Schwoererらのレーザーのターゲットのアイデアは
シンプルだ。
金属(チタン)の5ミクロンの薄膜の標的に20ミクロン角、0.5 ミクロンの厚みの
PMMA(polymtthyl methacrylate) を
裏打ちしここに10テラワット、80fs(フェムト秒)、600mJの絞ったレーザーを
照射する。
そうするとまずチタンの一部がプラズマになり、
ここから多量の高エネルギー電子が飛び出て、その電子雲が標的の裏側に
強烈な電場を形成する。
この電子雲と金属標的のあいだの電場にプラズマのイオンが乗っかって
加速される。
さて大事なことはこの電場は進行方向に垂直な方向には
中心が強く中心から離れると急速に減少するが
PMMA が小さいためイオンのサイズは小さいから
電場はほぼ一様とみなせるのだ。
そのためエネルギーのそろった単色の
陽子が加速されることになる。
PMMA をつけないと、あるいはレーザーがこれをミスると
単色な陽子は得られないことも確認されている。

しっかりとして
物理的な描像をもった実験をおこなうことで
レーザー加速に大きな一歩が
刻まれることになった。

別の研究者らは
さらに改善すべく、
”動く鏡”(プラズマをミラーとして使い
レーザー光を収束する)
2本のレーザー光を衝突させて
安定性をあげる試みや
ゆっくりと加速効率をあげる
”断熱加速”
などのアイデアが目白押しだ。