ガリバ~は またまた危険な目にあいました、
外から宮廷に 猿が入り込み、
ガリバ~に イタズラしたのでした。
ある日、王妃が ガリバ~を自分の部屋に残し、
トイレに行きました。
大へん暑い日でした、部屋の窓は開け放されて、
ガリバ~の箱の戸口も窓も開け放しになっていました。
「 あ”ぁ 暑”い”よ” ~ うだるぅぅう ~ 」
ガリバ~が ボ~っとしていると、
何者か 窓から跳び込んで、部屋の中を
ドタバタ 歩きまわるような音がするのです。
「 なんじゃらほい ? 」
ガリバ~は 音のした方向を見ました。
「 うぉぉおおおお ~! 」
ガリバ~は ひどく驚きました。
猿が 王妃の部屋に入って来て
あちこち はねまわっているのでした。
「 でっ 伝説の 南海の孤島に住むという
キングコング かぁぁぁあ ~! 」
「 ウキィ ウキィ ! 」
「 いやいや オイラが小さいから
この国の 普通の猿なのだろうな
でも 口を開け 歯茎むき出しにすると
乱杭歯が 怖いよぅ ~ 」
やがて、猿はガリバ~の箱に気づきました。
猿は珍しそうに 戸口や窓から中をのぞきこむのです。
< ウッキィ ? >
「 やばいよ ! 隠れなくちゃ 」
ガリバ~は箱の 一番奥の隅へ逃げみましたが、
猿が四方から のぞきこむので、
< ガタガタガタ >
怖くて歯の根が合いません。
「 猿は 雑食だから
捕まれば オイラも喰われるかもぉ 、、、 」
猿は ガリバ~の姿を見つけると、
戸口から片手を伸してきました。
「 きっと オイラ 美味しくないと思う
脂が多くて 胃がもたれるよ ~ 」
ガリバ~は 逃げまわっていたのですが、
服をつかまれ 引きずり出されました。
「 ぎゃっ ! つかまった ! 」
猿は ガリバ~を右手で引き上げました。
「 ぎゃぁぁぁ ! 喰われるぅぅぅうう ! 」
しかし猿は 子供に
母乳を飲ませるような恰好で
ガリバ~を かかえました。
「 はなせよ ! オイラ 小猿じゃないぞ ~! 」
ガリバ~が ジタバタすると、
猿は 離すまいと強くしめつけるのです。
「 むぎゅ ~ 」
ガリバ~は 絞め殺されないように
おとなしくせざるを得ませんでした
やがて 猿は優しげに ガリバ~の顔をなでます、
毛づくろいもします。
ガリバ~を同じ猿の子だと感違いしてるのでしょうか。
人として不細工なのが 幸いして
猿の仲間と 認識されたのかもしれません。
猿が ガリバ~を あやしているところへ、
突然、部屋の戸を開ける音がしました、
<< ガチャ ! >>
「 あぁ おやつに 焼き芋 食べて
お通じも良くなって
ドバッと 出すもの出して スッキリ ♪ 」
王妃が戻ってきたのでした。
<< ウキィィイイ ! >>
猿は あわてて窓の方へ駈けつけ、
一本の手でガリバ~を抱いたまま
雨ドイを伝って、隣りの大屋根まで
ひょいと よじのぼってしまいました。
猿がガリバ~をつれて行くのを見ると 、
「 もっ もん キィイイイイイイ~ ! 」
と 王妃が金切り声をあげました。
宮廷は 大騒ぎになりました。
召使はハシゴを取りに行きました。
猿は 屋根の上に腰をおろすと、
まるで赤ん坊のように片手で
ガリバ~を 抱いています、
屋根の下では王宮の人々が、
この光景を見上げているのです。
ガリバ~が逃げようとすると、
猿は母親が子をあやすように、
ガリバ~を軽く叩くのです。
「 ひゃぁぁ ~ いたいよぉぉお ~ 」
それを見て、下の群衆は みんな笑いだしました。
「 かわいそうな気もするが
腹抱えて笑っちゃうよね
ぎゃははははは ♪ 」
「 猿に石が当たれば ガリバ~を離すんじゃね ? 」
猿に、小石を投げる者もいました。
< ビュ~ン ! > < ガツン ! >
石は 猿に当たらず 屋根に当たりました。
「 うわぁ 危ない~! やめてぇ ~!
石が あたったら ど~すんの !
あんたらには 小石でも
オイラには でっかい岩ですから ~
簡単に オイラ グシャっと
潰れちゃいますけど ~ 」
「 やめなさぁぁぁ~い !
石がガリバ~に当たったらまた
お漏らししちゃうわよ
小さいくせに とっても臭いんだから ! 」
投石は すぐ禁じられました。
やがて梯子をかけて数名が屋根にのぼって来ました。
猿はそれを見て、囲まれたとわかると、
「 キキ キキ ! 」
危機を感じた猿は
やむをえず ガリバ~をそこに残して、
もっと高い屋根に逃げてしまいました。
ガリバ~は 屋根の上で滑り落ちはしないかと
生きた心地がしませんでした。
「 この高さ 落ちたら間違いなく
トマトが潰れたようになっちゃうだろうなぁ ~ 」
やがて侍従の一人が震えているガリバ~を見つけました。
「 あぁ 御無事でしたか ! 」
「 ぷるぷる 高いよぅ 怖いよぅ 助けてぇぇ ~ 」
「 今 下ろして差し上げますから
心配めさるな 」
侍従が ガリバ~を上着のポケットに入れて、
無事に地面まで おろしました。
しかし 猿に抱きしめられていたため、
両脇が 痛くてたまりません。
ガリバ~は あばら骨を痛め
二週間ばかり病床につきました。
王様、王妃様が 毎日お見舞いしました。
「 また 今日も メロンですかぁ ?
もっと がっつりしたものを 食べたいなぁ ~ 」
「 あっそう じゃぁ 食べなくていいわ
この時期 メロンは高いのよ 」
いやいや せっかくだから美味しくいただきますぅ 」
「 しかし あんな猿が出た場合、
エゲレスでは どうするのかのぅ ? 」
王様 エゲレスには 猿などいないよ、
いても それは物好きが
遠くの国で つかまえたもので、
そんなものは オイラより小さいから
一ダースぐらい 束になっても平気さ、
片手で 首根っこ掴んで
ちぎっては投げ ちぎっては投げ 、、、 」
ガリバ~の仕草と 物言いに、
王様と王妃は どっと噴きだしました。
「 首根っこ 掴まれていたのは
いったい どこの どなたさん
だったかしらだったかしらねぇ ?
猿がいないと ずいぶん強気だわ
それこそ 猿芝居よね
お~ほっほほほほほ ♪ 」
「 強がらなくても良いのじゃ
弱い猿ほど 良く吠えると申すではないか
いや イヌだったか、
うほほほほほほ ♪ 」
「 ウキキキィ ♪ 」
「 なんだよ 『 うきききぃ ♪ 』 って ?
猿じゃあるまいし プンプン ! 」
ガリバ~は 声の方向へ振り向きました。
「 あぁ ! また あの猿だ ~! 」
「 ガリバ~は 猿に好かれておるのう
人気者じゃのぅ うほほほ ♪ 」
「 もしかしたら 子どもを亡くした
母ザルなのかもしれないわねぇ
ガリバ~ いっそのこと養子になっちゃえば ?
お~ほっほほほほ ♪ 」
「 誰かある あの猿を捕まえよ ~!
ガリバ~の 乳母として雇うかのう
うほほほおほほほ ♪ 」
しかし 悠然と人をあざ笑うように
サルは 王室から たち さる のでした 。
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