「 ♪ チクタク ♪ ♪ チクタク ♪ 」
「 ひぃぃぃいいいい ~~! 」
フック船長は 頭を抱えて 震えました。
「 あっははははっ ♪ 」
笑い声が響きました。
「 ぷぷぷっ ワニかと 思ったかぁ~い ♪ 」
船に上ってきたのは ワニではなくて
ティンカー・ベルを伴った ピーターパンでした。
「 あぁ ピーターパンだ ! 助けて ~ ! 」
「 ぼくたち ネバーランドから 連れ去られちゃうよ ~ 」
「 おまたせ 今 助けてあげるよ ふふふ ♪ 」
「 ピーター・パンめ ! 」
「 この野郎 ! 」
「 俺達を なめんなよ ! 」
手下の海賊たちが 襲いかかりました。
しかしピーターパンは 蝶が舞うようなステップで
手下たちの攻撃をかわし、蜂が射すように
フック船長の手下たちを 殴りました、
えぐい 急所攻撃でした。
「 ぎゃぁ ! 」「 ぐわぁ ! 」「 ひぃぃ ! 」
大人といえど 鍛えることのできない場所を 殴打され、
みんな 悶絶してしまいました。
ピーターパンは 子供たちを 次々に助け出しました。
もちろん、ウェンディーも弟のジョンとマイケルもです。
「 おやぁ ? フック船長は どうしたのかなぁ ?
なぁ~んだ ワニが怖くて 隠れて震えていたのかい
だらしないの~ あはははっ ♪ 」
「 うぬぬ、ワニかと思えば、お前だったのか ~!
ワシを 騙しおったなあぁぁあ ~! 」
「 腕を食われた事を 思い出したかい ?
さぞや 恐ろしい体験だったろうな あはははっ ♪ 」
「 うぬぬ ! 貴様のせいで
ワニに 腕を食いちぎられたのだぞ ! 」
「 うふふ お気の毒様 ♪ 」
「 ワシは ワニが怖い、トラウマになってしまった 」
「 いい気味だ あはははっ ♪ 」
「 だが、大人には、避けられない困難や、
辛い試練が 待ち構えているものなのだ
そして、それにも 耐えて
いつか 乗り越えなければならないのだ 」
「 まぁ それは それは、大変な事で、
ビビリまくっていたくせに カッコ悪 ~。
僕は そんな大人になんか、なりたかぁないね
うふふふふふっ ♪ 」
「 ピーター よ !
もう いい加減に 子供たちを
子供のまま留めおくのを やめたらどうだ !
子供は いつか 大人にならなくてはいけない、
お前の エゴのため 子供たちの将来を
閉ざす事が あってはいけない ! 」
「 うるさ~い ! 将来なんて知るもんか~ !、
けがれ無き子供たちを、薄汚れた大人などに させるものか。
子供は 子供のままでいるのが しあわせなのさ 」
「 ピーターパンよ 本当に それで良いと思っているのか ? 」
「 フック船長 よ~く自分の姿を見るがいい。
顔には シミ、シワが出来て、髪には白いものが混じり、
身体も ずいぶんたるんでいるようだぞ。
そんな姿、僕には とても幸せだとは思えないよ 」
フック船長は 失った自分の手の代わりに付けている
鈍く光る、金属製の鉤爪の手に映る 自分の顔を見つめました。
「 シワ、シミ、白髪も ワシにとって
一つ、一つが、歴史なのだ、
けして、誰に恥じる事はない ! 」
「 僕は お肌 つるつる ぷるぷる だよ~ ♪ 」
「 ワシも お前も 昔は子供だった、
二人で仲良く遊んだものだったな。
しかし、お前は 大人になる事を 拒んだ。
ティンカー・ベルに そそのかされて 家族を棄てた 」
「 自分で決めたことさ ティンカー・ベルの 悪口を言うな ! 」
「 妖精は、しょせん妖精だ、
人間の世界の者ではない。
いつまでも 関わっていては いけない 」
「 黙れ ! 黙れ ! ティンカー、ベルは悪くない ! 」
ティンカー、ベルは人を惑わす !
人生を 踏み誤らせる !
人に 関わらせては いけないのだ ! 」
「 ふん ! 失礼ね 酷い物言いだわ 」
ティンカー・ベルは 顔を歪めました。
「 ティンカー・ベルよ
お前が 子供たちを 妖かし連れ去るのは
子供たちの 成長エネルギーを
吸い取って 生きているからなのではないのか ! 」
「 ふふっ それは どうかしらねぇ 」
「 いや そうに違いない ! 」
「 邪推も いいところよ オバカさん 」
「 ならば なぜ お前といる子供たちは 成長しないのだ ! 」
「 そんなこと ! あんたに 関係無いでしょう ~!
これだから 大人って やぁねぇ、
また ひどい目に 遭わせるわよ ! 」
ティンカー・ベルは 血相を変えて言いました。
「 ワシは、自ら望んで大人になった、
ワシ自身のためにも、
ワシまでも いなくなってしまっては
両親の悲しみは計り知れなく
嘆きは いつまでも 続いただろうからな 」
「 人の悲しみなんかに かまっているから
余計 老けこむんだぜ はっははは ♪ 」
「 確かに、大人になることは、
子供時代ほど 気ままで
楽しくいられるわけではない、
それは 幸せな事ばかりではないかも知れない 」
「 ふふ~ん つまんな~い !
年寄りの泣き言や、お説教なら ゴメンだね ! 」
「 ワシの言葉を 泣き言と思えばいい、
お前は まだ人生を知らない お子様だからな 」
「 チッ! チョ~ ウゼェ~! 大人めが ~ ! 」
「 今日こそ 人生の厳しさを教えてやる さぁ来い ! 」
「 ふふ~ん、今日こそは、決着をつけてやるさ ひゃっははは ♪ 」
二人の 睨み合いが続きました。
間合いが 詰まります。
やがて ピーターが フック船長に飛びかかり、
船の上で 凄まじい戦いが始まりました。
続 く