加速器学会というかアメリカ物理学会の粒子線部門というか
加速器の研究の賞であるWilson prizeというのがあるが

今年は中国系の加速器理論家の
Lee Teng 博士が受賞した。
退職したかったの偉い先生にあげるよううな賞だと
陰口をたたく不埒なものもいるが
逆に偉い先生が
賞の価値付けをしているところもあるかもしれない。

Lee Teng 博士には単にできのいい最高の秀才以上のものがあるように感じる。
シンクロトロンからビームを取り出す原型となる
”遅い取り出し”はリー テンの発案だというし
数多くの後継者をのこしたことでもしられている。 アメリカでは香港からの秀才のAlex Choを
育てたともいわれている。Alex Cho は素粒子の理論から加速器に天候してきて一時名声をえて
かっての超大加速器SSCでもトップに位置した。
不幸なことにSSCは中断し彼はスタンフォード大学の教授となるも、
その後はぱっとしない。理論家の寿命はスポーツ選手と同じだ。
日本では高エネルギー物理学研究所の初期にきて、鈴木敏郎さんなどは彼からてほどきをうけ
業績をあげた。リー テンはむかしの理論家だけあって、電卓があれば、なんでも、計算ができる。
そのほうが物理の直感がきくのでよいのだ。
ほかにもおおくの研究者をそだてているはずで、わたしも人生の転機をえて研究者として進められるようになったきっかけをつくっていただき ひとえに彼のおかげともいえるほど大変お世話になった。
リー テンはその後 ロスアンジェルスの南郊外にある ロマリンダ大学の陽子線治療の設計に深くかかわった。 世の為になる(加速器)物理というてんではこの粒子線治療での業績のほうが大きいかもしれない。
そもそも陽子線のブラッグピークをつかってがんの治療を提唱したのはだれあろうこの賞の名前の 故ボブ ウイルソンだったのだからWilson prizeは彼がぴったりともいえる。
ただこのロマリンダのシンクロトロンは加速器の性能としては、いまいちということがあり、めでたさも
中くらいというものだったかもしれない。 人生のすべての時期において完全な成功ばかりというのもありえないのかもしれない。
しかしLee Teng 博士はつい何年かまえの PAC ではポスターで最新の仕事を発表していたのだから本当に秀才以上のものがあった。このときの仕事は加速器光学理論の一般化で重要な仕事であった。

この受賞講演といっしょにすぐれた博士論文をしあげた若者を激励する目的の講演があり、なかなか
好感のもてる若者であった。
シニアのとジュニアの両研究者の両極端をいっしょに賞賛し講演をさせるアメリカの物理学会もえらいものだ。

きょう、朝食時にテレビのニュースでロスアラモス研究所の予算がまたカットされると報道されていた。
この分野の予算はどんどん削減されアメリカの活力がおちているという現実もどんどん進行している。

現在のリーテン博士と
わかいときのリーテン博士

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