ナノサイズのゼロ価鉄は環境汚染を修復できるという反面
肺細胞に害をあたえるとも言われる。
その論文はここ


Environmental Health News, August 12, 2009
Iron nanoparticles can be toxic to human lung cells
Synopsis by David Buchwalter, Ph.D
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/iron-nanoparticles-toxic-to-human-lung-cells/

一部を引用する;
大規模な汚染サイトの修復に使用される鉄ナノ粒子は急速に酸素と反応し、ヒト肺細胞を殺すことができる。

 鉄ナノ粒子に結合する酸素分子の数は細胞毒性における重要な要素であることを米化学会のジャーナル『Environmental Science and Technology』に発表された研究が発見した。酸素分子が結合していない鉄のナノ粒子は、酸素に曝されると急速に反応し、肺細胞を損傷することができる活性化合物を形成する。

 どのタイプのナノ粒子が細胞に最も有害かを理解することが重要である。最も懸念されることのひとつは、これらのナノ物質を製造する時にひどく暴露することあり得る労働者の健康と安全である。

 ナノ粒子は、通常、炭素や金属類で作られる非常に小さな物質である。それらは、消費者製品、医療、産業プロセスなど非常に広い応用分野での使用がますます増大している。そのサイズが非常に小さいために、ナノ粒子は周囲の環境に対して、同じ成分で作られている通常のサイズの物質とは異なる反応を示す。

 ゼロ価鉄(nZVI)(訳注1)ナノ粒子と呼ばれるタイプは、塩素系有機溶剤(訳注2)、農薬、汚染地下水中の金属類のような汚染物質を修復するために大きな威力を持っている。ゼロ価鉄(nZVI)はすでに商業的に使用可能であり、その使用においては大量のナノ粒子を環境中に導入する。

 しかし、これらの粒子に環境の浄化に役立つ能力を持たせる同じ特性、すなわち、それらの高反応性がまた、生体に潜在的な有害性をもたらす。ある反応では、広く酸化ストレスと呼ばれているプロセスで細胞中のDNAを損傷することができるフリーラジカル(訳注3)を放出することができる。前の研究は粒子が酸化プロセスを通じて肺細胞に有毒となり得ることを発見した。

 ゼロ価鉄(nZVI)ナノ粒子が吸入されると、ヒト肺細胞にどのように影響を及ぼすかをテストするために、研究者らは肺細胞を異なるレベルのゼロ価鉄(nZVI)ナノ粒子及びもっと不安定な形態である酸化鉄(Fe(II))に暴露させた。そして結果を比較した。