カシムはロバを連ねて岩山へ行くと、
「 開け、セサミ ! 」
と、言いました。
<< ごごごごご ! >>
開いた洞窟の中に入ると、
そこかしこに財宝が山のように置かれています。
「 今 盗賊に帰ってこられたらまずい、
岩戸を閉じて袋に入れよう、それがいい 」
カシムが岩の前で、
「 閉じろ、セサミ ! 」
と、言うと、岩は
<< ごごごご ! >> と閉じました。
「 おっしゃぁ ~!
有りったけ 袋に詰め込むぞ ! 」
カシムは、財宝を袋に入れ始めました。
「 ぎゃははは ♪ 大漁大漁 ♪ 」
兄弟ともに 倫理観のかけらもありません。
「 おし ! 今回は これぐらいで勘弁してやるか 」
カシムは財宝で 膨れ上がった袋を乗せた
ロバたちの手綱のロープ引きながら
岩戸の前に来ました。
しかし、外に出ようとしたのですが、
宝物に夢中になり うろ覚えだったため
開けるための呪文を失念してしまったのです。
「 開け ササミ、開け ミミズ、
開け ズッキーニ、開け ニンジン、
おっと 『 ん 』 がついてしまった。
えぇっと 開け レタス・
開け スイカ・開け カボチャ 」
無駄な尻とりをしてオロオロしているうちに、
盗賊たちが戻って来てしまいました。
<< ごごごご ! >>
岩戸が開きました。
「 あぁぁ ! このこそ泥め ! 」
「 ひゃぁぁあ ~! めっかっちゃった ~! 」
「 盗賊から泥棒するとは、とんでもないやつだ ! 」
「 血祭りにしてくれる ! 」
「 地獄に行って 反省しろ ! 」
「 ひえぇぇ ~!
わたしが悪いんじゃぁないです、
弟のアリババに 脅され命令されて
ここに来たんですぅ ~ 」
「 なんだとう ! 嘘つくじゃねぇ ! 」
「 こそ泥の くせに ! 」
「 手を 切り落としてやろうか ! 」
「 ひぇぇええ ~ ほんとうなんですよぅ、
弟のアリババが悪いんです、
先に盗みだしたのは アリババです 」
「 じゃぁ そいつの所に案内しろ ! 」
「 奪われたものは 全て取り返す ! 」
「 ただじゃ 済まさないぞ ! 」
「 はいはい 仰せのとおりに、
コ❐スのはアリババだけにして
私の命だけは お助けをぉぉ ~ 」
「 お前は兄なんだろう ?
弟への情は 無いのか !
呆れた兄弟だなぁ ~ 」
「 兄弟は他人の始まりなんてぇこと申しましてな、
えへえへえへ 」
続 く