重粒子は深部がんに適している。
深部がんは英語で
深いところに位置している腫瘍
Deep seated tumour
という。
太っているヒトでも照射するためにはどれくらいの
深さが必要なのだろう。

体幹部が180cmくらいの太ったひとで、これを円で近似すれば
中心までの距離は、2x3.14で割って約30cmの深さが必要となる。
ただし、表または裏のどちらからでも照射可能としてる。

それでは30cmの深さの腫瘍に照射するためには
重粒子のエネルギーはどれくらい必要か?
普通はだれかの書いてくれた
グラフがあって、これから読むことが多いが
電卓などで近似値でも自分で計算できると
便利だ。
それは公式がある。
重粒子の水の中の到達深さ(レンジ)Rは:

R/R0=(A/A0)/(Z/Z0)^2

とかける。このように表すのをスケーリング則という。
深さ(レンジ)が特定のパラメターの累乗で表せるからだ。

上の式でR0は陽子の深さ(レンジ)でこれと比べるとどうかという表現だ。
到達深さ(レンジ)Rは
原子番号A と質量数Z でゼロは陽子を表す。

炭素線の場合
A/A0=12、
Z/Z0=6
であるので

R/R0=1/3

である。すなわち 核子あたりのエネルギーの比で
炭素イオンは陽子の1/3の深さ(レンジ)だ。

ここで
R0=0.00206xE(MeV)^(1.78) (cm)

である。
E=400 Me/u
を代入するとR~30cm
を得る。
陽子では216 MeVで
R0~30cm

 ちょっと近似度が悪いかな?
まあまあのところか。