BNCTは粒子線治療のブラッグピークと同じく
物理の特殊な現象を医療に応用しようとしたものだ。
この場合は
ボロン(ホウ素)と中性子の反応する確率が他の一般的な場合の数千倍
大きいことを使って
がんにホウ素を含む薬剤を含ませ、
中性子をがんに選択的にあてようというものだ。

さて実際その効果はというと
ブラッグピークの場合はピークと平なところの比がせいぜい数倍だが
どちかがいいかというと
粒子線のほうに分があるのではないか?
もとのアイデアの数千倍というのはさまざまな、複雑な効果が
打ち消してしまったようだ。

ブラッグピークの場合だって、
実はそのまま利用されるわけではない。

がんのサイズが大きくなるとブラッグピークはシャープすぎて
実際的ではなくなってしまい、
治療をするときには
このブラッグピークをなまらせてつかわないといけない。
これを拡大ブラッグピークなどとよんでごまかしているが
拡大プラッブピークにすると
ピークがつぶれてきてもともとの
利点が薄まってしまうのだ。

アイデアと実際の違いというものは
あちこちにある。

それでもアイデアがなければ進歩はない。