「 こんちわ ご隠居さん 」
「 やぁ 八っつあん 熊さん 」
「 まぁ 寄って行きなさい
庭の金木犀の 花が咲いたんだよ 」
「 金木犀の香る 季節ですなぁ 」
「 そうですねぇ でも 」
「 で も ? 」
「 なんだか トイレの香りを
思い出していまいますなぁ 」
「 そうそう おいらも そう思った 」
「 昔は トイレの回りに 植えたそうだよ
だから トイレの芳香剤として
香りが 使われたんだろうね 」
「 そうなんですか なるほど 」
「 強い香りは 匂い消しに
ちょうど よかったんですなぁ 」
「 今は レモンや ラベンダーや
他の花の匂いが 使われているね 」
「 そう言えば 金木犀の芳香剤
あまり 見ませんなぁ 」
「 くんくん 」
「 やぁ 与太郎じゃないか
金木犀の花が 咲いたよ
お茶でも どうだい
寄っていって 香りを楽しまないかい 」
「 あぃ ごいんきょさん
あたいも よっていきたいのは
やまやまだけどぉ ~ 」
「 なにか 急ぎの用でも あるのかい ? 」
「 きんもくいせいの においを かぐとぉ 」
「 嗅ぐと ? 」
「 じょうけんはんしゃで
トイレに いきたくなっちゃうの 」
「 じゃぁ わしの家で していけばいいよ 」
「 ごいんきょさんの おうちの トイレは
ウォッシュレットじゃないのぉ ~? 」
「 残念だが 付いていないんだよ 」
「 じゃぁ だめ あたいは
じどうかいへい
だっしゅう おんぷう かんそう
ウォシュレットじゃないと 」
「 やれやれ 現代っ子ですなぁ 」
「 与太郎の家のトイレの香りは 金木犀かぁ 」
「 最新トイレでも 芳香剤だけは 古臭いんだな 」
「 おかぁさんが いっていたよ 」
「 なんて ? 」
「 トイレに きんもくせいだと 、、、 」
「 金木犀 だと ? 」
「 トイレ だけに
” き ん う ん ” が つくんだって 」