ブロードビームはビームの進行方向に対して垂直な面内で広いという意味だが
腫瘍はビームの進行方向にも、つまり深さ方向にも一定の大きさをもつ。
粒子線の長所でもある物理的特性のブラッグピークは非常に測定するのもむつかしいくらい局所的なのでそのままでは腫瘍の深さ方向でほんの一部しか効果的な照射ができない。
シンクロトロンというものはエネルギーが可変なのだからこのエネルギーを変えて
深さに会わせて照射すればいいようなものだが、LBLではそういう選択をしなかった。しようと思えばできたに違いないが、そうしなかった。これはその後の粒子線治療にとっては不幸なことに違いない。
LBLではその代わりに深さ方向の厚みの異なる物質をおくことで入射してくる粒子のエネルギーを変える事でブラッグビークの局所性を壊し広げた。これを拡大ブラッグピークと呼んだ。SOBP, Spread Out Bragg Peak, とよぶが、この拡大ブラッグピークは、残念なことに、その長所をも壊してしまう。
その結果、深さ方向に大きな腫瘍は粒子線の治療の効果が薄れてしまう。
この腫瘍の大きさの治療結果への効果は陽子線と重粒子線では異なると言われている。