「 こんばんは どなたか いますか ~? 」
白雪姫が 小屋に入ると
食べ物の匂いがしました
食事の下準備がしてあり 白雪姫は
思わず つばを飲みこみました
「 あぁ お腹がすいて たおれそう 」
勝手に食べてはいけないと 思う心とは裏腹に
身体は ふらふらと引き寄せられ
ついつい 口にしてしまいました
「 ちょっとだけ 味見したりして ♪ 」
一口だけ 一口だけと 思いつつ
空腹の余り ぺろりと全て食べ尽くしました
「 あぁ お腹 いっぱい うっぷぅ ~♪ 」
お腹が膨らむと疲労のため 気絶するように
小さなベッドの一つに倒れこみ
そのまま寝入ってしまいました
「 Z z z z z z,,,,, ]
そこへ7人の 小さい住人達が
仕事から 空きっ腹を抱えて 帰ってきました
「 ♪ ハイ・ホ ~ ハイ・ホ ~ ♪ 」
「 ♪ 声を そろえてぇええ ~ ♪ 」
「 ♪ みんなでぇぇえ 楽しくぅぅう いざぁぁあ ~ ♪ 」
「 ♪ ハイ・ホ ~ ハイ・ホ ~ ♪ 」
「 ♪ ハイ・ホ ~ ハイ・ホ~ ♪ 」
「 ♪ ほがぁらかぁにぃぃ ~♪ 」
「 ♪ 楽しくうぅ うたえばぁあんぁん ♪ 」
「 ♪ いざぁああ ハイ・ホ ~ と くらぁ ♪ 」
「 おや ? 誰かいるぞ 」
「 誰 ? 」
「 女の子が 寝ているぞ 」
「 どれどれ ? 」
「 わぉ ! なんて 可愛い娘なんだろう ~! 」
「 まるで雪のような白い肌だ 」
「 でも なんで こんな所にいるんだろう ? 」
「 もしや 俺達を探りに来たのではないだろうな ? 」
「 まさか こんな 華奢な お嬢さんが ? 」
「 こんな無防備に 眠りこけているいるのに ? 」
「 まあ それもそうだなぁ 」
「 おおかた 迷子なんだろうよ 」
「 口減らしで 親に捨てられたのかも 」
「 ” ネグレクト ”ってやつか ? 」
「 今は そんな親が増えているようだ 」
「 ヘンゼルとグレーテル みたいに ? 」
「 これと違う お話だけどな 」
「 そうか かわいそうに グスン グスン 」
「 しーっ 寝息を立てているから 」
「 このまま 寝かせてやろう 」
「 それがいい 」
「 あっ 夕食がないぞ ~ 」
「 わぁ 食べられた ~ 」
「 あぁ ~ 全部 食べられてるしぃ ~ 」
「 おれたちの 夕飯は どうする ? 」
「 しかたない 水でも飲んで 寝ようか 」
「 あ~ 寝てるベッドは 俺のだよ 」
「 しかたないよ オイラのベッドで一緒に寝よう 」
「 う~ん やさしくしてね ♪ 」
「 。。。。 」
朝になりました
白雪姫が目を覚ますと
7人の小さな人達が 覗き込んでいました
「 あっ 目を覚ましたぞ 」
「 やぁ おはよう 」
「 君は 誰 ? 」
「 どこからきたの ? 」
「 何をしているの ? 」
「 寝てたんじゃないかなぁ ? 」
「 そりゃそうだ 」
「 そうじゃなくてだなぁ 、、、」
白雪姫は 小さな彼らの姿に 驚きましたが
まず 彼らの食事を食べてしまったことを詫びました
「 ごめんなさい 死ぬほど お腹が空いていたの 」
「 人間 腹減ると辛いからなぁ まぁ しかたないさ グ~ゥ! 」
「 いいってことよ グ~ゥ! 」
「 今日の 食事当番は誰だ ? グ~ゥ! 」
「 早く~朝飯 ! グ~ゥ! 」
「 お前ら 腹の虫が うるさいぞ! グッグ~ゥ! 」
白雪姫は 身分を隠して 今の境遇を話しました
継母に疎まれていること
殺されそうになったこと
なんとか逃れてきたこと
「 なるほど かわいそうな女の子だ 」
「 ネグレクトどころの話じゃないな 」
「 行く所が ないんだな 」
「 では ここに いたらいい 」
「 そうだ 」
「 ご迷惑では ないですか ? 」
白雪姫は 尋ねました
「 まぁ いいんじゃない 」
「 そのかわりに 家事を お願いしたいな 」
「 今 俺達は 交代で食事を作ったり 掃除洗濯をしているんだ 」
「 お嬢さんに できるかい ? 」
白雪姫は 家事などしたことがありませんでしたが
「 やります 教えてください 」
きっぱりと 返事をしました
「 じゃぁ まずは 朝食から作ろうか 」
「 あぁぁ 腹が減って 腹が減って
今なら 人間だって 食べられそうだよ グ~グ~ゥ ! 」
「 おいおい 人を喰うってぇのは 穏やかじゃないぞ 」
「 いや 知らずに調理されたら 喰っちまうかもよ 」
「 それ猟奇的だ カニバリズムだなぁ 」
「 おいら カニ 好きだよ たべたくなっちまったい 」
「 いや そうじゃなくてだなぁ 、、、、 」
「 なんでもいいから 早く めし めし ! 」
白雪姫は 生き残ることが大切と思いました
このまま おめおめと 王室を 祖国を
継母の王妃の思うままに させるわけにはいきません
きっと 大きな陰謀が 渦巻いているに違いない
そう思うと はらわたが煮えくり返るような思いでした
「 継母は許せない このままでは 済まさないから 」
白雪姫は 拳をかたく握りしめ つぶやきました
白雪姫不在の お城の近衛兵たちは
美味しい美味しいと
大喜びで シチューを食べました
「 今日は 具沢山だねぇ 」
「 お肉 たっぷり 」
「 よく 煮込まれているねぇ 」
「 ひさしぶりに 食べごたえがあるなぁ 」
「 うま うま ♪ 」
「 まいぅぅう ~ ♪ 」
「 うまし ♪ 」
もちろん 誰も 何の肉かは 知りません
でも お腹いっぱい食べて
みんな 幸せな気持ちになりました
美味しく煮込まれてしまった 何かの お肉以外は
「 お か わ り ~♪ 」
続 く