、
「 ふわ~あぁぁ
落ちていくのにも飽きちゃったわ、
あたしの人生 このまま
自堕落に堕ちていくだけなのかしら 」
アリスはハナホジしながらアクビをしました。
「 でも 落ちて行く事は
何らかの暗示なのかも知れないわね、
それには いったい どんな意味があるのかしら ?
哲学的な考察をしてみるのもいいかも知んない、
落ちるとき 落ちれば 落ちる ?
う~ん 何も思いつかないわ、
まぁ 考えたって しょうがないかぁ ~ 」
< ズシン ! ドシン !
ドタバタ ジタバタ ! >
アリスは 小枝と枯れ葉の山に ぶつかって、
ようやく 落下が止まりました。
「 やれやれ やっと 止まったわ
何事にも いつか終りが来るのね 」
アリスは、むっくりと起きました。
「 よっこいしょういち
どっこいしょ~ぺんはうあ~ っと 」
アリスは 今まで落ちてきた穴を 見上げました、
しかし見上げても 頭上は まっ暗です、
果てしない空虚な闇が 続いているようです。
横を見ると 目の前には長い通路があって、
追いかけていた白ウサギが その通路を
あわてて走っていくのが見えました。
「 おっ ウサギ 見っけ うさうさ ぎぎぎ ♪
生きたまま ぬいぐるみにしちゃお~かな ~♪
中身はシチューが いいわねぇ ぐふふ 」
アリスは廊下を駈け出しました。
ウサギが角にさしかかり曲がっている時に、
「 やれ耳やら ヒゲやら、
こんなに遅くなっちゃって ~! 」
と言うウサギの声が 聞こえました。
「 なんだそれ 意味わかんないしぃ ?
耳や ヒゲが 遅れる理由になるのぉおお ? 」
アリスは 腑に落ちません。
「 変なのぉ ~!
私もヒゲを生やせば遅刻していいの ?
ヒゲぼうぼうなら 学校に行かなくていいの ?
すね毛ぼうぼう 脇毛ぼうぼうならどうなの ?
エステの存在を 否定して良いものなの ?
とっ捕まえて 意味を問いただしてやる 」
角をアリスが曲がったときには、
かなりウサギとの距離を 詰めていたはずでした。
しかし、ウサギの姿は どこにも見あたりません。
そこは 薄暗く長い 出口のない
突き当りになる廊下でした。
ランプが一列に ぶら下がって
ぼんやりと明るくなっていました。
その廊下は扉だらけでした、
何かの 収容施設を思わせました。
「 なるほど 姿が見えないということは
ウサギは どこかのドアに逃げ込んだのね、
ふふ あたしってば 迷探偵ホ~ムズばりの推理力 ♪
灰色の脳細胞が活性化してくるわ、
おっと それは ポアロね、
ホントは 生きている脳の色は ピンクなのよ 」
アリスは近くのドアから
手あたりしだいに ドアノブをひねりました、
しかし 鍵がかかっています。
アリスは 片っ端から扉を開けようと
全部試してみました。
どれも開かないので、
「 いったい どうやって
この長い廊下から出ればいいの ? 」
アリスは思案するのでした。
よく見渡すと カーテンがかかっている場所があり、
その向こうに 硬質ガラスで出来ているテーブルがあり、
その上には 小さな金色の鍵が乗っていました。
「 これは廊下の扉の どれかに合うんじゃね ? 」
しかし鍵穴が大きすぎたり、鍵が小さすぎたり、
扉は どれも開きません。
「 なんだよ ~! 思わせぶりなアイテム置いて、
引っ掛けかよ ! 」
でも、二回目にぐるっと回ってみたところ、
さっきは気がつかなかった
ランプの光が届かない薄暗い場所に
低いカーテンが見つかりました。
そしてその向こうに、
高さ40センチくらいの小さな扉があります。
小さな金色の鍵を 鍵穴に入れてためしてみると
ぴったりです。
「 ビ ン ゴ ~ ♪ 」
開けると、そこは小さな通路になっていました。
しかしネズミの穴くらいの大きさしかありません。
膝をついて 覗いてみると、
今まで見たこともない 天国を思わせるような
それは それは たくさんの花咲く
綺麗な庭に続いていました。
"KIUKO"
女の子は 食べられなくても花が好きなのです、
花を見ると 残酷にも生きた花を引きちぎり
縛り上げ 束にして喜んだりします。
我が身を守る術を持たない植物からしたら
大巨人に 無慈悲に蹂躙されることは
たまったものではないでしょう、
立ち尽くした人間が 巨大不明生物に
引きちぎられるようなものです。
「 なんとか この暗い廊下を抜けて、
噴水の間を歩きたいなぁ あの花壇の花を見たり
人がいなきゃ 花を摘んじゃおうっと 」
と アリス。
でも、その戸口の小ささでは頭さえ通らないのです。
「 頭は通ったにしても、肩が通らないかも 」
と アリスは考えました。
「 あぁ、望遠鏡みたいにシュッと縮まれたらなぁ ~
きっと できると思うんだ、
やり方さえ わかればなぁ ~
そうだ 風船は 空気が抜ければ縮むよね、
とりあえず 息でも吐いてみっか ? 」
いろいろ 変なことが起こりすぎたので、
「 きっと できないことなんてないわ
実は世の中 なんでもありなんじゃね、
そうじゃね ? 」
などと非論理的な事を ぼんやりと
何の確証もなく アリスは思いはじめていました。
続 く