偽作 不思議の国のアリス 15 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい


<<  ど す ~ ん ! >>


  一瞬の静寂の後 口々に声が聞こえます。

「 ダメじゃないか みんな受け止めずに逃げちゃ 」

「 お前もな 」 「 お前こそ 」

「 死んじまったら 保証はどうすんだ 」

「 知るかよ ! 」

「 雇用保険とか 生命保険とか どうなってんだ 」

「 非正規だから 入ってないんじゃないのか ? 」

「 じゃぁ しょうがないか

  弱者は 報われないんだなぁ 」

「 おっ ! 脈があるぞ 」

「 かろうじて生きてるようだ 」

「 おい ! ちゃんと呼吸が 出来るか ? 」 

「 大丈夫か ? 」

「 気付けに アップル・ブランデーだ ! 」





「 どうだった ? 」

「 ビル ! 何があった ? 」

「 話してみろ ! 」


「 ぁぁあ、何だか わかんないんだけどぉ、

  なんか巨大な足が 急に迫ってきて、

  それで おいら、ふっ飛ばされちゃってぇ ! 」


「 う ぬ ぬ ! 

  今や この家は未知の巨大不明生物に占領された 」

  白ウサギが 言いました。


「 被害者が多数出る前に何とか対処しないとなぁ 」

「 家ほどもある 巨大モンスターに 

  われわれは どう立ち向かえばいいのだ ? 」

「 あぁ 巨大生物退治の 赤銀色の巨大ヒーロや

  カラフルな合体巨大ロボットが来てくんないかなぁ ~ 」

「 あれは極東の島国に住んでるんじゃないのか ? 」

「 毎週毎週 怪獣が出現する国って住みにくそうだよね 」

「 あの極東の島国 地震も 火山も多いんだよね、

  ゲシンリキ発電所も多いし 」

「 事故が収束しないのに再稼働 」

「 同じ地震国のイタ~リ~は

  国民の反対で 再稼働しないんだよな、

  東洋の島国って 不思議な国だなぁ、

  隣国の ミサイル怖がってるくせに、

  海岸線に ゲンシリキ発電所 いっぱいあって、

  地震も多くて 災害の多い国なのに

  何かあったら どうすんだろうね ? 」

「 もう すでに 何か 起きちまったじゃないか、

  皆、忘れたふりや 知らんぷりしてるけどさ 」

「 だって 誰も責任とらなくて良いんだもの 」

「 そういう国なんだ 前首相が一番無責任らしい、

  過去に 危険性を指摘されても すっとぼけて

  事故が起きたら 他党のせいにしてるらしい 」

「 無責任極まりないなぁ ~ 」


  



「 、、、 仕方がない 

  これは 家に火をつけるしかない !

  家ごと 怪物を焼きつくしてしまおう ! 」

  白ウサギが言いました。


  アリスは 驚いて声をはりあげました。

「 あたしを焼き殺す気か ! 訴えてやる ~!

  そんな事をしたらダイナを けしかけてやるから !

  お前ら みんな

  まるっと丸呑みにされて消化されちまえ ~! 」 


< し ~ ん >


   急に静かになったので アリスは考えました。

「 聞こえたのかしら ?

  昨今 山火事が頻発してるから、

  不謹慎と言われ 炎上しちゃうわ、 

  どうやら 火をつけるのは やめたようね、

  次は 何をする気かしら ? 」


<  ガタ ガタ  >


  荷車の車輪の音が聞こえました。

 
「 手はじめに手押し車 山盛りだ 」

  白ウサギの声が聞こえました。


「 手押し車 ? 山盛り ? 」 

  アリスは なんだろうと思いました。


「 質量弾攻撃 始め ~ ! 」


< びゅ~ん びゅ~ん びゅ~ん >


< ビ シ ! ビ シ ! ビ シ ! >


「 いった~い ! 何すんのぉぉぉおお~! 」

  たくさんの小石が 窓から飛びこみ、

  アリスの顔に 当たりました。


「 やめなさい ~! 」

  アリスは 怒鳴りました。

「 あんたら、これ以上やったら

  あんたらの姿を 今の三次元の状態から

  二次元に変換してやる ~!

  どういうことか分かる ~? 

  あんたらの内蔵が 全部、

  口や鼻の穴や 肛門から はみ出すって事よ ~! 」


  また、静かになりました。


「 あたしが動けないのをいいことに、 

  こんなに いたいけな 華奢で 可憐な美少女に

  石なんか 投げやがってぇぇええ ~!

  この 腐れ外道どもがぁぁあああ ~ ! 」

  アリスが毒づきました。

  しかし、よく見ると 投げ入れられた小石は 

  どうやら クッキーだったのでした。



     イメージ


「 誰が こんなクソかたいクッキー焼いたんだよ !

  いくら世界的に評価が低いエゲレスの料理でも

  これはないだろう、

  料理の基本なってないぞ 無茶苦茶か !

  石そっくりじゃないか、

  さては 在庫一掃 売れなくて廃棄処分する分だな、

  食べ物を粗末にすると 苦情が殺到するぞ、

  モンスタークレイマーやネットで大炎上だぞ ! 」


  アリスは 硬いクッキーを 手にしました。


「 おっ ! そうだ このクッキーを食べれば 

  今までの法則通り 体の大きさが変わるかも ?

  もし、もっと でっかくなれば 家を破壊して

  奴らを 虫けらのように 蹴散らせるし、 

  小さくなれば するっと この家から抜け出せる。

  とりあえず 食べようっと ♪ 」


<  ご り っ ♪ >


「 ガリガリ かった~い ! まず~い !

  歯が痛いわ ! 

  小学生の歯を欠けさせた 揚げすぎの麺か ! 」


  それでも クッキーを 一つ食べてみると、

  アリスの体は 縮みだしました。


<< しゅるしゅるりん >>


「 や り ぃ ~ ♪ 」


  ドアから 出られるほど小さくなると、

  アリスは 急いで駈け出し家を出ました。

  外では 小さな動物や 鳥たちが大勢いました。

  ビルが その中にいて、彼は小トカゲでした。

  モルモット二匹に 介抱されていました。

「 なるほど トカゲだけに 

  トラブルがあると矢面に立たされて 

『 シッポ切り 』 に されたりする存在なのね、

  極東の島国でも ズルっこ政官業癒着接待問題で

  シッポ切りされた人もいるようね。

  まぁ なんにしても非正規待遇は辛いのねぇ、

  格差反対 ~!

  トリクルダウンは ありえない ~!

  若者は 貧乏楽しめ !とか政商はいうけど

  冗談じゃないわよ ~! 

  口入れ会社の本社を 

  シンガポールに移転したらしいじゃないの、

  税金逃れだわ ! ゼニクレイジーだわ ! 」

 
  アリスが玄関を出たとたんに、

「 おい 怪物はどうした ? 」

「 急に消えたようだが どうしたのだ ? 」

「 よく 食べられなかったな 」

  みんな、いっせいに駆け寄ってきました。


「 おい メリーアン  」

  白ウサギが声をかけました。

  アリスは 白ウサギが心配してくれたと思いました。


「 ちゃんと扇子と手袋は 持ってきたのかぁあ ? 」


「 ム カ ッ ! 

  この 人でなしがぁぁあああ ~! って、

  そうか もともと人でなくてウサギだもんね、

   まぁいい、おぼえてやがれ、

  いつか因幡の白兎みたいに 皮をひん剥いて

  塩 塗り込んでやるから、 

  そんときになって ほえずらかくなよ ~! 」


  アリスは 自分を焼き殺そうとしようとしたり、

  石のようなクッキーを投げ込ませたりした 

  こいつに関わるのは まっぴら御免と 

  悪態をつきながら 走って 深い森に逃げ込ました。





       続 く