愛 情 3

むかし、炎皇の娘たちは
まだ、ながい尻尾があった。

好きになったしるしには
しっぽとしっぽを巻きつめた。

しっぽにしっぽを巻きつければ
ふたりは なにもかも わかりあえた。

しっぽが、だんだん短くなり
男と女は かえりあえなくなった。

千万愛しているといってみても
ことばは、風にふきとんでしまう。

千日、からだで契りあっても
肉体の記憶はその場かぎりだ。

しっぽとしっぽを縄に綯(な)って、
縄が朽ちるまではなれない。

しっぽのある女を おれがさがしている
そのことわけはざっと、こんなところ。