惑星間戦争は続いていた
日に日に食糧事情も悪化し
息子が遊んだ芝生の庭は
開墾して家庭菜園にした
私は貧しいながら
子供との幸せな時間を過ごしていた
息子はジュニアハイスクール8年生になった
父親譲りの体格 聡明な頭脳
トップクラスの成績
自慢の息子だった
ある日 息子に召集令状が届いた
ウォー・インビテーションと揶揄されている
戦局は悪化しており 少年といえど徴兵され
戦場に駆り出されていた
全長18メートルの機械化重装備歩兵機の
オペレーターとしての兵務だ
最前線で戦うことになる
「 ママ ボクは行くよ 」
「 やめて 良心的兵役拒否ができるはずよ 」
「 それをしたら 食料配給が止められてしまうよ 」
「 それでもかまわないわ 」
「 もう 先輩も 同級生も 兵役についている
ボクは 逃げるわけには行かないんだ 」
「 そんな 、、 」
「 軍から給料もでる ママの生活も楽になる
規定の期間 兵役を勤めれば
優先枠で大学にも行ける 奨学金付きで 」
生きて帰れたら、、とは言わなかった
息子の父親は 大学の博士課程終了を期に
召集令状がとどいた 軍部から奨学金が出ていた
「 パパの命を奪った戦場に立ってみたい
そして ぼくの手で 戦争を終わらせたい 」
決意は堅いようだ
また 愛する存在を 送りだす事になるとは
私は戦争を憎み 戦争を止めない為政者を呪った
宇宙軌道エレベーターは あの日と変わらずに
兵役につく者達を 成層圏の彼方に連れていく
「 大丈夫 絶対生きて帰ってくるから
心配しないで 」
あの日 別れた彼と同じ事を言った
起動エレベーターは息子を飲み込み
宇宙空間へ連れていく
片道になる者も 数多いのだ
エレベータのドアのエアロックが締まり
少しずつ加速していく
やがて雲の中に姿を消していった