最終話 アウトレージ ウサギとカメ 4 | 藤花のブログ 詩と

藤花のブログ 詩と

この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

  、




「 このまま おめおめと 

  ムショで 飼い殺しされてたまるか

  絶対 脱獄して 裏切り者どもを 

  地獄に 送り込んでやるぞぉぉぉおお ~!

  首を洗って 待っていやがれっぇてんだ ! 」


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


「 所長 脱走で~す ! 」


「 誰が 逃げたのだ ! 」


「 また 例の 悪党亀で~す ! 」


「 すぐ非常線を張るよう 警察に連絡するんだ ! 」


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


「 所長 亀の野郎 捕まりました ! 」


「 ご苦労 今回も早かったな 」


「 はい いくら脱走しても

  歩みが のろいから すぐ捕まえられます 」


「 まったく 諦めの悪い おバカな亀だ 

『 大脱走 』 や 『 パピオン 』 の

  スティーブ・マックイーンでも気取ってるつもりか

  映画のようにはいかんわい ぐゎっはははは ♪ 」


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


「 長い 務めだったな 

  俺の生まれる前から 入所していたんだっけ

  脱走を 何度も企てなければ

  もっと 早く 仮釈放されたものを

  もう 戻ってくるなよ 

  真面目に 暮らせよ 」


「 へい 犬の看守さんには お世話になりました

  どうぞ お元気で 」


「 達者でな 」


「 へい ありがとうございます 」


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


「 ああぁ 娑婆の 空気だぁぁぁ 

  結局 脱獄できずに 長く務めちまった

  まぁ 犬どもの寿命に比べたら

  大したこたぁ無いがな 

  とは言え 俺も歳をくっちまったなぁ

  まるで 浦島太郎の気分だぜ 」



「 ボス 長いお務め ご苦労さんでした 」


「 え~と お前さんは 誰だっけ ? 」


「 お忘れですか ?

  昔 レースで 兎に 

  睡眠薬を 飲ませる工作をした

  若い衆でございます 」


「 おぉ お前かい どうだ 元気にしているか ? 」


「 はい なんとか生きてます

  仲間の 裏切りの密告で 

  オイラも しばらく臭い飯を食っておりました

  トカゲの シッポ切りですね

  亀も爬虫類だからって それはないですよ 」


「 そうかい 俺たちは まんまと はめられたんだな

  でっ 裏切り者どもは どうしている ? 」


「 はい 私と ボスがムショに入ってから  

  しばらくは 若頭とオジキたちが

  上手く やっていたらしいのですが  」


「 うん うん 」


「 そのうち 分け前の分配でもめて

  血で血を洗う 抗争が始まったそうで 

  やがて みんな疲弊した頃 

  幹部連中は 兎や 犬どもに闇に葬られ 

  全て 利権を奪われてしまいました

  組織は 壊滅です 」


「 う~む 」


「 ムショ暮しの私は 不幸中の幸いで 

  生き延びましたが 、、 」

「 ほう ほう 」


「 今じゃ 公営ギャンブルの 

  ドッグレースが 開催されてます





  公営カジノも オープンしました 

  兎たちが 仕切っていて 

  バニーガールが 飲み物サービスしてます





  私は 帰る所もなくて 

  もはや 亀は 肩身が狭く 

  生きにくい 世の中です 」


「 そうか

  驕れる者 久しからず 、、、

  強欲は その身を滅ぼす元ってか

  やれ やれ

  どうやら 復讐の手間だけは省けたってぇ事だな 」


「 ボスは これから どうなさいます ? 」


「 そうだなぁ また 一から 

  組織を 立ち上げるとするか

  犬や兎に 一泡 吹かせてやらないとな

  お前は どうする ? 」


「 はい お伴します 」

     
「 そうかい それじゃぁ

  これから 俺達の 長く険しい本当の

 ” レース ” の 再スタートだ

  今度は絶対 負けるわけにはいかねぇぜ

  お前も 油断して

  脱落するんじゃねぇぞ 、、、、、 」


「 へい もちろんでぇさぁ

  やっぱり 最後は

  亀が 勝たなくっちゃね 、、、 」

        
     お し ま い