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ジェムザール併用――
局所進行膵がんに明るい兆し
一方、手術ができない局所進行膵がんに対しては、ジェムザールを併用した重粒子線治療の治験が進行中だ。局所を重粒子線で叩きつつ、転移をジェムザールによる全身化学療法で抑えるという戦略。この治験の前に、まず、重粒子線単独での安全性を確かめる治験が2003年4月から2006年3月にかけて実施された。47人が治療を受け、そのうち解析された36例に関して、次のような結果が出ていると山田さんは言う。
「線量を少しずつあげていったところ、45.6グレイ以上に関しては、局所再発を9割方抑えられることがわかりました。しかし、多くの患者さんで肝転移や腹膜播種が起こり、局所治療だけでは限界があることも明らかになりました」
ジェムザール併用の治験は2006年4月から2009年2月までに22例を数える。
気になるのが、『膵癌診療ガイドライン』2006年版がジェムザール併用放射線療法を推奨していないこと。臨床試験で良い結果が得られていないのだ。
「ジェムザールは細胞の放射線感受性を高めます。通常の放射線療法では線量分布がシャープでないため、感受性の高まった周囲の臓器が放射線の影響を受けて、副作用が強く現れてしまいます。そのため、ジェムザールを全身治療にかなう量まで投与できないというジレンマが生じているようです。重粒子線の場合は、重篤な副作用が出ることなく、全身化学療法のスタンダードな量である1000ミリグラム(1平方メートル当たり)まで投与できています」
効果については、まだ中間報告を発表できる段階ではないという。2011年くらいまでにプロトコールを完了させる見通しだ。「早く推奨線量を確定して、本格的な第2相試験に入りたい」と山田さんは意気込む。
おもな適応は、(1)肝臓や腹膜などに転移がない、(2)過去に膵がんの治療を受けていない、(3)介助なく身の回りのことができる、(4)手術が適応でないと診断されている、(5)75歳以下。
治療は短時間で無痛、外来通院で受けられる
それでは、実際の治療はどのように進められているのか。症例審査委員会で適応が確認され、患者さんが治療内容に同意すると、最初に行われるのは、固定具の製作だ。正確な照射を行うために、患者さんの体の形に合わせた専用のものが必要になるのだ。製作に当たっては、患者さんは静かに寝ているだけでよい。柔らかな樹脂シートを体に貼り付け、固まるのを待つ。仰向け用、うつ伏せ用の2つを作る。続いて、治療計画用CTの撮影があり、初日が終わる。
その後、患者さんは1週間ほど待つ。その間に、治療計画に基づいた、重粒子線を整形するフィルター類の作成が行われる。照射したい領域に線量分布を一致させるためだ。
フィルター類が完成したら、リハーサルだ。実際に患者さんが固定具を装着して治療台に横たわり、治療計画通りの照射ができることをX線画像で確認する。治療台は床から1メートル強の高さで、横たわるギリギリの幅しかない。治療環境を患者さんに慣れてもらうこともリハーサルの目的の1つだ。
照射は体の前後左右4方向から行う。火~金曜日まで1日1回。術前治療の場合は2週間で8回照射、ジェムザール併用の場合は3週間で12回照射。ジェムザールの投与は各週1回30分、静脈に点滴で行う(原則的にジェムザール併用は入院が必要)。
「負担の少ない治療法ですから、『楽だった』と言う患者さんは多いです。膵がんの痛みも消えて体調が良くなるようです。ジェムザール併用の場合は、吐き気や食欲不振が生じますが、2週間もすれば治ります」
臨床試験段階のため、治療が始まると一切が無料になる。治療開始前の検査などには保険が適用される。治療を希望する場合は、紹介状にCT画像や他の検査データを添えると、適応審査がスムーズに進むという。