DNA情報をつかった治療にはその分析のコストをさげることが重要で
アメリカや中国が先端をはしっていて熾烈な競争がされているという。
重粒子線治療でもその可能性があるのではないかという点からわたしも感心をもちたい。
日本ではアメリカ、中国、イギリスにおくれをとっているといわれているが
大阪大学・産総研の川合知二教授が
ナノサイズのほそい管(ナノポアデバイス)をとおした電気泳動での高速解析の
最先端に躍り出ているという。
今月号の文芸春秋でも川合教授の紹介がされていた。
(立花隆の編集)
ここに川合教授の一般講演があるので
信憑性をご判断いただきたい。
四種の塩基をナノサイズの管にとおして電流をながすと
実効抵抗の違いにより(トンネル)電流の大小によって区別がつくのだという。
たんなる電気回路ではなく、小さいサイズの量子効果をつかっているところが
目新しいようだ。ただトンネリング顕微鏡などでの先行例はあるだろう。
顕微鏡の技術をDNA高速判別につかったところは評価できる。
特許審査員はそうはおもわない伝統があるから
ひともんちゃくあるかもしれないが。
(脚注 参照)

アイデアはシンプルだが実行には苦労がともなうだろう。

一方
川合教授についてはネットではさまざまな毀誉褒貶がある。
アグレッシブなひとのようで敵もおおいのだろうが
ナノポアデバイスが彼の開発であり、主張するように効果のある装置ならそれでよい。
小保方博士の場合も同様。
結果よければすべてよし。

脚注)出典

この論文の重要な誤りおよび狡猾な点は,その後数ヶ月後に発表されたハンスマ(Hansma)らのAFM(分子間力顕微鏡)によるDNAの液中での観察の論文(PDF)(Science誌)[2]および、2年後(1994年)にグッケンベルガー(Guckenberger)らにより発表されたDNAのSTM観察(PDF)(同じくScience誌掲載)[3]を(恐らくは故意に)全く引用していない点にある。川合らはこれら2つの論文の存在を知らなかった筈がない。なぜなら同じ頃、相前後して投稿した川合らの別の論文にはそれぞれ3回ずつこれらの論文が引用されている。学術論文では通常の習慣として、その研究の意義や歴史上の位置付けを明確にするため、それ以前の研究で突破口となった重要な論文を引用するのは当然のことであり、執筆者の良心かつ科学者の道徳でもある。(このような論文掲載を許した編集者の見識や雑誌のレベルも疑われる。恐らく査読者は、STMの技術面の専門家であり、生物学の知識が皆無に近いと思われる。)ハンスマの論文は、2003年2月末現在で、276回、グッケンベルガーのそれは110回も他の種々の論文に引用されるなど、専門家による極めて高い評価を受けている。他方問題の川合らの論文は、被引用回数6回でそのうちの2回は川合ら自身によるものである。

川合らは、この論文投稿に相前後して、マスコミを利用して凄まじい宣伝活動(プロパガンダ)を展開する。それらは読売新聞、朝日新聞、大阪大学新聞、日経新聞、毎日新聞、科学新聞、産経新聞、等々、NHKテレビ、その他の民間テレビ等多数のメディアに及んでいる[4-14](htm(上記:A))(PDF(上記:B))。その効果があってか、この論文を大阪大学の英文年報2000年創刊号中で大阪大学の優れた論文100選中の内でも特に優れた10編の中にも掲載された(PDF(上記:C))[15]。この号は、大阪大学が機関の命運をかけて研究業績を広く世界に発信してアピールするため、全世界の日本大使館に配布されたとNHKが報じていた。さらに川合は同年、大阪大学内の「プロフェッサー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれている。それらの中でも、啓蒙誌として多くの人々に親しまれている一般向け科学雑誌「ニュートン」2002年6月号(PDF上記E:))(ニュートンプレス社)に掲載された記事(96頁7行から右21行までの記述)は川合らの典型的な誤りが狡猾にしかも明瞭に堂々と記述されており、決して看過できない。明らかに人々を迷わせるものである。そればかりでなく、雑誌「ニュートン」をはじめ、多くのマスコミの信用を著しく失墜させ、さらに科学史を汚す行為、大阪大学の恥といえる。以下の枠内に原文のまま引用する。