保江邦夫の”量子医学の誕生”ガンや新型ウイルス感染症に対する新物理療法への誘いという書店に並ぶやすぐに消えてしまった本がある。中身はセレンクリニック(小林正学院長)のQPA(quantum particle accelerator)という装置の治療メカニズムを理論づけようという動機の本だ。

(ちなみにこの装置は加速器と呼ばれるものではない)

最初ちょっとみしたときは、医療装置の宣伝をしているのでやばいと思った。セレンクリニックのサイトには何の紹介もしていないし、内容もぶっ飛んだもので発禁されたのかと思った。図書館に購入希望を出してもとんでも本と認定されたのか、稟議を通らなかった。

ところが図書館から連絡が入り県立水戸図書館から入ったというので改めて目を通して見た。

内容は

1、細胞の内外部構造

2、電磁場の量子論

3、物質場の量子論

4、量子電磁力学

と読み進んでいくにつれ

とんでも論どころか

その説明は世の中の量子力学の解説本をはるかに超えた

素晴らしいものであった。

優れた、物理学者が文章を書くときに

その書き手の理解力が滲んでくる。

例えば元fermilabの所長でノーベル物理学賞受賞の

レオン・レダーマン博士の書いた解説本には

その理解力の非凡さがあちこちに出てくる。

(レオン・レダーマン博士は私の家の食事に招待したことがあったがその時の非凡な能力には驚愕した。当時日本から来ていた物理学者とは一線を画していると感じた)

それと同じようなことがこの保江博士の本にも

現れてくるのだ。

保江博士はyoutubeなどでも頻繁に出てきていてチャラチャラした人格を出しているが、このような解説本で思いがけない才能を披露してくれた。同一人物とは思えない、天才物理学者の顔つきに変化していたのだ。

 

残念ながら後半は理論と臨床結果が

ごちゃごちゃになっていて一部しか

信用することはできないがあまりにも

前半の量子力学の解説が素晴らしすぎて

読者は混乱してしまう。

 

湯川博士の最後の弟子だと喧伝されていて

眉唾な気がしていたが

それはありうることだと了解された。

 

我が国の奇人変人の一人だろう。