超弦理論において考えられる宇宙の数が10^500個あるというのはほとんどのばあい、だれかがそういっているという引用で終わってしまう。
それはコンパクト化された余剰次元が一般になじみのない幾何数学で記述されているからだ。
その数学での概念をカラビ=ヤウ多様体と呼ぶ。
このような幾何は一般書で四十年以上前に読んだ記憶があるが飛ばし読みであったので理解していない。
このカラビ=ヤウ多様体がなぜ宇宙をあらわすのかわかりやすい説明書がいるがいまのところないようだ。
さてそのような数学モデルをもつことの利点は重力が他の力に比べて弱いことやインフレーション宇宙の理屈付けが可能なことで他にこれにかわる理屈はたてにくいからだという。
そして本論の10^500個の宇宙という数字は以下のように説明されている:
 KKLT論文のポイントは、モジュライをどのようにして安定化すればいいかを示すことにより、カラビ=ヤウ多様体そのものを、安定な、あるいは準安定な一連の形状に制限する方法を明らかにしたことにある。
つまり、ある特定のトポロジー型のカラビ=ヤウを取り上げ、それをフラックスやブレーンで飾りつける方法を導き、可能な構成を逐一数え上げられるということだ。
問題は、その可能な構成の数が最大10^500と、とてつもなく大きく、一部の人はその結果に不満をもっていることである。
「この10の500乗という数は、数学者が求めた、多様体がもちうる穴の最大数 - 約500個 - と、それぞれの穴に通すことのできる場すなわちフラックスが、10種類の状態をとりうるという仮定から導かれた」と、この数を導いた一人であるポルチンスキーは説明する。
かなりおおざっぱな数え方で、もっとずっと大きいかもしれないし、もっとずっと小さいかもしれないが、おそらく無限大にはならないだろう。