がん細胞を重粒子線で殺すメカニズムは実はまだはっきりとわかっていない?
12月4日に開催された”入門がん治療入門セミナー”にて会場から
細胞のDNA の鎖をきるのは熱の影響が少ないのならどういった機構なのか
と金井講師に質問がとんだ。
とっさのことで明快な回答は得られなかったが金井講師が講演では
”放射線はSpurや blobを生成しそのサイズは数ナノメートルでこれがDNAを切るのだという示唆をしていた(John Wardの論文の引用)。司会の曽我さんはイオン化によりDNAを切るのだとコメントしていたが
問題はその詳細だ。どうやって、イオン化がDNAを切るのか?

Spurや blobは水(細胞にどのように含まれているのか?)からイオン化されていて
水酸基イオンと電子から構成されている。いわば水酸基クラスターだ。
Spurは三個の水酸基イオンー電子、 blobは12個のイオン-電子ペアーで構成されているというが
これを観測するのはできないであろう。(水のクラスターは観測出来ないといわれている)
また水がイオン化されるのなら酸素イオンはどうしているのだろう。
Spurや blobの水酸基イオンー電子対によってDNAを切るというならそれはナノのオーダーの
間接作用である。
そういう点ではGSI のLocal Effect Model (LEM)に近いところがある。
LEMでは水酸基イオンー電子対ではないので同じモデルとはいえない。
光子がナノのオーダーの局所スケールで分子をイオン化するのだというのだが
その描像は不明瞭だ。
なにしろ物理と細胞の境界上の話なのでむつかしい。モデルといってもまだまだ幼いのだといえる。

放医研の場合はそもそも、物理から生物へのモデルさえないといえる。
放射線の生物への影響を実験データをもとに照射量をきめているだけないのだから
がん細胞を殺すメカニズムまで考えるところまではいかないのだ。

それではj