こんにちは。
もうケンブリッジにいないのに、思い出を頼りに書く「エア・ケンブリッジ日記」です。
もうずいぶん前になってしまいましたが、3月の帰国直前に、外国人女性向けのグループIWG(International Wemen's Group)にて、ケンブリッジ随一の美術館「
フィッツウィリアム・ミュージアム」の絵画作品解説をしてくれる回に参加したんです。
IWGはキリスト教徒のグループによって運営されているので、そこで取り上げられた絵は主に宗教的・道徳的教訓の秘められた作品の紹介で、メジャーど真ん中なセレクトとはちょっと違うと思うのですが、
「その背景を知ってないとちゃんと鑑賞したことにならない絵画のなんと多いことか…
」
と改めて実感する機会になりました。
『考えるんじゃなくて、感じるんだ!』派の方には不要かと思いますが、私みたいなそういうタイプじゃない人のために、そのままご紹介します。
これからフィッツウィリアムに行かれる方のご参考になれば。
長記事なので、ご興味のある方だけどうぞ

■On the Brink
Room2、イギリス絵画のお部屋にあります。

タイトルは、「一歩手前、瀬戸際」みたいな意味です。
手前で絶望的な表情を浮かべている女性、彼女はギャンブルで大金をすってしまい、まさに『破滅・自殺の瀬戸際』。足元に捨てられた紙が大負けしちゃったことを表現。
そんな彼女に近寄り「もう一回賭けたら取り返せるかもよ」とささやく男の人、逆光で暗く描かれ、まさに悪魔のささやき、って感じ。明るく華やかな室内とのコントラストが効いてます。なんか見てて身につまされちゃう…。
■The Bird Trap
Room3にあります。

こちらはピーテル・ブリューゲル(父)の作品です。ブリューゲル親子の絵って細かくいっぱい書き込まれていて楽しいですよね。
茶色いのは地面じゃなくって、凍った川。その上で人々がスケートで遊んでます。
しかしこの絵を探すのが一番難しかった…思わず職員の方に尋ねちゃった。
この階段を上った先にある…

こちらのバルコニーのギャラリーにあるんです。

しかもね、順路でいったら一番最後、階段出入り口の右隣ですよ。そして思ったよりずっと小さいの。
で、タイトルにあるように、右手の木立のふもとには、鳥をとらえる罠が。
そんな場面を切り取った風景画ですが、これもキリスト教っぽい意味が込められてんですと。
氷が割れる危険には無頓着にスケートを楽しむ人々、罠がひそんでいることに気付いていない鳥…
どちらも無知で脆い存在として描かれ、『このように誘惑や危険がいっぱいの世の中で、それらに惑わされることなく信仰を貫き救済を目指さなきゃなんだよね』ってメッセージを表してるっぽい。
ふ、深い…!!
てか、この景色見ただけでそんなの絶対思いつきません。
■Springtime
Room5、小さい部屋だけど、フランスの印象派の絵画がテーマの人気のお部屋。
セザンヌ、ルノワール、ドガ、スーラなどなど、絵に詳しくない私でも知っているメジャー画家の作品が収められてます。
先生に連れられた小学生たち、この部屋にある絵をもとに授業を受けてました。
で、この部屋からはモネのこの作品。

日本人の多いIWG、「日本人はサクラ好きでしょ?」という計らいのセレクトでしょうか。あ、でもこれ、果樹園だからサクラでもないのか…。
花の咲く木の下にいる男女、モネの実の息子と当時の愛人(後の妻)の娘がモデルだとか。
近づいたらなんだかわからないのに、離れたらちゃんと絵になるところが印象派絵画って面白いですよね(っていうひどく浅い感想しか湧かない)。

この部屋だと、スーラの習作とかもいいけど、私はシスレーのこの絵が好きかなあ。
パリ郊外の村の景色らしいけど、私はスペインとかで見た石畳の道を思い出します。
■Hermes, Herse and Aglauros
イタリア絵画のお部屋、これだけ番号控え忘れたんですけど、たぶんRoom7かと。違ったら6です。

IWGの場では“政治的な絵画”の例、として紹介されました。
ギリシャ神話の1シーンで、ヘルメス(左の男性)がHerse(右側の女性)に惚れて会いにやって来たけども、女神アテネの策略で妹(か姉)のAglaurosがヘルメスが部屋に入るのを邪魔しようとするんで、「お前何すんだよ(怒)」と足蹴にされちゃってる、というもの。
神話知らないと「ふーん」で済んじゃう絵ですが、いろいろメッセージが散りばめられているんだそうで。
自分の姉妹がこんな目にあっているのに、われ関せず気高きキメ顔を崩さないHerseは、当時隆盛を誇っていた都市、ヴェネツィアを象徴しているんだとか。
見える布はシルクで、特に高価だった赤や青のものを描くことでヴェネツィアの富・豊かさを象徴。
ほかにヴェネツィアの名産品ガラスがさりげなく配置され(って聞いたけど、このちっちゃな花瓶のこと??)、さらに足元には「敬虔さ・忠臣さ」を象徴するワンコなど。
・・・これも言われないと絶対に受け取れないメッセージですよ。
■A Village Festival, With a Theatrical Performance and a Procession in Honour of St Hubert and St Anthony
Room8、こちらはピーテル・ブリューゲルの息子の方の絵です。お父さんの絵をもとに描いたみたい。村の宗教的なお祭りを描いたもので、私のメモには「モラル」とだけあるんですけど…なんだ?
日本でいう山車みたいなのを運ぶ、宗教的な行進が行われている一方で、
へべれけに酔いつぶれてたり、喧嘩してたりと
敬虔なイベントにそぐわず浮かれちゃう人間のありのままも描きこんでる、とかそんな感じだったかな。
真ん中ではよく知られたコメディのお芝居を上演してます。
■A Stoneware vase of flowers
Room17。

作者のヤン・ブリューゲルって、ピーテル・ブリューゲルの二男ですか。この人は花の静物画で有名なんだそうで。
よく見かけるモチーフだけど、確立したのがこの人っぽい。
咲き誇る花は華やかだけど、一方で枯れて落ちてしまっている「忘れな草」の花も描かれ、人の命は有限であり儚きものよ…という意味だったような。虫も何かを象徴してると言ってたけど忘れちゃった。

こうしてダイヤモンドが描かれているのは、この絵がダイヤモンド商人に依頼されて描かれたものだということを示してるのかもって。キラキラしてキレイ…。
以上、ここまでが、IWGで教わった絵画たちでした。
各部屋に、絵画を説明するファイルがあって、それを読んだ内容も書いていますが、私の誤訳や勘違いが入っていたらごめんなさい!
長ーくなったので、他の見どころはまた別途…。