「 鏡よ 鏡 」
王妃は 問いかけました
「 ちゃんと白雪は 始末したのでしょうね ? 」
鏡の裏側に 身を隠した
秘密裏に 王妃に仕える従者が 答えます
「 それが 始末を申し付けた狩人が
白雪姫に 買収されて
勝手に 逃がしてしまったようなのです 」
「 なに? まだ生きているのですか?
それは よろしくない報告だこと 」
「 持ち帰った 殺害の証拠の 心臓は
鑑定の結果 白雪姫の物でなく
豚の心臓であるとの 報告を受けました 」
「 白雪に まんまと言いくるめられたのね
なんて食えない 憎らしい 小娘なのかしら
それで狩人は どうしました ? 」
「 狩人は 食肉として処分しました
近衛兵たちの 食事に供されています
今夜は シチューですかな 」
「 なるほど 裏切り者に相応しい最後ね
とろとろに 柔らかくなるまで
良~く 煮こんでおやり
でっ 白雪の行方は ? 」
「 はい 今 配下の者に捜索させています
市中や 近隣の森は 隈なく探しましたが
いまだ 発見できていません
しかし しょせん小娘の足です
そう遠くまで 逃げられるとも思いません 」
「 早く見つけて 亡き者にしておしまい
いくら暗愚な王様といえ
わが娘は 可愛いだろうから
白雪の暗殺計画が 発覚してしまうと まずいわ 」
「 はっ かしこまりました 」
白雪姫の 生母は 病死しました
喪が開けて しばらくすると
新王妃は 過去に一悶着あった他国から
国王の後妻として輿入りしました
尖兵ともいえる新王妃は
友好を装って送り込まれましたが
完全な 政略結婚でした
白雪姫の 継母になった彼女は この国の実権を握り
王位継承権を持つ 唯一の跡継ぎの彼女を
亡き者にしようと 画策していました
そこで狩りと称して 王様には内緒で
白雪姫を連れ出させ 暗殺を図ったのでしたが
まんまと 逃げられてしまったのです
王様は 王妃から 白雪姫が家出したと聞かされました
「 妃よ ワシの可愛い白雪姫は まだ見つからないのかい ? 」
「 はい 必死の捜索を続けていますが
いったい どこに行ったのでしょうねぇ?
まだ見つかっていませんのよ 」
「 困ったのう 心配じゃぁのう 」
「 若い娘ですから どこかのボーイフレンドの所にでも
しけこんでいるのかもしれませんねぇ
案外 お盛んなのかも おほほほっ 」
「 ああぁ まだまだ子供だと思っていたのにぃ 、、」
行方不明の姫を心配するあまり
王様は心労で寝込んでしまいました
白雪姫の捜索は 王妃に一任されました
「 小娘め どこに隠れていても必ず探し出して
お前の心臓を 抉り出しててくれるわ
残りは ミンチにして ハンバーグにしてあげる
王様は ハンバーグが大好物だからね おほほほほっ 」
王妃様は サディスト だったのです
続 く