狼のブルース1 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい

 












         昔あるところに 羊飼いの少年がいました


         朝早くから夕方まで 羊の世話をする生活でした 


         少年には なんとなく いつも 閉塞感がありました


         平凡な日常を 刺激的にするには 


         どうしたらいいのだろう?


         羊を放って 遊びに行くわけにもいかず 


         けれど 何かスリルを味わいたいと 少年は思いました


         色々と 考えました










         そうだ もし 狼が現れたら 


         どれだけ 怖いだろう


         少年が 思いつく限りの 最高のスリルです











         そんな想いに囚われた少年は 


         ある日 声に出してみます





       「 狼が きたぞ~! 」





         もちろん一人なので なにも いつもと変わりません


         羊が ちらっと 侮蔑の視線を送るだけでした








         鬱々とした気持ちを抱えて 日々が過ぎていきます


         ある日 こう考えました


         人々の前で 叫んだら 面白いんじゃないか~?







         いや そんな事をしてはいけない





         でも やってみたい、、、


















         ある日 ついに実行に移しました



         村に降りて 叫んだのです








        「 狼が きたぞぉ~!」











         村の人達は 色めき立ちます





        「 狼だと~ 」



        「 それは 大変だ ! 」



        「 追い払わなくては ! 」



        「 わ~わぁ ぶぅぶぅ 」







         皆が 棍棒やら 鎌やら 手にして 集まってきました





        「 おや どこに 狼がいるのだろう? 」




         もちろん 狼は いませんでした











         少年は 言いました 




        「 もう逃げてしまったみたいだよ 」





         村の人達は 安心して帰って行きました









        「 おおおっ こっ これは 面白いぃぃ~! 」






         少年は 非日常感に 興奮しました

         しばらくは 高揚感に浸っていましたが

         また 味わいたくなって 叫びました









        「 狼が来たぞ~ぃ!」









        「 またか 」



        「 どこだ どこだ! 」



        「 えらいこっちゃ 」










        「 もう 逃げたよ 」





         少年が言いました





        「 そうかい それなら まぁ 一安心だ 」





         村の人達は 少し不審に思いながら 帰って行きました












        「 たまりませんなぁ うひひひひ 」






         少年は 嬉しくてたまりません

         日を置かずに また叫びました








        「 狼が 来たぞ~ぉぅ!」








        今度は うすうす 村人達も 

        おかしいんじゃぁないのかい? 

        と 思いながらも集まりました







 
        「 もう 逃げたよ 」






        「 そうかい、、、、」






        村人達は 少年が

        嘘をついているのではないかと

        疑い始めました

        そもそも 狼は 人里まで 

        降りてくる事は 少ないのです








       「 もし こんど 狼がいなかったら 

         小僧を とっちめてやろう 」



       「 それがいい 」



       「 大人を なめやがって ひどい目に 遭わせてやる 」









       そんな事も知らず 少年は 

       性懲りもなく また 叫びました




      「 狼が 来たぞ~ほほぅ! 」







      「 待ってました ♪ 」


      「 このガキめ 」


      「 ぶちのめしてやる 」










       村人たちは 手に手に 棍棒を持ち 

       集まりました

























       嗚呼 少年の運命は いかに?








            続く