私 今まで 下働きをさせられていたの、
もう少ししたら 男相手に
商売させると言われたわ 」
「 間に合って よかった、
いいんだ いいんだ、騙す奴が悪いんだ。
イケメン王子とやらは ちゃんと罰しておいた、
目潰しでヒイヒイ だらしなく泣き声をあげていたよ、
今は目が見えないが、まぁ いずれ元通りにはなる。
ついでに 自慢の顔はボコボコに
鼻はひん曲げて ブサイクにしておいた、
あの外道には 少しは薬になっただろう。
あたしも もっと お前に
色々世間のことを教えるべきだった 」
「 あの人は 私が拐われてきたと言って、
母娘としたら 歳が離れすぎているとも言ったわ、
それは 本当なの ? 」
「 あぁ ラプンツェルが大人になったら
教えようと思っていた 」
「 私の 本当のお母さんは 別にいるの ? 」
「 あぁ そうだ、だが 」
「 だ が 、、、って ? 」
「 ラプンツェルの本当の父も母も
すでに 亡くなった 」
「 ぇぇえ ! 」
「 昔は夫婦で 近所でレタス畑を作っていたんだ。
ある時、農作物が天候不順のため不作で
父親が出稼ぎに行った。
そして、その頃、流行し始めた
黒死病 ( ペスト ) に罹患した。
そのため 母親は懇意にしていた
近所のあたしに 幼かったお前を預け
父親の出稼ぎ先に駆けつけたのだ、
しかし、父親はすでに亡くなり、
その地で母親も黒死病になってしまった。
ある日、他に身寄りの無い お前のことを
頼むという手紙が届いた、
母親は病で死ぬ前に 必死で書いたのだろう、
字が乱れていた。
当時は黒死病が 世の中に蔓延して、
亡くなる人が たくさんいたのさ、
だから あたしは お前を引き取った 」
「 あぁぁ そんな事があったとは、
お父さん、お母さん 、、、 」
「 黒死病はネズミや
ネズミの血を吸ったノミが媒介しているようだ、
だから、街のネズミやノミを徹底的に駆除させたんだ。
あたしは ネズミも登らない高さのツリーハウスで
お前を 大事に育ててきたのさ、
暴漢、泥棒よけのためにね、
そして 何よりも恐ろしいのは
神秘的に見える 薬草を扱う者などへの
異端審問、魔女狩りだったのさ、
魔女狩りをしようとするヤカラも大勢いた
」
「 あぁ なんということ 、、、、
私は 温情に背くことをしてしまった 」
「 いいさ いいさ、
あたしは 少し過保護だったんたようだ。
これから 必要なことは学ばせよう、
あたしが 生きているうちに薬草の栽培や調合、
生きるために必要なことを 教えよう、
お前の両親のレタス畑は 今は薬草畑になっている、
あたしの使う薬草を 栽培をしているんだ 」
「 私は愚かだったわ、
見も知らぬ人の言うことを真に受けて
王子さまだと思ってしまった 」
「 あいつは 人をたぶらかすのが商売の男、
人さらい王子だからね 」
「 幸せは 誰かが持って来るものでは無いのね 」
「 そうだ、世の中は おとぎ話のように甘くはない、
悪い奴は いくらでも掃いて捨てるほどいる、
あの 人さらい王子のようにね。
辛いことは いくらでも襲い掛かってくる、
悲しみも 甘受しなければならない。
でも負けてはいけない、生き抜くんだ。
他人任せの 生き方ではでなく、
自分自身で 自分自身の人生を
切り開いていかなくてはならないのさ。
それから、いい男は自分で探すんだよ、
本物の王子様が 白馬に乗って登場、
な~んて事、現実には ありやしないからね 」
「 わかりました 」
「 さぁ 森の我が家に帰ろう、
手洗い、うがいをして
お前の大好きな レタス・サラダを作ろう、
それから たくさん学ぶことがあるからね 」
「 はい お か あ さ ん ♪ 」
終わり