恋人たちの別離 3 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

 惑星間戦争は続いていた

 日に日に食糧事情も悪化し 

 息子が遊んだ芝生の庭は

 開墾して家庭菜園にした


 私は貧しいながら 

 子供との幸せな時間を過ごしていた

 息子はジュニアハイスクール8年生になった

 父親譲りの体格 聡明な頭脳

 トップクラスの成績

 自慢の息子だった


 ある日 息子に召集令状が届いた

 ウォー・インビテーションと揶揄されている

 戦局は悪化しており 少年といえど徴兵され

 戦場に駆り出されていた

 全長18メートルの機械化重装備歩兵機の

 オペレーターとしての兵務だ

 最前線で戦うことになる


「 ママ ボクは行くよ 」

「 やめて 良心的兵役拒否ができるはずよ 」

「 それをしたら 食料配給が止められてしまうよ 」

「 それでもかまわないわ 」

「 もう 先輩も 同級生も 兵役についている

  ボクは 逃げるわけには行かないんだ 」

「 そんな 、、 」

「 軍から給料もでる ママの生活も楽になる 

  規定の期間 兵役を勤めれば 

  優先枠で大学にも行ける 奨学金付きで 」


  生きて帰れたら、、とは言わなかった

  息子の父親は 大学の博士課程終了を期に

  召集令状がとどいた 軍部から奨学金が出ていた

「 パパの命を奪った戦場に立ってみたい

  そして ぼくの手で 戦争を終わらせたい 」

  
  決意は堅いようだ  

  また 愛する存在を 送りだす事になるとは

  私は戦争を憎み 戦争を止めない為政者を呪った
 




 宇宙軌道エレベーターは あの日と変わらずに
 
 兵役につく者達を 成層圏の彼方に連れていく

「 大丈夫 絶対生きて帰ってくるから

  心配しないで 」


  あの日 別れた彼と同じ事を言った

  起動エレベーターは息子を飲み込み

  宇宙空間へ連れていく

  片道になる者も 数多いのだ


  エレベータのドアのエアロックが締まり

  少しずつ加速していく 

  やがて雲の中に姿を消していった