、
「 き ゃ ぁ ぁ あ あ あ ~! 」
<< グ サ ッ ! >>
槍の切っ先が 突き刺ささりました。
地 面 に、
兵士は驚きました。
手にした頑強な槍が あっけなく切断され、
刃のついた先端が飛ばされ
地面に突き刺さったからです。
槍は 母子を貫くことが出来ませんでした。
槍を切断した男は 幼子と母親に
腕を差し伸べ、抱き起こし、
近衛兵から逃がしました。
男が 兵士の前に立ちました。
「 あぁぁ おっ お前はぁ 、、、 」
その男は 威風堂々とした大男でした、
太い腕には 無数の古傷があり、
明らかに歴戦の強者という風情でした。
「 おいおい ! いいかげんにしやがれ ~!
罪無き民を 殺すのは 俺が許さない ~! 」
男は元兵士の 山賊の親分でした。
槍を切断した剣を 高々と掲げ持ち
仁王立ちしています。
兵士は気迫に圧倒され 怖気づき 後ずさりました。
そこへ 近衛兵長が 駆けつけました。
「 何をしている ~!
歯向かうものは切り捨てろ ! 」
「 お い !
貴様達は 何をしているのか
わかっているのかぁぁぁああ ~! 」
「 きっ 貴様 ~! 誰かと思えば
軍を脱走した ケントリュウスか !
元百人隊長といえど見逃すわけにはいかんぞ ! 」
「 そうかい、お前は俺の実力を知っているだろう、
剣を交えたならば無傷で済むものではないぞ ! 」
「 しゃらくさいわ !
野に下って山賊になった 貴様一人で何ができる ?
しょせん、無駄なあがきだ、
返り討ちにしてやる ~! 」
近衛兵長は 腰の剣を抜き放ちます。
二人は 剣を構え 龍虎のように睨み合い、
ジリジリと 間合いを詰めていきます。
傾き始めた太陽が 二人の剣を
血に飢えた生き物のように ギラギラと光らせます。
「 わいわい どやどや がやがや 」
群衆に襲いかかる 近衛兵たちを 牽制するために、
部下の山賊たちが 駆けつけました。
「 きっ 貴様達は 脱走した元兵士たちだな ! 」
近衛兵長は 怒鳴りました。
「 これはこれは 近衛兵の偉いさん お久しぶり~ 」
「 どっも~ こんち 兵長さん 」
「 おいっす ! 」
「 おひさ~ 」
「 ちわ~すっ 」
「 んちゃ 」
元兵士の山賊達は 形だけの挨拶しました。
「 どたどた ばたばた 」
近衛兵達も 駆けつけました。
「 あれ~ 見覚えのある顔が いっぱい ~ 」
「 どれどれ 」
「 そういえば ~ 」
「 ほんとだ ~ 」
「 おやぁ ? 」
「 あっ あの人は ! 」
「 勇猛果敢で 人望の厚かった、
百人隊長の ケントリュウス様だ ~! 」
「 近衛兵長の同期だが 筋を曲げず
上司にも諫言して 煙たがれ
冷や飯を食わされていた 伝説的な猛者だ 」
両軍 対峙しました。
「 皆 脱走の罪で ここで首を跳ねて、
オレの おできだらけの
しょっちゅう う△この付いた汚い尻に
キスさせてやる !
強者に おもねるには ケツ舐めが一番だ !
うはは うはは ♪
兵たちよ この者たちを切り捨てい ~! 」
近衛兵長は 叫びます。
「 黙れ 黙れ !
いつまでも こんな世で良い訳がない !
そんな事は お前達も 判かっているだろう 、
ディオニオス王は もう昔の王ではない、
善政をしていた かっての王ではない !
恐怖政治を行う 狂気の王に変節してしまった、
近衛兵よ 目を覚ませ、王の横暴を許すな ~! 」
元百人隊長の 山賊の親分が 激を飛ばします。
「 ふざけた事を ぬかすな ~!
貴様も長く王様に仕え 禄を食んできたくせに。
王様には 王様の お考えがあるのだろう、
それは ワシら臣下の知る事ではないわ ! 」
「 それが 人の道に外れていてもか ? 」
「 ワシらは ご命令に ただ従うのみ、
それが 忠臣というものだ 」
「 間違ったことを諌めるのが
本当の 忠臣ではないのか ? 」
「 やかましいわ !
貴様のような逆臣は 許しておけない !
かまわぬ、こいつらを形が分からなくなるまで
ミンチ肉に 切り刻んでしまえ ~~!
今夜の夕飯は 血の滴るハンバーグステーキ
食べ放題だぁぁあぁあああ ~! 」
近衛兵長は 怒りに震え 吠えました。
続 く