ブルー・マーメイド 12 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい




    人魚姫は 超音波をソナーのように使い

    逃げる変態従者の 行き先を捕捉して

    プリンセスの部屋に 辿り着きました







    下品なショッキングピンクの色合いの

    天蓋付きベッドの上に

    王子は 仰向けに 拘禁されていました 
   
    手足を ベッドの四方に縛り付けられていたのです

    プリンセスは 王子の姿を イヤラシイ目付きで 

    舐め回すように 見つめていました

    人魚姫は 超音波メスを 王子を縛っていた縄に向け 発射しました




   <<< キューーーン >>>

   


   「 ぶちっ ぶちっ ぶちっ ぶちっ ! 」



    縄は切れました 王子は自ら猿ぐつわを外し 飛び起きました




   「 あぁ サファイア! 助けに来てくれたのか ありがとう 」




   「 一体全体 これはどうしたことですか ~! 」


     プリンセスは叫びました


   「 こっ 小娘は 化物だったのですょぉぉおお ~! 」


     と 変態従者



   「 へ~え お前の方が 化物に見えるよ ! 」



   「 何をおっしゃる 見た目なら 

     ケバい厚塗りの化粧のプリンセス様のほうが

     よっぽど化物ですよ~だ ! 」



   「 なにおぅ! お前は 命が惜しくないのかい ?

     切り刻んで シチューの具にするよ ! 」



   「 わたくしめは 安給金でこき使われて 

     鶏ガラみたいな身体で ダシしか出ませんよ~だ ! 」



   「 じゃぁ 変更 チキンヌードルのダシにしてやる ~! 」


  
   「 えぇ なんてヒドイこと 、、

     あっ ! 

     プリンセス様 後ろ 後ろ ! 」




    振り向こうとするプリンセスの頭を 

    王子は 自慢の長い足の

    華麗な回し蹴りで 蹴り飛ばしました

    変態従者の脳天にも ギロチンのような

    見事な かかと落としを 決めました



  「 ぐえぇぇえ ! 」


  「 うぎゃぁぁああ ! 」



    二人は 潰れた カエルのように床に はいつくばりました


  
  「 さぁ こっちだ ! 」


    王子は 人魚姫の手をつかみ 逃げ出しました



  



    近衛兵の前を 王子たちは駆け抜けました 

    王子を拉致したことは 

    プリンセスと変態従者と その仲間しか知りません

  
    先日 自国に帰ったはずの隣国の王子の姿を見て

    近衛兵たちは 驚きましたが

    王子は 国賓としての待遇をされていたため 

    最敬礼をして 見送りました






   「 こら ~! 二人を 取り押さえろ ~! 」





    プリンセスと変態従者が ゾンビのように立ち上がり 

    痛む頭を抱え 叫びながら ドタバタ追いかけてきました

    このままでは 卑劣で淫靡な 変態行為をしようとしたことを

    世間に知られてしまいます 


    ただでさえ 国民やメディアに 疎まれている存在のプリンセス

    太っただの 臀部が肥大化しただの 

    レセプションでの傲慢な発言等のトラブルの謝罪に



  「 私が 諸悪の根源でした 」 


    などと発言をして 反省の色を見せたかと思ったら


  「 実は 嘘~ぴよ~ん ♪ 」


    と言って 白い目で見られた そんなレベルではなく

    拉致監禁は 世間的 国際的にも 間違いなく犯罪行為です

    更に 国外的にも 悪い評判に拍車がかかります

    身の破滅の時は 遅からずやって来るでしょう

    事件を闇に葬ろうと プリンセスは叫びました



   「 えぇい ! かまわぬから 殺してしまえ ~! 」



    王子に生きて逃げられたら 一大事です 

    遠からず 全面戦争に 発展するでしょう


    大国とは言っていますが 内情は火の車
   
    ひとたび 本格的に戦火を交えたならば 

    弾薬などは 早々に在庫切れし 食料の補充も難しく

    腹をすかせた軍隊の 士気は落ち 

    国内は荒廃し 瞬く間に 厭戦感に包まれるでしょう


    国民の不満を 自国政権から逸らすために

    他国と紛争をして ガス抜きをしていたのです
 

    プリンセスの 品行や評判の悪さで 

    近年 頻発し勢いづいている

    反王室革命運動の火が 燃え上がり

    内戦に発展してしまう可能性も 否定できません


    短期間で 国が傾きかねず 

    王室やプリンセスの未来も どうなるかわかりません

    
    大国も 実際は 砂上の楼閣だったのです



    事態を 理解出来ない近衛兵も 

    あまりのプリンセスの異常さに驚き

    どたばたと 慌てて王子たちを 追いかけました



  「 待て ~! 」



    よろめきながら 人魚姫は走ります 

    しかし足がもつれて 転びそうになりました



  「 サファイア 僕の首につかまれ ! 」



    王子は 人魚姫を両手で抱え上げ 

    御姫様抱っこで 走り出しました

    長い廊下を 全速で 駆け抜けていきます












    


    長い足で しばらくはリードして距離がありましたが

    軽量の人魚姫といえど 抱きかかえて走るのは
  
    王子が 若く体力があっても いかんせんハンディです


    必死の思いで逃げましたが 

    近衛兵達が追いついてきました



    一歩 また一歩 距離が縮まります



    近衛兵の 伸ばした手が

    王子の肩を ぐいっと 掴みました



 
  「 あぁ これまでか ! 」



    王子は 思いました    






     続 く