偽作 シンデレラ 2 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい


  仮面舞踏会を 開くだの なんのと 

  王様と王妃様が わぁわぁぶうぶう もめている

  そんな国の城下に ある娘がいました




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  彼女は ある雨の日 傘もささず 

  涙も 流れるままに 泣きぬれていました




「 土は 土に、灰は 灰に、塵は 塵に 、、、 」







  教会で 質素な葬儀が執り行なわれ 

  彼女の父親は 雨の降る 肌寒い日に 

  わずかな人が 見つめる中 墓地に 埋葬されました









  彼女の 実母は ずいぶん前に亡くなってしまっていて

  その後 父親は一人で 娘を大切に育ててきました




  ある時 遠縁の親戚の知人の隣人という人から

  父親に 縁談話が持ち込まれました

  自分の娘より 年上の娘 二人を持つ未亡人でした



「 どうでしょうねぇ ? 

  そんなに 悪い話でも無いと思いますが

  結構 色っぽい御婦人ですぜ

  旦那も まだまだ 男盛りだし

  お互いに 子持ち同士だし

  割れ鍋に綴じ蓋 なんてね うへへへっ 」


「 しかし 年頃の娘が なんと言うか? 」


「 男手ひとつで 娘さんを育てるのは たいへんな事です

  気立ての良い 母親と娘たちだから 

  きっと 娘さんとも 仲良く暮らせるでしょう 」


「 しかし 娘と相談してみないと 、、、 」




  そんな話で 強引に勧められ 父親も重い腰を上げました

  父親は 娘のためにも 幸せな家庭生活を 望みました



「 どうだろう ? おまえの気持ちが知りたい 」


「 お父さん 私は かまいません 

  お母さんが 亡くなってから ずいぶん経つのだし

  お姉さんが 二人も 出来るのは 楽しみだわ 」

 
















  
  
「 ふふふ よく やってくれました これは約束の成功報酬です 」


「 これは これは おありがとうございます

  また 何か用があったら 

  お気軽に お声をかけておくんなさい うひひっ 」

  

  縁談を取り持った者に 未亡人から 

  何やら怪しい 謝礼が払われました

  縁談がまとまり 質素な結婚式が開かれました




「 その 健やかなる時も 病める時も

  喜びの時も 悲しみの時も 富める時も

  貧しい時も これを愛し これを敬い

  これを慰め これを助け その命ある限り

  真心を尽くすことを誓いますか ?  」




  継母と 義姉たちも 笑顔で 優しげに見えました

  これから 楽しく 新しい 幸せな生活が始まるのだと

  彼女は 夢を思い描いていました










  しかし 結婚生活は 長く続きませんでした

  再婚すると すぐに父親は 病で急死したのです






  それまでは 猫を かぶってていた母娘は 本性をむき出しました


「 おい ! 今日から お前は 物置小屋に住むんだ いいね ! 」


  継母が言いました



「 えぇ なぜですか ? そんな理不尽な ? 」



「 財産は あたしが相続した 妻だから当然の事さぁ

  だから この家に置いてやるだけでも ありがたく思うんだな ! 」


「 そうだ そうだ てめぇには そこが お似合いだ ! うひひ 」


「 しっかりと働けよ この 穀潰しめが ! げへへ 」


  義姉たちも 冷たく言い放ちます


「 炊事 洗濯、掃除、繕い物、庭の手入れ、薪割り、

  力仕事まで すべてをやるんだよ 

  手を抜いたら 飯抜き ! 

  働かざる者 食うべからず ~! 」


「 では 義母様たちは 何をするのですか ? 」

  娘は 聞きました


「 あたしらは あたしらで それなりに 忙しいんだよ ! 」

  継母が言いました


「 文句 抜かすんじゃないよ ! 痛い目に あいたいのか ~! 」


「 もう父親は いねぇんだよ ! 甘ったれてんじゃぁねぇよ ! 」


  義姉たちも 恫喝しました


「 ガキのくせに 大人に意見しようなんて ふぇてぇ了見だ ! 」


  継母たちは 鬼のような形相で 威嚇します


「 そっ そんな 、、、、 」




  父を亡くした悲しみに暮れる娘は 

  継母たちに 使用人以下の扱いされ

  朝から晩まで 雑用から力仕事まで みっちり働かされました

  水をくみ 食事の支度 炊事 洗濯 掃除 草刈 大工仕事

  畑を耕し 野菜や穀物を育て 家畜の世話をする毎日
  
 

  枯れ木を拾い集め 木を切り 薪にして割り

  始めは重く 持ち上げるのも難しかった斧で

  いつしか 娘は 苦も無く 薪を真っ二つにする事ができました



  継母は 残された現金を 懐に入れ 
 
  金になる めぼしい物を 売り払いました
  
  娘の 可愛いドレスなども 売ったのです

  さらに 土地家屋を 現金化したかったので 

  不動産業者に 話を持ち込んでいました  


「 何だよ まだ 買い手がつかないのかい ? 

  おい ! トロイぞ コノヤロウ ! 」


「 そう言われましても 設定値段が高すぎますし 

  このところの 不動産不況もありまして

  なかなか物件が 動かないのですよ 」


「 ちゃんと 仕事してくれなきゃ 困るねぇ 

  いつまでも あんな辛気臭い 面白くもない所に 

  長居するつもりはないんだ やっぱ 盛り場じゃあないとなぁ

  だから 急いで 買い手 見つけなよ ! 」


「 はい 誠意努力します 」


「 口ばっかじゃぁ困るよ 

  あたしを 並の人間だと思って舐めてると

  口に出せないほど ひどい目にあうよ

  人並みに 長生きしたかったら 早くしな !

  わかったな ! 頼むぜ おい ! 」


  継母は 鬼の形相で 睨み付けて 不動産屋を後にしました



「 ブルブル 強欲な 恐ろしい女だ 

  やれやれ なんだか 毒気に当てられたようだ

  厄払いの 塩でも 撒いておこうっと 、、、、 」


  不動産屋は げんなりしてしまいました





  その時 男女二人連れが 不動産屋に入ってきました


「 ちょっと お聞きしたいことがあるのですが 」


「 はい はい いらっしゃいませ ウチは良い物件ぞろいですよ 」







  不況の折 なかなか商談は まとまりませんでした

  家は 売れず 継母たちは 苛立ち 理不尽に 怒鳴り散らします

  娘は 惨めで 厳しい生活を 強いられました



        続 く