話は 毒りんごを受け取った時まで
さかのぼります
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
7人の男たちは 採掘作業から帰ってきました
「 ただいまぁ 」
「 ただいま ~♪ 」
「 戻ったよ~ 」
「 疲れたなぁ ~ 」
「 汗びっしょ シャワー あびたいなぁ 」
「 お腹減ったよぉ ~ 」
「 夕飯は なあに ? 」
「 おかえりなさ~い ♪ 」
テーブルには 真っ赤なりんごが一つ
置かれていました
「 おやぁ ~?
この りんごは どうしたの ? 」
「 りんご売りの お婆さんが来ました
一つだけ 味見用に いただきました 」
「 ふむ ふむ 」
「 一人で食べようと思ったのですが
口にする直前 初めて ここに来た時
食事を 一人で平らげてしまった事がありました
それを思い出して 心苦しくなり
やはり みんなで分けて食べようかと
考えなおしたのです 」
「 ううっ なんていい子なんだ 」
「 そうだなぁ その気持ちが うれしいな 」
「 みんなで食べたほうが 美味しいもの 」
「 仲良く分けて食べようか 」
「 食べよう 食べよう 」
「 ん ! ちょっと待て ! 」
「 なんだ ? 」
「 それは 少し変だ 」
「 えっ ? 」
「 どういうこと ? 」
「 こんな辺境な地に 林檎売りが来るわけがないぞ 」
「 そう言えば そうだ 」
「 この辺は 人家もない もちろん商店もない 」
「 物売りなんて来た試しがない 」
「 だから おれ達の食材調達は
すべて隣国の取引先に頼んで
仕入れているよなぁ 」
「 俺たちの仕事に課税しようと来た
政府の回し者か
金鉱のありかを嗅ぎつけて
横取りしようと動向を探りに来た
どこかの ならず者かもしれないぞ 」
「 そうか りんごも なんだか怪しいぞ 」
「 りんごを 調べてみよう 」
「 それが いい 」
男たちは 林檎を薄く切り
小魚の泳ぐ 金魚鉢に入れました
TADAira
小魚は しばらくすると もがきだし
ぷかぷか 浮かび上がり
やがて 動かなくなりました
「 案の定だ 強い毒が入っていた 」
「 やっぱりな 」
「 こんなモノ 口にしたら オダブツだぜ 」
「 危ないところだったな 」
「 ヤバいよ ヤバイよ 」
「 小魚には 悪いことをしたなぁ 」
「 勘弁しておくれ 」
「 アーメン 」
「 りんご売り 、、、
もしかして 私を狙ってきた
暗殺者かもしれません 」
白雪姫は 言いました
「 なんだって ? 」
「 なんて しつっこい 継母なんだ 」
「 実は 、、、 」
白雪姫は 身分を隠していたことを話しました
「 えぇぇ ~! 」
「 なっ なんと ! 」
「 すごく愛らしいと思ったけど 」
「 まさか我が国の 姫様だったとは 」
「 全然 思いもつかなかったよ 」
「 そ う か !
それで この頃 不審な者がうろついていたのか 」
「 俺たちを 探りに来たのではなく
この娘さん いや姫を探しに来ていたのか 」
「 不審者は 王妃の手下だったんだな 」
「 紐(ひも)やら 櫛(くし)やら持っていたぞ
暗殺の道具だったようだ 」
「 紐で締めて殺そうとしたのか
櫛には毒でも塗ってあったのかも 」
「 その者は どうしたのですか ? 」
白雪姫は 尋ねました
「 ご心配なく 手を紐で縛って 頭に櫛をさして
ボコボコにして 追い返したよ
二度と この辺に近づくなと脅してね 」
「 おそらく そいつが ここの情報を流したんだろう 」
「 正攻法では無理だと考え
卑怯なリンゴ売りの刺客を送り込んだと 」
「 では ここは見張られているんだな 」
「 姫が生きている限り 刺客はまた来るだろう 」
「 かならず撃退できるとも限らないぞ 」
「 どうしたらいいのかなぁ ? 」
「 そうさなぁ 」
「 う ~ ん 」
「 そうだ いいことを思いついた ! 」
「 なんだ どうするんだ ? 」
「 敵の策略に 乗るのさ 」
「 ええぇ ? 」
「 それって どうするんだい ? 」
「 白雪姫が 毒林檎を 食べたことにする 」
「 ほう ほう 」
「 死んだと偽って 葬式をする 」
「 それで ? 」
「 姫を 棺に入れる 」
「 でも 生きている姫を
棺ごと 埋めるわけにも行くまい ? 」
「 きっと 奴らも掘り起こして
棺を開けて 遺体の確認ぐらいするだろうし 」
「 そこでだ 」
「 うん うん 」
「 姫の入った棺を 隣国に脱出させる 」
「 誰が 運ぶんだ ? 」
「 取引業者に 偽装工作をさせ運ばせよう
次の刺客が 送り込まれる前にな 」
「 そうだなぁ ~
国外ならば とりあえず安全だろうなぁ 」
「 取引業者に しばらく姫を匿まってもらおう 」
「 なるほど 上手くいけば良いが 」
「 まぁ やるだけやってみよう 」
「 それじゃぁ 姫も一緒に打ち合わせをしてと 」
「 ひそひそひそ 」
「 はい わかりました そのように 」
白雪姫は 計画を理解しました
「 では 私からも提案を 、、、」
「 ふむ ふむ おぉ それいいんじゃない 」
「 上手くいけば 見物だねぇ 」
「 よし 業者との通信用の伝書鳩を飛ばせ 」
「 頼むぜ 鳩ちゃん 」
< ポッポ ~! >
< バサバサバサ >
「 では 俺達は 姫を入れる棺を作るとしよう 」
< ギコギコ ! ギコギコギコ ! >
< トンテンカン ! トンテンカン ! >
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「 と まぁ 後は言うまでもありませんが
葬式を行ない 馬車を用意させ
使いの者に 私の書いたセリフどおりに
偶然 通りかかった 『 隣国の 王子様 』
と いう設定の小芝居をしてもらいました
素人芝居で ヒヤヒヤしましたが 」
「 なんだと 棺を持ち帰った王子は
偽物だったのかぁぁあ ? 」
「 そうですよ
でも ちょっと考えれば分かりそうですが
やっぱり 頭が残念な人でしたね
そもそも 普通 隣国の王子様が
我が国に 狩猟で無断で入国することなど
あるわけがありませんよね 」
「 他国の王室の権威まで使うなんて
ず る い ぞ ! 」
「 ふふっ それから 見ず知らずの
他人の遺体が入った棺を
他国の王子様が自国に持ち帰るのは
ものすご~く不自然ですよねぇ
ありえませんよねぇ 」
「 あぁ そりゃそうですなぁ ~
王妃様ぁ どうやら王子は
わたくしめが想像していた死体愛好癖の
変態じゃなかったようですなぁ 」
「 王子様は 変態じゃありませんよ
とてもジェントルな方であらせられるのです 」
「 へん ! 何が ジェントル じゃ !
男なんか一皮むけば同じこった
み~んな変態なのさ ! 」
「 うふふ おゃ そうなんでですか お義母さま
まだ私は小娘なもので
今後 充分気をつけるようにします
でも今まで 色々な矛盾に気づかなかった人って
なぁ~んて おバカさんなのでしょうね
うふふふ ♪ 」
「 きぃぃぃいい ~! 」
「 素人さんの 王子様役でしたが
まんまと こちらの思惑どおりに
偽情報が 伝えられたというわけです 」
「 うぅ 王子様が わたくしめと同じ
変態仲間なら 上手く取り入れるかと
考えていたのですが 残念ですぅぅ ~ 」
「 良くも 謀ったな !
この はらわたのドス黒い 白雪め !
結局 謎解きを引っ張ってみても
毒りんご 食べなかっただけだってぇぇえ ~!
なんて がっかりで 子供だましの
安易な ひねりのない つまらないオチ ! 」
「 まぁ リアルなんていうのは そんなもので
別に面白いわけじゃないと思いますよ 」
「 つまらん !
お前の話は つまらん !
全然 意外性がない !
レスラーたちが 鉱物の鑑定のため
試薬を使っていて 解毒剤があったとか
お前が 特異体質で 毒に対する耐性が強いとか
仮死状態だったけど
何らかの理由で生き返ったとか
実は双子だったとか
少しは頭を ひねろよ ! 」
「 推理小説じゃありませんよ
注文が多いですね
悪質なモンスタークレーマーですか まったく 」
「 小娘のくせに 浅はかな計略などしくさって !
なんてズルくて 卑劣で 汚い真似をぉおお ~ ! 」
「 ズルくて 卑劣で 汚いのはどちらですか ?
浅はかな策略に騙されたくせに
おそらく 私が死んだという情報に
小躍りしていたのでしょう お生憎さま
すこし考えれば 見抜けるはずなのに
こんなに 簡単に引っかかるとは
うふふふふ ♪ 」
「 ざけんなよ !
せっかく大喜びしたのにぃぃい
小躍りして すり減らした靴の裏の分と
無駄にした 消費カロリーを返せ ~! 」
「 あらっ 今まで必要以上に たっ~ぷり
おなかが まるでバルーンのように膨れるまで
手あたりしだいに お料理を
ばかばか召し上がっていたではないですか
王子様の手前 こちらが
恥ずかしくなるほどでしたよ ふふふ ♪ 」
「 おっ おっ おのれ
この私を 笑いものにするとは許せん
卑怯者めぇぇええ ~!
八つ裂きにしてやるわ ! 」
「 卑怯者 ?
その言葉を そっくり お返しします 」
「 そんなもの 返されても困るわぁ
卑怯者だけど 八つ裂きは嫌だもん
痛いもん 血が出ちゃうもん
そのまま受け取っておいてちょうだい
お~ほほほほっ ♪ 」
王妃は はらわたが煮えくり返るような
激しい怒りに 震えました
殺したはずの小娘に まんまと裏をかかれ
間抜けにも 隣国におびき出されてしまったからです
「 林檎は お気に召さなかったようだから
今度は もっと良い 別のプレゼントを
差し上げるわ お~ほほほほっ ♪ 」
王妃は同行した「 ミラー▽ン 」 の
お面をつけた変態従者に白雪姫の襲撃を命じました
「 こうなったら ヤケクソよ !
お前 白雪を やっておしまい ! 」
「 えぇぇえ ~ わたくしめですかぁ ~ 」
「 護衛に連れてきた近衛兵は 全員捕まっているんだ
やるんだよ ! いつやるの ! 今でしょう !
やらなきゃ お前を先に 血祭りだよ ~! 」
「 げげげ ! なんと言う事を 、、、 」
「 私の怖さは充分知っているだろう
あぁあん ? 」
「 しょうがない やりゃ いいんでしょう やりゃぁ 」
「 やられたら やり返す 倍返しだよ ~!
お~ほっほほほほほほ ♪ 」
変態従者は 股間に隠し持ち 警備をすり抜けた
生暖かい短刀を 鞘から引き抜きました
< シャリ~ン >
「 白 雪 よ !
地獄の舞踏会への招待状を受け取りな ~!
地獄で 亡者たちの群れの中 お前の母親と
地団駄のワルツを踊るがいいさ ~!
お~ほほほほっ ♪ 」
「 お命頂戴 ~! お覚悟を ~! 」
おりゃぁぁぁああ ~!
従者の 短刀の切っ先は
白雪姫の 透き通るような白い肌の下
赤く脈打つ 心臓を狙い
< ギラリ > と 鋭く光りました
そして凶刃は 白雪姫の胸めがけ
振り下ろされました
それは さながら 血に飢えた
ケダモノの 歯牙のように
「 き ゃ ぁ ぁ あ あ ~ ! 」
続 く