでるんじゃないのか ? 」
「 毎週毎週 怪獣が出現する国って住みにくそうだよね 」
「 あの極東の島国 地震も 火山も多いんだよね、
ゲシンリキ発電所も多いし 」
「 事故が収束しないのに再稼働 」
「 同じ地震国のイタ~リ~は
国民の反対で 再稼働しないんだよな、
東洋の島国って 不思議な国だなぁ、
隣国の ミサイル怖がってるくせに、
海岸線に ゲンシリキ発電所 いっぱいあって、
地震も多くて 災害の多い国なのに
何かあったら どうすんだろうね ? 」
「 もう すでに 何か 起きちまったじゃないか、
皆、忘れたふりや 知らんぷりしてるけどさ 」
「 だって 誰も責任とらなくて良いんだもの 」
「 そういう国なんだ 前首相が一番無責任らしい、
過去に 危険性を指摘されても すっとぼけて
事故が起きたら 他党のせいにしてるらしい 」
「 無責任極まりないなぁ ~ 」
「 、、、 仕方がない
これは 家に火をつけるしかない !
家ごと 怪物を焼きつくしてしまおう ! 」
白ウサギが言いました。
アリスは 驚いて声をはりあげました。
「 あたしを焼き殺す気か ! 訴えてやる ~!
そんな事をしたらダイナを けしかけてやるから !
お前ら みんな
まるっと丸呑みにされて消化されちまえ ~! 」
< し ~ ん >
急に静かになったので アリスは考えました。
「 聞こえたのかしら ?
昨今 山火事が頻発してるから、
不謹慎と言われ 炎上しちゃうわ、
どうやら 火をつけるのは やめたようね、
次は 何をする気かしら ? 」
< ガタ ガタ >
荷車の車輪の音が聞こえました。
「 手はじめに手押し車 山盛りだ 」
白ウサギの声が聞こえました。
「 手押し車 ? 山盛り ? 」
アリスは なんだろうと思いました。
「 質量弾攻撃 始め ~ ! 」
< びゅ~ん びゅ~ん びゅ~ん >
< ビ シ ! ビ シ ! ビ シ ! >
「 いった~い ! 何すんのぉぉぉおお~! 」
たくさんの小石が 窓から飛びこみ、
アリスの顔に 当たりました。
「 やめなさい ~! 」
アリスは 怒鳴りました。
「 あんたら、これ以上やったら
あんたらの姿を 今の三次元の状態から
二次元に変換してやる ~!
どういうことか分かる ~?
あんたらの内蔵が 全部、
口や鼻の穴や 肛門から はみ出すって事よ ~! 」
また、静かになりました。
「 あたしが動けないのをいいことに、
こんなに いたいけな 華奢で 可憐な美少女に
石なんか 投げやがってぇぇええ ~!
この 腐れ外道どもがぁぁあああ ~ ! 」
アリスが毒づきました。
しかし、よく見ると 投げ入れられた小石は
どうやら クッキーだったのでした。
イメージ
「 誰が こんなクソかたいクッキー焼いたんだよ !
いくら世界的に評価が低いエゲレスの料理でも
これはないだろう、
料理の基本なってないぞ 無茶苦茶か !
石そっくりじゃないか、
さては 在庫一掃 売れなくて廃棄処分する分だな、
食べ物を粗末にすると 苦情が殺到するぞ、
モンスタークレイマーやネットで大炎上だぞ ! 」
アリスは 硬いクッキーを 手にしました。
「 おっ ! そうだ このクッキーを食べれば
今までの法則通り 体の大きさが変わるかも ?
もし、もっと でっかくなれば 家を破壊して
奴らを 虫けらのように 蹴散らせるし、
小さくなれば するっと この家から抜け出せる。
とりあえず 食べようっと ♪ 」
< ご り っ ♪ >
「 ガリガリ かった~い ! まず~い !
歯が痛いわ !
小学生の歯を欠けさせた 揚げすぎの麺か ! 」
それでも クッキーを 一つ食べてみると、
アリスの体は 縮みだしました。
<< しゅるしゅるりん >>
「 や り ぃ ~ ♪ 」
ドアから 出られるほど小さくなると、
アリスは 急いで駈け出し家を出ました。
外では 小さな動物や 鳥たちが大勢いました。
ビルが その中にいて、彼は小トカゲでした。
モルモット二匹に 介抱されていました。
「 なるほど トカゲだけに
トラブルがあると矢面に立たされて
『 シッポ切り 』 に されたりする存在なのね、
極東の島国でも ズルっこ政官業癒着接待問題で
シッポ切りされた人もいるようね。
まぁ なんにしても非正規待遇は辛いのねぇ、
格差反対 ~!
トリクルダウンは ありえない ~!
若者は 貧乏楽しめ !とか政商はいうけど
冗談じゃないわよ ~!
口入れ会社の本社を
シンガポールに移転したらしいじゃないの、
税金逃れだわ ! ゼニクレイジーだわ ! 」
アリスが玄関を出たとたんに、
「 おい 怪物はどうした ? 」
「 急に消えたようだが どうしたのだ ? 」
「 よく 食べられなかったな 」
みんな、いっせいに駆け寄ってきました。
「 おい メリーアン 」
白ウサギが声をかけました。
アリスは 白ウサギが心配してくれたと思いました。
「 ちゃんと扇子と手袋は 持ってきたのかぁあ ? 」
「 ム カ ッ !
この 人でなしがぁぁあああ ~! って、
そうか もともと人でなくてウサギだもんね、
まぁいい、おぼえてやがれ、
いつか因幡の白兎みたいに 皮をひん剥いて
塩 塗り込んでやるから、
そんときになって ほえずらかくなよ ~! 」
アリスは 自分を焼き殺そうとしようとしたり、
石のようなクッキーを投げ込ませたりした
こいつに関わるのは まっぴら御免と
悪態をつきながら 走って 深い森に逃げ込ました。
続 く