偽作 不思議の国のアリス 3 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい


「 ふわ~あぁぁ 

  落ちていくのにも飽きちゃったわ、

  あたしの人生 このまま

  自堕落に堕ちていくだけなのかしら 」

  アリスはハナホジしながらアクビをしました。

「 でも 落ちて行く事は

  何らかの暗示なのかも知れないわね、

  それには いったい どんな意味があるのかしら ?

  哲学的な考察をしてみるのもいいかも知んない、

  落ちるとき 落ちれば 落ちる ?

  う~ん 何も思いつかないわ、

  まぁ 考えたって しょうがないかぁ ~ 」


<  ズシン ! ドシン ! 

   ドタバタ ジタバタ ! >


  アリスは 小枝と枯れ葉の山に ぶつかって、

  ようやく 落下が止まりました。


「 やれやれ やっと 止まったわ 

  何事にも いつか終りが来るのね 」


  アリスは、むっくりと起きました。


「 よっこいしょういち

  どっこいしょ~ぺんはうあ~ ‎っと 」


  アリスは 今まで落ちてきた穴を 見上げました、

  しかし見上げても 頭上は まっ暗です、

  果てしない空虚な闇が 続いているようです。

  横を見ると 目の前には長い通路があって、

  追いかけていた白ウサギが その通路を

  あわてて走っていくのが見えました。


「 おっ ウサギ 見っけ うさうさ ぎぎぎ ♪

  生きたまま ぬいぐるみにしちゃお~かな ~♪

  中身はシチューが いいわねぇ ぐふふ 」


  アリスは廊下を駈け出しました。

  ウサギが角にさしかかり曲がっている時に、


「 やれ耳やら ヒゲやら、

  こんなに遅くなっちゃって ~! 」

  と言うウサギの声が 聞こえました。


「 なんだそれ 意味わかんないしぃ ? 

  耳や ヒゲが 遅れる理由になるのぉおお ? 」

  アリスは 腑に落ちません。

「 変なのぉ ~!

  私もヒゲを生やせば遅刻していいの ?

  ヒゲぼうぼうなら 学校に行かなくていいの ?

  すね毛ぼうぼう 脇毛ぼうぼうならどうなの ?

  エステの存在を 否定して良いものなの ?

  とっ捕まえて 意味を問いただしてやる 」

  
  角をアリスが曲がったときには、

  かなりウサギとの距離を 詰めていたはずでした。

  しかし、ウサギの姿は どこにも見あたりません。

  そこは 薄暗く長い 出口のない

  突き当りになる廊下でした。

  ランプが一列に ぶら下がって

  ぼんやりと明るくなっていました。

  その廊下は扉だらけでした、

  何かの 収容施設を思わせました。


「 なるほど 姿が見えないということは 

  ウサギは どこかのドアに逃げ込んだのね、

  ふふ あたしってば 迷探偵ホ~ムズばりの推理力 ♪

  灰色の脳細胞が活性化してくるわ、

  おっと それは ポアロね、

  ホントは 生きている脳の色は ピンクなのよ 」


  アリスは近くのドアから 

  手あたりしだいに ドアノブをひねりました、

  しかし 鍵がかかっています。

  アリスは 片っ端から扉を開けようと

  全部試してみました。

  どれも開かないので、 

「 いったい どうやって 

  この長い廊下から出ればいいの ? 」

  アリスは思案するのでした。

  よく見渡すと カーテンがかかっている場所があり、 

  その向こうに 硬質ガラスで出来ているテーブルがあり、
  
  その上には 小さな金色の鍵が乗っていました。

「 これは廊下の扉の どれかに合うんじゃね ? 」 

  しかし鍵穴が大きすぎたり、鍵が小さすぎたり、

  扉は どれも開きません。

「 なんだよ ~! 思わせぶりなアイテム置いて、

  引っ掛けかよ ! 」

  でも、二回目にぐるっと回ってみたところ、

  さっきは気がつかなかった 

  ランプの光が届かない薄暗い場所に

  低いカーテンが見つかりました。

  そしてその向こうに、

  高さ40センチくらいの小さな扉があります。

  小さな金色の鍵を 鍵穴に入れてためしてみると

  ぴったりです。


「 ビ ン ゴ ~ ♪ 」


  開けると、そこは小さな通路になっていました。

  しかしネズミの穴くらいの大きさしかありません。  

  膝をついて 覗いてみると、

  今まで見たこともない 天国を思わせるような

  それは それは たくさんの花咲く

  綺麗な庭に続いていました。



                          "KIUKO"


  女の子は 食べられなくても花が好きなのです、

  花を見ると 残酷にも生きた花を引きちぎり

  縛り上げ 束にして喜んだりします。

  我が身を守る術を持たない植物からしたら

  大巨人に 無慈悲に蹂躙されることは

  たまったものではないでしょう、

  立ち尽くした人間が 巨大不明生物に

  引きちぎられるようなものです。


「 なんとか この暗い廊下を抜けて、

  噴水の間を歩きたいなぁ あの花壇の花を見たり

  人がいなきゃ 花を摘んじゃおうっと  」

  と アリス。


  でも、その戸口の小ささでは頭さえ通らないのです。

「 頭は通ったにしても、肩が通らないかも 」

  と アリスは考えました。

「 あぁ、望遠鏡みたいにシュッと縮まれたらなぁ ~

  きっと できると思うんだ、

  やり方さえ わかればなぁ ~

  そうだ 風船は 空気が抜ければ縮むよね、

  とりあえず 息でも吐いてみっか ? 」

  いろいろ 変なことが起こりすぎたので、

「 きっと できないことなんてないわ 

  実は世の中 なんでもありなんじゃね、

  そうじゃね ? 」

  などと非論理的な事を ぼんやりと 

  何の確証もなく アリスは思いはじめていました。



      続 く