彼は ぽつりぽつりと 語り始めた
どうやら 酔いが 回っているようだ
「 今夜は 受難の夜でして
片身が狭いんですよ
なにも悪い事していないのに 」
裏通りの 流行らない バーだった
赤ら顔の彼は 憂鬱そうに
隣の男に 同意を求めた
悪酔いしているのか
青ざめた顔をした男は
苦々しく つぶやいた
「 俺達は 言われ無き
迫害を 受けているんだ ! 」
うなずきながら 吐き出すように
赤ら顔の男は言った
「 節分なんて 大嫌いですよ ! 」
頭を 掻きむしりながら
二本の 角の生えた頭を 、、、
「 昔から 酒天童子とか言われ 迫害をうけたり
桃太郎とかいう 乱暴者に
住んでいた島を 荒らされ
財宝を 持ち逃げされたり 、、、、、 」
同じく 二本の角の 青い顔の男は
吐き出すように言った
「 本当の 悪い鬼は 人間の心の中に
大昔から 住み着いているんだぜ
そんなことは 人間連中は
知っているはずじゃないか
互いに残酷な事ばかりをしているくせに
俺達 鬼に 責任転嫁しゃがって ! 」
浮かれた酔っぱらいの声が聞こえてきた
「 福は ~ 内 鬼は ~ 」