世界一美しいもの 3 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

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  数日後、奥方はパーティーを開きました。

  むしゃくしゃした気分を 晴らそうと思ったのです。

  街の上流階級の人達が 集まってきました。

「 今日は無礼講よ 

  皆さん じゃんじゃん飲んで 

  じゃんじゃん食べてって 

  お~ほっほほほ ♪ 」

「 何だか やけになってるみたい 怖いわ 」

「 怒り狂って おかしくなっているんじゃないの ? 」

「 そうよねぇ 大金をドブに棄てたも同じだわねぇ 」

「 愚かよねぇ ていよく 船長の物見遊山に

  お金を 使われただけなんですもの 」

「 お土産に 小麦だなんて お笑いぐさだわ

  あははっははあはぁは ♪ 」

「 はじめから この街で買えば いいじゃないねぇ 」

「 シ~ッ ! 聞こえるわよ 」


  招待客たちは 腫れ物をさわるように奥方に接しました。

  一年をかけた 世界一美しく尊い物を見つける航海は

  失望に終わり、さぞや後悔していると思われたからです。


「 今夜は オールナイトで 徹底的に楽しむわよ ~ 

  ありったけの酒 料理持ってこい ~!

  お~ほっほほほほ ♪ 」


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  高価なシャンペン、ワインや

  豪華な料理がテーブルに並べられていました。


「 さぁ 目一杯 食うわ 飲むわ ~!

  バクバクバクバク ! キュゴキュゴキュ ! 」


  奥方は飲んだり食べたり

  はねたり踊ったりと、大騒ぎをはじめました。


「 やけ食いしてるわぁ 」

「 いやぁねぇ 下品な踊りだこと 」

「 豚が 暴れてるみたい 」

「 これだから 成り上がりは 、、、 」


  食事係が メインティシュの

  大きな料理を乗せた皿を 運んできました。

  皿には、大きな魚の姿揚が乗せてあります。


「 まぁ 立派なお魚だこと 見事だわ ~♪

  ゴ~ジャスで 私に ぴったり ♪ 」


  魚が大好きな奥方が、さっそく魚の腹を切りました。


「 私に食べられる栄誉を 感謝しなさい えい ! 」


 <<  ザ ク ッ ! >>

 <<  カ チ ン ! >>  、


  ナイフに 何か硬い物が 当たりました。

「 なんざんしょう ? 」

  奥方は、魚の腹に入っていた物を取り出して

  驚きました。


「 あぁぁあ ~! 」

  その声に皆が魚を乗せた皿の周りに集まりました、

  切り裂かれた魚の腹から出てきた物を見て驚きました。

  なんと 魚の腹から出てきたのは、

  奥方が海の中に投げ込んだ、あの指輪だったのです。


  騒ぎに気づき 慌てて駆けつけた料理長が

  驚いて言いました。


「 これは 神様が海に命じて、指輪を奥方様に 

  お返したのではないでしょうか ? 」
 

「 ふん、バカバカしい !

  そんなの ただの偶然よ 」


「 そうでしょうか ?

  船着場では 大勢が海に飛び込んで

  指輪を探したけれど見つからなかったそうですよ 」


「 港の周りで釣り上げた魚でしょう、

  海に落ちた指輪を 餌と間違えて食べたのよ、

  最初に魚が飲み込んだから

  いくら 探しても見つからなかったのよ。 」

「 ふ ~ む 」

  料理長は 頭をかしげました。


「 大きな魚だからこそ 

  大きな宝石のついた指輪を 飲み込めるのよ。

  不思議でも な~んでもないわ、 

  物事は こうやって合理的に考えるものなのよ。

  ビジネスの基本よ、お~ほっほほほほ ♪ 」


「 でも何か 神様の ご意思があるのでは ? 」

「 あんたは 信心深いのねぇ、 

  いちいち そんな事 考えてたら 

  行き馬の目を抜くような世の中を

  渡っちゃぁいけないわよ !

『 祈るより 稼げ 』 !

  スペインのことわざよ。

  お~ほっほほほほほ ♪  」


  奥方は その指輪を ゴミ箱に投げ棄てました。

「 こんな指輪 験が悪いから いらな~いっと 」

  眼を光らせた使用人が すかさずゴミ箱を交換しました、

  しかし指輪は 悪徳宝石業者に騙されて売りつけられた

  安物のイミテーションなのでした、

  奥方は 本物と偽物の違いが分からなかったのです。

  それを後で知って 腹を立てていたので

  海に投げ捨てても 平気だったのです。

  馬鹿騒ぎの パーティーは 朝まで続きました。

「 お~ほっほほほほぃ ♪、

  もっと酒もってこ~い、ウィ~! ゲェップ ! 」


       続 く