偽作 不思議の国のアリス 18 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい




  森には キノコが生えていました。

  アリスの 背丈以上の大きさです。
 
  アリスは キノコの周囲に両手を伸ばし、

  左右の手で キノコの端を それぞれ

< ぶちっ > < ぶちっ > と引きちぎりました。


「 さて、これで 片側づつを取ったことになるはず、

  どっちが どっちかな ? 」

  とアリスは 右手のキノコの欠片をかじってみました。


< が ぶ っ >


  次の瞬間、


<  が つ ~ ん ! >


「 いてぇぇえ ~! 」


  アゴに 衝撃が走りました、アゴが足にぶつかったのです。

  なぜならば2頭身を通り越し

  1頭身になってしまったからです。

「 やっべぇぇぇええ ~!

  顔から下が足 ~! 視線がとっても低いわぁ ~ 」

  アリスは慌てて もう片方の

  左手のキノコの欠片を飲み込みました。


<  ごっくん ! >

<  び ろ ~ ん ! >


「 あぁぁ、頭が自由になった ~ ! 」

  とアリスは思いましたが、

  すぐに 驚きに変わりました。

  なぜか 頭に強烈な風圧と 加速感を感じたのです。

「 変 な の ぉ ~ ? 」

  と思いながら下を見ると自分の肩が見えないのです。

  見えるのは 自分の長い首で、

  それは はるか下の方にある緑の森の

  茂った木々の葉の間から伸びています。

「 あたしの肩は どこ ~! 

  どうして見えないのぉぉお ~ !

  あたしの手は どこ ~! 手を振ってみなさ~い 」

  アリスは手を動かしてみましたが、

  ずっと下の緑の葉っぱが、

 < ガサ ガサ > と 揺れるだけでした。

   手を頭に持ってくるのは無理だと思ったったので

  頭を手まで 下ろそうと試みました。

  幸いなことに 首は自由に曲がりました。

  首をクネクネと曲げ葉っぱの中に突っ込もうとしました。


  その時 <  バサ バサ ! > という音がして、


  アリスは慌てて 顔を引っこめました。

  ハトが顔に跳びかかり、

アリスを羽根で殴っています。





「 このぉお ヘビめぇぇえ ~ ! 」

 と ハトが叫びました。


「 だれが ヘビやねん ! 」

 と アリス。


「 長くいて ニョロニョロしてる

  きしょく悪うぅうて やっぱヘビじゃないか ! 」


「 違うって 言ってるのに 」  


「 お前ら どうしても来るんだね ! 」


「 何の話だか、さっぱりわかんないわ ! 」

  と アリス。


「 木の根、川岸、生け垣も 営巣を試してみたのに 、

  お前ら ヘビときたら、所構わず襲いやがって、

  卵を まるっと丸呑みしやがってぇぇええ 

~ ! 」




  アリスは わけが分かりません。


「 卵を孵すだけでも たいへんな大仕事だってぇのに !

  昼も夜も 卵を見張ってなきゃなんないんだから !

  ずっと ヘビーな每日、

  この頃、ほとんど寝てないんだよ ~! 」


「 まぁ それはそれは大変なことで、お気の毒 ~ 」

  アリスは ハトがヘビから卵を守ることに

  腐心していることが分かりました。


「 やっと森の中で 一番高い樹木に巣を作って、

  やっとヘビから解放されたと思ったら、

  空からクネクネと 降りて来やがって ! 

  まったく お前らヘビときたら 油断ならない ! 」


「 あたし ヘビじゃないって

  言ってるでしょうがぁぁああ ~ ! 」

  と アリス。


「 ふん、じゃぁ あんた、いったい何者なのさ ! 」

  と ハト。


「 あ、あたす アリス で ありんす、

  可愛くて 可憐で おしゃれな、 

  そうね オードリー・ヘップバーンみたいに

  首の長い 人間の女の子よ 」 

  と アリス。


「 バ~ロ ! 

  もっと ましなウソついたらどうよ ! 」 

  と ハト。


「 えぇ~ どうみても あたしってばデビュー当時の 

  オードリー・ヘップバーンに クリソツでしょう 」


「 言うに事欠いて 図々しい。

  お前がオードリー・ヘップバーンのわきゃないだろうが、

  今まで 人間の女の子なら、たくさん見てきたけどね、

  そんな長い首の女の子は、見たことないよ ! 

  お前はヘビだよ、ごまかそうたってダメさ。

  するってぇと なんだい、

  今度は 『 あたしぃぃ 卵を食べたことなぁぃい 』、

  なんてぇ言わけするんだろうが ! 」


「 卵なら 食べたことあるわよ 」

  と 馬鹿正直にアリス。


「 ほ~ら ヘビじゃないか ! 」


「 でも 人間の女の子だって普通に卵を食べるのよ 」


「 それなら、女の子だって ヘビと一緒だろうが。

  お前が 卵を狙ってるんだろう、

  それは間違いないね。

  女の子だろうと ヘビだろうと、

  あたしにゃ 何ら違いはないだろが、違うか ! 」


「 あたしと ヘビじゃぁ 相当な違いなのよ ~ ! 」 

  と アリス。


「 どうだかねぇ ? 」


「 卵なんか 探してないわよ。

  仮に探してても 生卵では食べないわ、

  調理して 食べるのよ。

  スクランブルエッグ、オムレツ、ポーチドエッグ、

  エッグ・ベネディクト。

  極東の島国の人たちとは違うのよ、

  生卵の殻をわって ライスの上に落として、

  ソイソースかけて ぐじゃぐじゃにかき混ぜて、

  卵の黄身と白身とライスが渾然一体となったものを、

  ズルズルと すすり込んで

  朝食になんかしないわよぉおお ~! 」


「 だったら さっさと 失せろよ !

  あたしゃ 種族保存、子孫繁栄のため 

  卵を 孵さなきゃならないんだよ !

  お前に かまってるヒマはない、

  おととい おいで ~! 」

  と ハトは 吐き捨てるように言って、

  さっさと 自分の巣に戻って行きました。


「 なるほど ハトは ハトなりに 

  未来への 『 ピ ジョン 』 ( はと )

  じゃなくて 『 ビ ジョン 』 ( 展望 )が

  あるのねぇ ~ 」


      続 く