人魚姫 ブルー・マーメイド 19 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

   人魚姫は 王子には聞こえない

   超音域の声で 泣き叫びました


   高周波は 海原の はるか彼方まで 

   深い悲しみを 響かせました


   工作高速艇は 二人を乗せて 進みました


 




   ひとつ ふたつ みっつ 、、、、

   いつしか 海中を 高速艇に

   寄り添うように泳ぐ 5つの影がありました

   やがて 波の上に その姿を見せました


   人魚姫の 姉たちの姿でした


 「 可愛い私たちの妹 サファイアよ 

   やっと会えましたね 


<< あぁ お姉さま達 ! >>

   人魚姫は 超高音域の声で答えます


 「 やっと サファイアの声が私たちに届きました 」
 
 「 急いで ここまで来ました 」


<< お姉さま達 髪の毛が ベリーショート !

   どうしたの ? 流行りのヘアスタイルなの ? >>

 「 サファイアの書き置きを 読みました 」

 「 人間になるための手術を 施されたことを知りました 」

 「 そして手術は 不完全であることも 」

 「 そこで ナノ・マシン( 注 )システムによる

   新しい改造手術の方法を サファイアを改造した

   遺伝子工学の科学者に 開発してもらっていたわ 」

 「 みんなの髪の毛と 引き換えにしてね 」

 「 なぜか あの科学者は 髪の毛に執着するのよ 」

 「 髪フェチなのかしら ? 」

 「 でもサファイアの為ですもの 髪の毛くらい平気よ 」   

 「 サファイアよ さあ これを 受け取って 」

 「 この自動輸血マシーンで 相当量の王子の血液と 

   ナノ・マシーンの入ったカプセルの人体改造液を

   自分に輸血するのですよ 」

 「 そうすれば サファイアは 人魚に戻れるのよ 」

<< 今 王子様は 大出血しています >>

 「 でも やらなくては なりません 」

<< もし 今 大量の血液を抜いてしまったら

   王子様の命は どうなってしまうのですか ? >>


 「 残念ですが 二者択一です サファイアは遺伝子レベルで

   王子とシンクロしています 彼の血液を使わなければ 

   元には戻れないのですよ 」


 「 王子様の今の状態では 海底に連れていくことは無理です 」


 「 このままでは王子様は どのみち亡くなります 」


<<   で も 、、、、 >>


 「 先の改造手術は不完全 失敗でした

   自己免疫システムの暴走で 想定以上に早く 

   サファイアの肉体は 崩壊してしまいますよ 」


 「 もう 不調なのではありませんか ? 」

   人魚姫は うなずきました


 「 一刻も早くナノ・マシン輸血をしなくてはいけません 

   サファイアも 死んでしまうのですよ 」


 「 この船のスピードには

   もう 私たちはついていけません 」


 「 あぁサファイア 、 早く 、 急いで ! 」


  << ありがとう お姉さま達 >>


   人魚姫は自動輸血マシーンと

   ナノ、マシンカプセルを受け取ると、

   王子の傍らに 行きました。

   自動輸血マシーンを王子の腕に つけようとしまし






   し か し 

   その行為は 王子の命を奪うことにもなるのです

   とても実行することができずに 逡巡していました


   王子の意識が戻りました

 「 どう したんだい ? 

   そんなに 思いつめたような 顔をして 」


   王子は微笑みました

   人魚姫は 愛する王子を殺すことができません

   人魚姫は機械を床に置くと 泣きました
 

 「 どう 、、 したのだい ?

   僕のために 、、 泣いているのかい ? 」

   人魚姫は うなずきました

 「 泣かなくてもいいんだよ サファイア 

   お前は 自分の生命の 危険も顧みずに

   僕を 助けに来てくれた お礼を言うよ 」


   人魚姫は 王子を見つめます


 「 不思議な ” 術 ” を使えるんだね 心強いよ

   僕にも 教えてもらいたいものだ

   でも 残念だが もうすぐ お別れだ

   いつか お前を ” 妃  ” にと 、、、

   その願いは 叶えられそうもないね 」


   王子が 拉致される前に 言い出しかけた

   サファイアに 伝えたかった 大切な言葉でした

   王子は 苦しさをこらえ 笑顔を見せました


 ” 王子様は 私のことを 愛していてくれたのだわ ”

   人魚姫は 驚きました 

   でもそれは 日頃の 王子の優しさから

   どこか 気づいていた事でもありました


 「 もっと 平和な時代に

   二人 生きていたのならば 、、、 」

   人魚姫も そう 願わずにはいられませんでした


 「 いつか 皆が 生きている幸せを 感じられる

   人々に 笑顔があふれる日々を

   そんな時代を サファイアと共に

   作りたかった 、、、 」

                                                  
          続  く




   ( 注 )

  ナノマシン( Nanomachine )は、

  0.1~100nmサイズの機械装置。

  ナノとは10-9を意味する接頭辞であるため、

  原義では細菌や細胞よりもひとまわり小さい

  ウイルス( 10nm~100nm )サイズの機械といえる。

  広義ではもう少し大きなサイズの、

  目に見えない程度の微生物サイズの機械装置も含む。

  ナノ・マシンは機械的動作を重視しているが、

  微小な回路形成など機械的動作を含まないより

  一般的な技術をナノテクノロジーと呼ぶ。

  フィクションの中には、ナノマシンの事を

「 無から有を作り出す便利な小道具 」

  として登場させるものもあるが

  現実のナノマシンはエネルギー保存の法則を破るものではない。

  また元素の変成も 困難であるため、

  必要な材料元素は 用意する必要がある。

  ウィキペディアより