歩けメロス 17 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい



「 き ゃ ぁ ぁ あ あ あ ~! 」

 <<  グ サ ッ ! >>


  槍の切っ先が 突き刺ささりました。







 
  地 面 に、

  兵士は驚きました。

  手にした頑強な槍が あっけなく切断され、

  刃のついた先端が飛ばされ

  地面に突き刺さったからです。

  槍は 母子を貫くことが出来ませんでした。


  槍を切断した男は 幼子と母親に  

  腕を差し伸べ、抱き起こし、 

  近衛兵から逃がしました。

  男が 兵士の前に立ちました。 

 
「 あぁぁ おっ お前はぁ 、、、 」


  その男は 威風堂々とした大男でした、

  太い腕には 無数の古傷があり、

  明らかに歴戦の強者という風情でした。


「 おいおい ! いいかげんにしやがれ ~! 

  罪無き民を 殺すのは 俺が許さない ~! 」


  男は元兵士の 山賊の親分でした。

  槍を切断した剣を 高々と掲げ持ち

  仁王立ちしています。





  兵士は気迫に圧倒され 怖気づき 後ずさりました。

  そこへ 近衛兵長が 駆けつけました。


「 何をしている ~!

  歯向かうものは切り捨てろ ! 」


「 お い ! 

  貴様達は 何をしているのか 

  わかっているのかぁぁぁああ ~! 」


「 きっ 貴様 ~! 誰かと思えば

  軍を脱走した ケントリュウスか !

  元百人隊長といえど見逃すわけにはいかんぞ ! 」


「 そうかい、お前は俺の実力を知っているだろう、 

  剣を交えたならば無傷で済むものではないぞ ! 」


「 しゃらくさいわ !

  野に下って山賊になった 貴様一人で何ができる ?

  しょせん、無駄なあがきだ、

  返り討ちにしてやる ~! 」


 近衛兵長は 腰の剣を抜き放ちます。

  二人は 剣を構え 龍虎のように睨み合い、

ジリジリと 間合いを詰めていきます。

  傾き始めた太陽が 二人の剣を

  血に飢えた生き物のように ギラギラと光らせます。


「 わいわい どやどや がやがや 」


  群衆に襲いかかる 近衛兵たちを 牽制するために、

  部下の山賊たちが 駆けつけました。


「 きっ 貴様達は 脱走した元兵士たちだな ! 」

  近衛兵長は 怒鳴りました。

 
「 これはこれは 近衛兵の偉いさん お久しぶり~ 」


「 どっも~ こんち 兵長さん 」

「 おいっす ! 」

「 おひさ~ 」

「 ちわ~すっ 」

「 んちゃ 」 

  元兵士の山賊達は 形だけの挨拶しました。


「 どたどた ばたばた 」

  近衛兵達も 駆けつけました。


「 あれ~ 見覚えのある顔が いっぱい ~ 」

「 どれどれ 」

「 そういえば ~ 」

「 ほんとだ ~ 」

「 おやぁ ? 」

「 あっ  あの人は ! 」

「 勇猛果敢で 人望の厚かった、

  百人隊長の ケントリュウス様だ ~! 」

「 近衛兵長の同期だが 筋を曲げず

  上司にも諫言して 煙たがれ 

  冷や飯を食わされていた 伝説的な猛者だ 」

 
  両軍 対峙しました。

    
「 皆 脱走の罪で ここで首を跳ねて、

  オレの おできだらけの

  しょっちゅう う△この付いた汚い尻に

  キスさせてやる ! 

  強者に おもねるには ケツ舐めが一番だ !

  うはは うはは ♪

  兵たちよ この者たちを切り捨てい ~! 」

  近衛兵長は 叫びます。


「 黙れ 黙れ !

  いつまでも こんな世で良い訳がない !

  そんな事は お前達も 判かっているだろう 、

  ディオニオス王は もう昔の王ではない、

  善政をしていた かっての王ではない !

  恐怖政治を行う 狂気の王に変節してしまった、

  近衛兵よ 目を覚ませ、王の横暴を許すな ~! 」

  元百人隊長の 山賊の親分が 激を飛ばします。


「 ふざけた事を ぬかすな ~! 

  貴様も長く王様に仕え 禄を食んできたくせに。

  王様には 王様の お考えがあるのだろう、

  それは ワシら臣下の知る事ではないわ ! 」


「 それが 人の道に外れていてもか ? 」


「 ワシらは ご命令に ただ従うのみ、

  それが 忠臣というものだ 」


「 間違ったことを諌めるのが

  本当の 忠臣ではないのか ? 」


「 やかましいわ ! 

  貴様のような逆臣は 許しておけない !

  かまわぬ、こいつらを形が分からなくなるまで

  ミンチ肉に 切り刻んでしまえ ~~!

  今夜の夕飯は 血の滴るハンバーグステーキ

  食べ放題だぁぁあぁあああ ~! 」

    
  近衛兵長は 怒りに震え 吠えました。






         続 く