人魚姫 ブルー・マーメイド 11 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい




   変態従者が 手鏡をかざしながら 近づいてきました

    人魚姫は 恐怖で 悲鳴を上げました


   <<<   キャー !  >>>

    <    バリーン !   >


    鏡が 共振して 粉々に砕け散りました


  「 おおぅ! これは どうしたことだ ? 

    わたくしめの 大切な手鏡がぁぁぁあああ ~~! 」



    人魚姫は 人間の可聴領域の 声を失いましたが 

    人の耳に聞こえない 超高音域の

    音波を 発することができるのです

    イルカが捕食のため 超音波で

    タコなどを 気絶させることができるように

    衝撃波攻撃もでき 

    反響を耳で捉え ソナーのようにも使え 

    水中なら長距離でも 

    人魚族同士で 通信することができるのです

    美しい声を持っていた人魚姫は

    特に超高音波を出すことができました

    手を縛っていた荒縄に向けて 超音波を発しました

  『 キューサー 』 と呼ばれる 

  『 超音波メス 』 と同じ原理で 

    使い方しだいでは 非常に強力な威力があります

    しかし 人魚の世界では 他者を傷つけることを

    固く戒められていた 危険な能力でした


   << キ ュ ー ン ! >>

   <  ぶ ち っ ん ! >


    荒縄は簡単に切れました 人魚姫は 足の縄も切りました


  「 こっ この 化け物め ~! 

    お前は ギャオス ( 注 ) か ~? 」


    捨てぜりふを残して 

    変態従者は慌てて スタコラ逃げ出しました 

    卑怯な変態の従者は 小心者で臆病で

    腕っ節は からっきしなのでした


  ” 王子様はどこ ?  王子様を探さなければ ”

    人魚姫は 変態従者の後を 追います


  「 であえ ~! 近衛兵 ~! 化物だ ~! 」

    近衛兵が 集まります

  「 いかがされましたか ? 」

    お城では 表向き 元経済学教授で 

    財政顧問の肩書きの変態従者に 近衛兵が尋ねます
 

  「 化物女が来る 殺してしまえ ~! 」


    近衛兵たちは いぶかしがりながらも

    武器を手に 待ち構えます 

    人魚姫が 変態従者を追いかけてきました

    しかし 身体の不調で ゆっくりとしか歩けません
  
    近衛兵たちは 人魚姫の姿を見て拍子抜けしました

    追ってきたのは メイド服の 清楚で可憐な美少女です


  「 またかよ ! 懲りない男だ 

    あんな変態に 経済顧問が務まるのかぁ ? 」

  「 プリンセス様が 何故か 重用しているからなぁ 」

  「 変態同士で ウマが合うのだろうよ 」

  「 経済顧問なら 経済を活性化しないとなぁ 」

  「 あいつは 安易な税金引き上げの意見ばかりだ 」

  「 消費税が 上がるのは困るなぁ 」

  「 そうだなぁ 低賃金だから逆進性がきついよなぁ 」

  「 あいつに払う金があるなら 

    オイラたちの賃金上げて欲しいよなぁ 」

  「 戦費だって じゃぶじゃぶ使われても困るよなぁ 」

  「 国民の 意思や生活を無視して 

    国際紛争ばかりじゃ 安心して寝られやしない 」

  「 プリンセスの 浪費癖もなんとかしないと国が破産するぞ 」

  「 国中に ガラクタを飾っているし 」

  「 どこかで うまい汁を吸っている奴らがいるんだろうなぁ 」

  「 軍事産業やインチキ美術商や広告代理店とかなぁ 」

  「 今年は ボーナスでるかなぁ ? 」

  「 望み薄だなぁ 」

  「 ブラックな職場だなぁ とほほ 」


    近衛兵たちは おそらく変態従者に 

    コスチュームプレイで いたずらされて 

    怒っている若い娘だろうと思い
 
    苦笑 雑談しながら見逃してしまいました

    前にも ちょくちょく あった事なのでした


  「 プリンセス様 ~!

    おっ おっ お助けを ~~~! 」


    変態従者は プリンセスの部屋に逃げ込みました


  「 何事です ? 騒がしいですよ !

    私たち これから いいところなのにぃぃぃ ~

    うっふ~ん ♪ 」


    プリンセスのベッドの上には 

    猿ぐつわをされ 手足を四方に縛り付けられた

    王子が必死に もがいていました



          続 く





   ( 注 )

    ギャオス は 

    映画 「 ガメラ 」 シリーズに登場する架空の怪獣

    口からは、何でも切断する300万サイクルの

  「 超音波メス 」 を発射する

    健康のため 超音波攻撃は 控えめに。